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Flaw in the name perfection


僕には1つ癖がある。コンプリートしたくなるという癖だ。この癖は世間一般には「収集癖」と呼ばれるものに似ているだろうね。
でもこの悪癖を身をもって体感している僕から見ると、集めることを趣味としているようなものではないと思っている。

僕の人生における生きてる理由だと思っているんだ。
まだコンプリートしていないものがあるから死ねない、なんて言うような。

僕がこの癖を悪癖と呼ぶのには訳があるんだ。当たり前だよ。ただ趣味や勉強でコンプリートを好むだけなら完璧主義者なだけで自分が辛い思いをすればいいだけなんだから。

なら、何がダメなのか。
それはこの癖が人間関係にも現れることなんだ。

理解しやすいように例を挙げようか。
君はゲームは好きかい?
そうだな、乙女ゲームを想像してほしい。攻略対象を全員落として、隠しキャラもスチルも集められるものは全て集めたとする。
その後君は同じゲームをやりたいと思うかな?
大抵の人は集め終わったんだからもうやらない、というだろうね。
ゲームに飽きてしまったんだ、コンプリートしたから…ね。

ここで話を戻そう。僕にとっては人間関係もゲームと似たようなものに感じてしまうんだ。
仲良くなったら、相手のことで自分が知ることができること全てを知ってしまったら…
もう言わなくてもわかるよね?

だから僕はこの癖を悪癖と呼ぶし、生きる理由だと思ってる。

僕が興味を持った人がいる限りその人のことを知るまでは死ぬ気なんて起きないんだから。

だから僕は極力人と深く関わることが苦手なんだ。
そのうち君にも飽きちゃうかもね。
まあ君は人気者だから僕1人が飽きたところで寂しくもないんだろうけど。

なんでこんな話を始めたかっていうとね。
最近の僕は相手をコンプリートしてなくても飽きちゃうようになっちゃったんだ。

…だからなんなんだ、だって?
わからないかなぁ…
僕は初めにこの癖を生きてる理由だ、といったよね?
この癖だけが理由だったのにその理由すらも無くなりかけてるんだ、僕がコンプリートしてなくても死ぬかもしれないのさ。

死なないでほしい…か…ありがとう
嘘だとしても、綺麗事だとしても嬉しいよ。


急にこんな話をしたのに最後まで聞いてくれてありがとう

じゃあまたね。

今度は僕が生きることに飽きた時に。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-12

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