史実忌
死に絶えてゆく現代詩よ
不在の断罪よ
打たれるままに
翻された最後通牒の死亡統計よ
交された死体の束たちよ
赤錆びた軍隊のミニチュア国家よ
革命思想へ傾れ
永遠にその異議を蜂起し続ける逞しい瑞瑞しい死よ
不均整な夜景に黒い煙があがる
そこでは
今、
未だに空襲を鳩時計が燻る
二十世紀を売り払った
価値に価しない復讐を繋ぎ止める様に
美しい人体が球体を嘱望する
誰もが世界に降服を告げ、
孰れにも遁れられない
正統な検閲に拠る自由の為に
そこにはセラピーの一室があり
健康な
精神病に縁取られた現実像が顕れる
慰めに花が挿してある
健忘症、
従って鈍重な記憶が誰の記憶か判らなくなり
混線する
無人市街地の架線を亙る
座標を喪った幽霊達の飛翔が観測できる
醜い、絶望さえ絶望を述べるには、
史実忌