冷環

ひそやかな諦観で見渡すかぎり
さめざめとした無のわななき
僕は心ない一言を繰り返す
時はゆっくりと逆にも進んでいる

いつか思い出して
ぜんぶ受け入れたって
わたしが綺麗になるわけじゃない
誰かになりたいわけではないの
わたしはわたしでなくなりたい
(そこに天国を感じていますか?

クジラの吠え声で目覚める
この街にふりつづく雨だって憂いている
いつかは断ち切りたくても
いまはまだ誰かと生きていたいんだ
また一人称がゆれてしまう
この空の透明から見渡していたくなる

誰かに会いたいと叫んでる
言葉にならない雨音がほのめかす
いつかは包まれたくても
いまはまだ誰かと一緒にはいられない
わたしはわたしをやめるから
かなしい気持ちのままでいさせて

冷環

冷環

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-23

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