暗闇を歩いている

暗闇を歩いている。
 月も星もない暗闇。
 感じるのは歩いているという実感だけ。
 とことこと歩いている、暗闇を。
 やがて一つ二つ三つと光が遠くに見えてくる。
 暗闇から抜け出す出口なのか?
 一つなら迷わないが複数あれば選択できるとなれば悩むのが人。
 どれにしようか悩んで立ち止まる。
 やがて一つを決めて歩き出す。
 暫く歩いてはこれでいいのかと振り返っては進んでいく。
 あるものはそのまま。
 あるものは別の光を選ぶ。
 そして辿り着いたその先で暗闇から出られるのは、ごく僅か。
 外れと分かったときには、もう遅い。
 時間切れ。
 無念と後悔を抱えて闇に消える。
 なら最初から暗闇で蹲るのと何が違うのか?
 暗闇で光に照らせて生きて行けば良かったのか?
 誰も答えを持ってない。
 神様は無言。

暗闇を歩いている

暗闇を歩いている

  • 自由詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-30

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