マツケン奮闘記・・?!②

俺家で、朝一番に起き出して来るのは、お袋を省いては、真っ先に兄貴の浩太郎・・・。

そして何時から始まったのか、俺を起こしに来るのも、お袋じゃなく兄貴だ。

けど、兄貴が俺を起こす時は、まず決って、寝てる無防備な俺の頭に、思いっきりズズキをくれるんだ・・。

それも毎日と来てるから、たまったもじゃないよ・・・。

(まったく、どんな頑丈な頭してんだか・・俺の頭が壊れるっつうの・・)

けどそれでも俺は、負けじと耐えて、また寝、しちゃうから、またこれも凄いって言うか自分でも感心するけどね。

とは言え、このまま寝かせてくれないのは当然と言えば当然な訳で、怒ると物凄く怖いお袋。

そんなお袋がシビレを切らせて起しに来る時は怒鳴り声は凄まじいけど・・、

それと一緒にお袋の最終手段とも言える布団剥ぎは、なんとも凄いよ。

俺の布団を一瞬で剥ぎ取っちゃうんだからさ、大したもんだよ、けど、夏なんてもっと最悪って言うか酷いんだ。
寝てる俺の顔の上に熱いタオルを乗っけてくるんだからさ・・。

(まったく、俺、熱中症になっちゃったらどうすんだよ~・・)

まっ、とは言っても、真っ先に家を出て行くのは俺だから、あまり文句は言えないけどね・・。

っとまあそんな訳で俺の朝はって言えば、何時もながら、当然のごとく、家を出て行く時間もぎりぎりなんだ・・。


そんな俺の慌ただしくも始まった今朝・・・。

家を出る一歩手前に来た時、俺に容赦なく声を掛けて来たのは、何時だってどんな時でも、のんびりと朝食を取ってる・・、

急ぐって文字の不要な高校生の、真子だ。

(こいつ、もしかして大物になれるんじゃないのか?・・)

「兼兄?ちょっと待って・・?」

「ああ?なに、俺、急いでるんだよ~・・」

「ああごめん?あの、昨日話したこと頼むね?絶対忘れないで?今日、待ってるから、ね?じゃ行ってらっしゃい・・」

「あっああ、わかったよ・・行ってきますー!」


そんなんで俺は、朝らから真子に念を押されてしまった所為か、仕事もそこそこに終わらせて止むえずと迄は言わないけど、
とりあえずは吉野の家へと向かう事にした・・。

けどその途中・・、

「よぉ、マツケン?・・何、今帰りかぁ・・?」

勢い付けて声を掛けて来たのは、渋谷将吾、同じ歳には到底見えないくらい渋い顔しててどっかおっさんぽい奴だ・・。
けど顔に似合わずアニメ好きときてるから、どっかアンバランスな処がちょっと笑えちゃうんだけど、凄い気さくな奴なんだ。

「おお渋谷・・?なにどうした、どっか行くのか?」

「ああちょっとな・・、あ、そだ、マツケン?お前も来ないか?お前もよく知ってる人と会うんだよ、なぁ行こうぜ?どうせ、あと、
帰るだけなんだろ?いいじゃん・・なあ行こう?」

「はぁ?何、俺もかよ?なに俺も知ってる奴って誰だよ?男かぁ?それとも・・」

「まあ来れば分かるよ?なっ行こう?・・よし決りな、ほら行くぞ?」

「はあ?行こって、何、処にだよぉ、おい・・渋谷ー?」

「それは、来れば分かるよ・・、いいから付いて来なって?」

って、俺の都合は無視かよ・・、相変わらずだよなぁ、まったく・・・。

渋谷は高校の時から何処か強引なとこがあって自分がって思うと相手の都合はお構いなしって言うか、ちょいワンマンかもな。
とは言ってもいつもに限ってる訳でも無いんだけどさ。


そして俺たちが向かったのは、って言うか俺が連れて来られたとこは、なんて事無い、何時ものコーヒーショップだ・・。

(なんだよ、これって別に、もったいつけなくてもよくないかぁ・・まあ、いいけど・・)


二人で店に入ると、いきなり・・「いらっしゃいませ・・」と声をかけられた・・・。

(はっ?今までそんな掛け声掛けられたっけ?・・)

その後に、店の扉の鈴が、カラン・・と鳴って、またもや、

「いらっしゃいませ・・」の掛け声に、ガヤガヤと客が入って来た。

その時、いきなり渋谷が叫んだ・・・。

「お~い、こっち、こっち・・?」

(はっ?なに・・・)

って振り向くと、これもまたちょっと驚きかな・・・。

「よぉマツケン?なんだ、お前も一緒だったのか・・久しぶりだなぁ?」

って、声を掛けて来たのは、俺達の一級先輩で、小坂井って言うんだけどさ、ちょっと俺には苦手な相手だ・・・。

「ああ、先輩、久しぶりですねぇ・・、何時帰って来たんですか?確か東京の方に行ったって聞いてたけど・・」

「ああ、昨日だ、ちょっと家に帰る用が出来たもんだからさ・・、まっそんな事はどうでもいいだろ、それよりマツケン?
お前、ちょっと見ない間に、随分大人びたなぁ?それに俺より少し背も伸びたんじゃないのかぁ?まったく、とことん
俺を追い抜く奴だよなぁお前は・・」

