吸血鬼ファルル

この物語は未熟だと思いますが真剣に書いています!
読んでもらえるとうれしいです。

プロローグ

俺は奴に目がけ剣を振りかざした。
「はぁぁ!!」そこですかさず奴は地面に向けて足を振り下ろし、衝撃波を起こす。
こいつ、どれだけ力があるのだ?
「ぐぅっ!!」俺は後方へ吹き飛ばされた。
まずいな、そろそろ体力が尽きてくるぞ。 まだまだこれからだというのに。
「ふっふっふ、伝説の三大吸血鬼とやらもそんなものか!? 所詮はこの魔王ラーデルに敵いはせぬ!!」
「ちょっとは黙りやがれ、ラーデル!! 大丈夫か、ファルル?」
「ちょっと二人ともしっかりしなさいよ!!」
「すまない、ギラン、ミリス。」
ここは魔王城。
ここ近年もともと魔界に住んでいた魔王が魔族を招集し、地上に進軍した。
世界の均衡が魔王の手によって崩され、人々は決死の思いで軍隊で攻め入るが敗北。
民衆は貧困にあえいでいた。
昔からのなじみだった俺たち三人は魔王の下につきたくない一心で魔王をしとめるために魔族の猛追から逃れながらこの城へ乗り込んだのだ。
だがしかし...
「最初はあんなに威勢の良かったのだがな。 ギブアップか? フッフッフ。」
「うるせえ! てめえどっからそんな力が湧いて来やがる。 ひょろひょろの癖しやがって!」
「力や魔力は外見に比例せぬわ!」
現時点で俺たち三人は劣勢だった。
吸血鬼には再生能力が備わっているのだが、ラーデルはそんな隙も与えず次々と魔剣アメリスで攻撃を繰り出してきた。
「なぜ貴様は人々を苦しめる!? なぜ侵略などという無意味なことをするのだ!」
俺はラーデルに向かって問いかけた。
「ふん、力を持ったものが考えることといったら、世界侵略しかあるまい!」
だめだ。
こいつ、力は持っているがそれに伴う頭というものがないらしい。
「おい、ギラン、ミリス。 話し合いで解決できないかとも思っていたがどうやら無理らしい。
 殺す気で行っていいぞ。」
「了解!!」二人の声が重なり合う。
「おらぁぁ!!」ズンッ!
ギランは斧で攻撃するが、かわされた。
ギランの斧はミスリルでできている。鉄だと重く、銀は俺たちには有害だからだ。
「これでどう!」ミリスが火炎呪文でラーデルの足下から火柱を出す!
「効かぬわ!」奴は手から出した水で足下の炎を消した。
「どうやったらあんなヤツ倒せるのよ!? 私達もう体力がやばいし...」
「おい、ミリス。お前の方こそしっかりしろ。」ギランがすかさず突っ込む。
それにしてもこのままでは埒があかない。 
俺たち三人で協力して何か...   
「おい、ギラン、ミリス。 耳を貸せ!」
「何だ!?」「何よ!?」
「策がある。」
俺は二人に戦略を教えた。
「さっすがファルル! なかなかいい方法じゃない!」
「おい、ミリス。お前にかかってんだからしっかりな!」
「もちろんよ!」
「ふっ。秘密の作戦会議は終わったか? そろそろ行かせてもらうぞ!」
ラーデルが再び動き出す。
「これが最後かも知れない! 行くぞ!!」
1,2で俺たちも動いた。
まずミリス。「やぁぁぁー!」水の壁で奴を囲み、視界を遮る。
「くっ! 何だこれは!! 小癪な!」
その隙にギランは武器ごと変身し猫となって俺の頭の上へ! 俺は水の壁の中へ突っ込んだ!
「はっ!」奴に再び一閃!
キンッ!!
「効かぬわ!!!」攻撃は剣で受け止められた。
「今だ!!」すかさずギランが変身し上から斧を振りかぶる!!
「なっ!何だとぉぉ!!!」「さすがのラーデルもこれじゃあ身動きとれねーんじゃねーか!?」
「ふっ、これしき!! 後ろにかわせば...!? なっ!後ろに!?」
よくやった、ミリス!「まだ私の出番は終わってないわよ!」
ラーデルはミリスの出した土の壁によって後ろには下がれない!
「厚ーくしてあげたわよ!」ミリス... 笑顔が怖いなー...
「さあ、クライマックスだ! 行け!ギラン!!」
「奥義! 鬼割り!」
「ぐぁぁぁ!!」ラーデルは右肩から右の胸まで斧で上から切り裂かれた。
奴の体が倒れる... ドサッ!
奴は崩れ落ちた。

