冷環
ひそやかな諦観で見渡すかぎり
さめざめとした無のわななき
僕は心ない一言を繰り返す
時はゆっくりと逆にも進んでいる
いつか思い出して
ぜんぶ受け入れたって
わたしが綺麗になるわけじゃない
誰かになりたいわけではないの
わたしはわたしでなくなりたい
(そこに天国を感じていますか?
クジラの吠え声で目覚める
この街にふりつづく雨だって憂いている
いつかは断ち切りたくても
いまはまだ誰かと生きていたいんだ
また一人称がゆれてしまう
この空の透明から見渡していたくなる
誰かに会いたいと叫んでる
言葉にならない雨音がほのめかす
いつかは包まれたくても
いまはまだ誰かと一緒にはいられない
わたしはわたしをやめるから
かなしい気持ちのままでいさせて
冷環