(んな訳ないっしょ・・、まったく、何言い出してるかな・・・)

先輩と知り合ったのは高校の時、先輩が西田をからかってたのに俺が腹立てて先輩に食ってかかったのが切っ掛けだ。
まあそん時に俺は何を言ったのかまでは、覚えてないけど、あの頃の俺、ちょっと息がってたからさ・・。

まっそのお陰、とは言いたく無いけど、何故だかそれ以来、先輩には気に入られたようで、どこをどう間違ったのか、
俺には理解不能だけど、この人とは腐れ縁になっちゃったんだよね・・・。

すると渋谷がニヤニヤしながらいきなり自分の顔を度アップさせて、俺の顔をマジマジと覗きこんできた・・・。

「そっか・・?そう言われてみるとそう見えなくもないけどな・・?けど俺にはよくわかんねぇな・・」

(って、当たり前だろうが、そう単純に分かるかっつうの、まったく・・・)

「お前さ・・?人の顔マジ見てそう言う事言うか・・?有り得ないよ、まったく・・」

ってその時、先輩が急に笑い出した・・、(はっ?なに、ついに気がふれたとか・・?んな訳無いか、はは・・)すると・・・。

「ああ・・お前らほんと楽しいな?何時見ても飽きないことしてくれるよ・・、マツケン?そうむくれるなって?それより
どうよ、みんな変わりないのかぁ?ああ、そういやぁ藤田は元気かぁ?」

「ああ、まあ、あいつは、変わんないですよ、元気がとりえみたいなもんだからな・・」

すると渋谷・・・、

「はは、違いねぇ?あいつの元気の良さは、俺らの中じゃ敵うもんは居ねえからなぁ・・」


「まあ、そこが藤田のいいところなんだろ?・・ああ、そういやぁマツケン?処でお前は、彼女は出来たのか?ああ、そうだ
確か、お前にお熱上げてる子が居ただろう・・?あの子とはどうなったんだぁ?まさか、振ったとか言わないよなぁ?」

(はぁ、いつの話しだよ、って言うかそれ、俺じゃないっしょ・・)

「あの先輩?なんかすっごい勘違いしてません、俺そんなの元から居ませんよ、もしかしてそれ吉野じゃないですか?」

「はぁ吉野・・?えっと・・・吉野って、誰だっけ?」

「ああ、もう忘れたんですか?ヨッシーです吉野修でヨッシー?それって確か先輩が付けたんじゃなかったっけ?俺は
そう記憶してるけど、なあ渋谷?確かそうだったよな・・?」

「あ、ああそう、あのイケメンの奴な?どうも俺はあいつ見ると無性に腹立ってくんだよなぁ、なんか女子にちやほや
されてさ、俺に独りくらい廻せっつうんだよまったく・・」

「おい渋谷?お前、そう言う事自分で言ってて、惨めになんないのかぁ?まっあいつには負けてるってのは確かだけどさ?」

って言うといきなり渋谷が怒鳴った・・。

「コラ、マツケン!お前な?ホントの事をそう軽く言うなよバカ野郎・・・俺はこれでも繊細なんだからな・・」

(って、なに意味不明な事言ってるんだよ、こいつは~・・)

「ああ、悪い、けどそれって俺も一緒なんだからさ?そう無機になるなって、な渋谷君?あ、処で先輩?思いだした?」

「あ、ああ、お前らの話し聞いてたら思いだしたよ、そっかぁ、そんじゃお前、いないのか?そりゃぁ残念だなぁ?」

(なにが残念なんだよ、意味分かんないから・・)

「あ、まあそう言う事ですね、けど俺は今んとこその気ないからな、それより先輩こそどうなんです?あっもう居たりして」

するとアッサリ「ああ、居るよ・・」

って、言った途端、何故か先輩は急に時計を気にし始めた・・。

(なに急に・・、何かあるのか・・?)