「やったね! 私達の作戦勝ち?」
「ああ、そうだな!」「やったぜ!」
俺たちは倒れてるラーデルを尻目に3人で歓喜していた。
「とりあえずこの後どうする?」俺は二人に聞いた。
「城に旗立てたら? そしたら周りの魔族も降参するんじゃない?」ミリスが答える。
「なるほど、おいギラン。 お前もそれでいいか?」
俺が振り返った瞬間...

ギランは、消えた。

「!!!!!」
一瞬、事態が飲み込めなかった。
「フハハハハ!」
「その笑い声は!!」俺たちは奴の方へ体を向けた。そう、奴の方へ。
「ラーデル!! 貴様何をした!!」
「聞きたいか?」奴は依然先ほどの状態と変わらなかったが、口元に微笑を浮かべていた。
「いいから、早く言いなさいよ!!」ミリスはもはやパニック状態だ。
「私の最終呪文となるのだろうな、これが。 『ハデス・ゲート』
 どういう意味か分かるか?」
「冥界の門?」俺は答えた。
「その通り。奴は冥界へと送られたよ。 ふふっ。 実にいい気味だ。」
待て、じゃあギランはこんな奴のせいで冥界などに飛ばされたというのか。
俺は、胸の底からわきあがる感情を抑えることが出来なかった。
「きさまぁぁ!!」思わず俺は駆け出した。
「待って!!」ミリスが俺の体を止める。
「なぜ止めるんだ、ミリス!!」
「あいつを殺したら聞ける物も聞けなくなっちゃうわよ!! いいから、一回落ち着きなさい!」
ミリスは俺が思ったより冷静だったようだ。
「ねえ、あなた。 彼は送られたといったわよね。 それって体ごと?」
「ほう、勘のいい娘だ。 その通り、奴はまだ死んではおらん。
 だが... 冥界からはほぼ出れんだろうなぁ。 死んだも同然よ」
あの死の国へ...
「あそこは厳しいぞ。 来る者は拒まずだが、決して出ようとするものを逃がしたりはしない。
 出られたものなど、この世界で一握りだろうな。」
ラーデルは楽しそうに語った。
そして何かを思いついたように、言った。
「ふふ、そうだ。お前たちにサービスをくれてやろう。 わしの死体に触れば冥界にいけるようにし てやる。」
ラーデルが血を吐いた。
「お前たちが来るのを、あちらから楽しみに待っておるぞ。」
ラーデルは事切れた。
「おいミリス。 準備をしろ。
 行くぞ。」俺は居てもたっても居られなかった。
「バカ!!!」
ミリスに怒鳴られた。
「何だと!」
「あなたそこまで頭悪かったの!? 言っておくけど、奴が冥界にいけるようにしたのは。」
「したのは?」
ミリスは唇をかみながら言った。
「あそこにはラーデルなんか比べ物にならないほどの怪物たちがたくさん居るわ。
 入り口には番犬 ケルベロス。 そして冥王 ハデス。 まだまだ他にも。
 どれをとっても今の私達、こんなちっぽけな存在の吸血鬼2人に倒せっこない。
 奴は私達がノコノコ行って死ぬのを狙ってるのよ。」
「でも! お前はギランが消えたのにどうしてそんな冷静で居られるんだ!」
「居られるわけないじゃない!!」
ミリス...
彼女は泣き出しながら言った。
「私たち三人でずっと長い間旅してきたのよ! 
 それがこんなカタチで大切な仲間が奪われて平気な人が居ると思う!
 とにかく! ここで冥界に行ったら奴の思うつぼよ。」
「じゃあ、どうすれば!?」
「時期を考えるのよ。 まだまだ力が足りない。
 もっと経験を積んでから突入するの。」
「ギランが無事でいられる保証は!?」
「ファルル。 彼を信じるのよ。
 そう簡単に死ぬ人じゃないのは分かっているでしょ。」
「わかっ、た...」納得はするしかない、ミリスに泣きながら頼まれたら。

吸血鬼ファルル

順次更新します!!

吸血鬼ファルル

古城に住む吸血鬼エスフォード・ファルル。 彼と少女ミミとの物語です。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-13

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