五キロ

沙山 雪 作

私の影はどこへ消えてしまったのだろう

日々に埋もれる自分の価値を見失った時に



五キロのお米を抱くのが好き

スーパーマーケットで
五キロのお米を買おうと持ち上げると
縦抱きしたり横抱きしたり
背中をとんとん叩いたりしてしまう

愛しい温かい懐かしい重みに
五キロだった彼女を思い出すから

彼女は笑う
「お米の持ち方が変だよあたしが持ってあげる」
って

五キロのお米を両手で持つ彼女は
何袋分の重さになったのだろう
初恋を覚えた彼女の恋の相談に
嬉しくって喋り過ぎてしまった



母性の存在価値の深さを見つけた幸せ

私の足元から私の影はしっかり伸びていた

来週も五キロのお米を買いに行こう

五キロ

五キロ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-04-15

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