頭痛系オタク
A「私はですね、頭痛系オタクという造語をこの場で発表したい」
B「なるほど、それはどういう意味あいがおありなのですか?ございますか?」
マンホールの内側のはるかかなた下方にて、動物たちの饗宴にもにた集会がひらかれていた。提供される料理などない、ただ彼らは、時折この上のレストランの厨房からながれてくるどすぐろい塊のように凝固したあぶらやら料理の汚れの中から珍品を探しだすのが趣味である。
C「カッカッカ話の途中でした、どうも私は笑い癖がぬけない、人間たちがきかざったり特に上のレストランの連中ときたら、紺色のおんなじ制服をきて年中あくせくしているので、ばからしいたらありませんよ」
がやがやと動物の群れがああでもないこうでもない、後ろで大勢の群れがうめいている、まるで冬の寒さをまぎらわすようだった。
A「ですからね」
その言葉の途中にネズミが発するような声がちゅーちゅーとまじった、そこで彼らの正体はしれたようなものだった。
「頭痛系オタクですよ、最近声が大きい人が多いんです、まあここらは辺鄙な田舎町ですが、ただ自動機械の工業やらなにやら油くさいものばかりが流行して、その工場の年中キーキーうるさい事ときたら上の厨房の非にならないくらいです」
B「あ、まさか、Aさん!!」
そのまさか、とAが回答をするまえに、暗闇で大勢の動物のむれがわめき、わらった。
「ああ、いますね、上の厨房でオタクで年中声をはりあげてがんばっているやつが、彼はもう、勤勉で誠実で、ただひとつだけ劣ることがある、それは彼がこの街の生れであるが故に声が大きいというただ一点です、あの声はキーキーと、私たちどぶの中のネズミの耳にさえ耳障りに感じられるくらいです」
そういって大勢がわらっていた。下水は今日もくさかった。
頭痛系オタク