すると・・、

「ああ悪い、俺これで帰るわ、ちょっと用事思い出したんだ、渋谷?俺から誘ったのに悪いな、今度はゆっくり皆で飲みに
でも行こう、な?なあマツケン?・・それじゃ悪い、また今度ゆっくりな?」

てな訳で、俺たちは、いきなりとり残された・・・。

(まったくこれって有りなのかぁ?・・彼女で思いだす用事ってなんなんだよ?・・訳わかんね)

渋谷は・・・。
(なにアッサリさよならだよ、まだ俺何も話しもしてねぇのによぉ、それにマツケン誘った意味ねぇじゃんかよ、まったく)

なんかイライラし出した渋谷は、いきなり自分の頭をガリガリ掻きだした。

(何やってんだ~こいつは?・・よっぽど帰っちゃったのが気に入らなかったのか?・・まあ分かんなくもないけどな・・)

すると渋谷・・・、

「マツケン!・・帰ろうか?」

(ってなんだよ、いきなり、ビックリするな~・・)

「あ、ああ、そうだな、帰るか?・・・あ、なあ渋谷~?先輩の彼女って誰だか知ってるかぁ?」

「はあ?なにいきなり、俺が知る訳無いだろ、訳分かんないこと聞くなよ・・、ああ、そういやぁ今度同窓会、遣るとか言って
たけどお前、出るのか・・?」

「あっああ、出るよ・・、あ、あーっ、いっけねぇー?俺すっかり忘れてた?ああぁ・・」

「な、なんだよ、いきなり喚きやがって・・・、なに同総会出るのになんか不味い事でもあんのかぁ?」

(あ、そっか、こいつに、言える訳無いか・・、ああ、けど・・、まあ、しょうがない・・帰ってから考えるか・・)

「あ、いや何でも無いよ、さてと、帰るか?あ、そだ、渋谷?お前の電話番号教えてくれよ、俺も教えるからさ?何か名簿作る
とかでさ、俺任されちゃったんだよ、悪いけど、俺の携帯に入れてくれるかぁ?あっ住所もな?」

「ああ、それはいいけど何だよお前、そんな面倒くさいのよく引き受けたなぁ、何だかんだ言ってお前、結構喜んでんじゃ
ないのかぁ?まっいいけどさ・・」

そう言いながらにやけてた・・。

「バーカ、そんなんじゃねぇよ、誰がこんな面倒なこと、好き好んでするかっつうの、しょうがないから遣ってるんだよ?
ああ、なんならお前、変わってくれてもいいんだよ?俺は大助かりなんだ・・」

「バ、バカ野郎?そんなの誰が遣るかよ、俺はごめんだね、さ~て、帰るかな・・」

ああ、逃げたよ、まっいいけど・・。

それからの帰り道、どう言う訳だか渋谷の奴が一緒になって同じ方角を歩き出してた。

(あれ・・待てよ?考えたら何でこいつ、俺と同じ方角歩いてんだ?・・、確か俺とは逆方向じゃなかったっけ・・?)

「おい、渋谷?お前んちって、確か俺と逆方向じゃなかったっけ・・?何で同じ道歩いてるんだ?」

「ああ・・、まあ気にすんな、俺、コンビニ寄ってきたいんだよ、だから途中までな・・」

「ああ、なんだ、そっか・・?なに、夜食の調達でもするのか?」

「まあそんなとこかな・・、ああ、そういやぁ俺、忘れてたんだけどさぁ?桜木ってお前、知ってるよなぁ?あいつ、
奈津美と付き合ってるのかぁ?まあ別に、俺にはどうでもいいんだけどな?・・ただなぁ?俺はてっきり、奈津美の奴は、
お前が好きなのかと思ってたんだよなぁ・・、分かんねぇもんだなぁ女ってぇのはさ?」

(はああ?なんで俺よ、それこそ分かんねぇだろう・・)

「あのさぁ?お前、何で奈津美が、俺だって思う訳?訳分かんねぇよ、大体、あいつが、色恋するたまかよ、あっまあ付き合う
相手が出来たんならそれはそれで・・・」

(あっ、いや不味いだろ、兄貴・・兄貴は、どうなるんだぁ?・・うわ~参ったなぁ・・兄貴~ご愁傷さま?って、それはないか・・)

「おいマツケン?どうした急に・・?ハトが豆鉄砲食らったような顔してさぁ?まっいいか・・」

マツケンのぽかんとした顔を見て渋谷は・・・。
(こいつ、やっぱ奈津美に惚れてたんだろ?まあショックなのは分かるけどさ?なに意地の張ってんだかなぁまったくよ・・)

「ああ悪い、まあいいんじゃないかぁ?好きにやればさ?俺には関係ねぇよ・・、あっ着いた・・、そんじゃな渋谷?またな?」

「あっああ、またな・・?」・・・。



その頃、奈津美の家では・・・。

「ねえ、いつまで居られるの?すぐ帰っちゃうってことないわよねぇ・・?」

「ええ?そうね・・しばらくは居るつもりよ?・・、んんそうね、あと二三週間ってとこかしらね?ああ、何なら奈津美・・あたしと
一緒に、東京で暮らしてみる?あたしは大歓迎よ?ああ、でも奈津美は、無理かもね?何かそんな気がする・・奈津美見てると・・、
あ、ごめんね?それより奈津美は今好きな人居るの?」

「ええっあたし?・・あたしは・・・、居ない事もないけど・・、でもよく分かんない、なんかねぇ?自分の気持がよく分かってない
って言うか、はっきりしないのよね・・?あっそれって居ないのも一緒なのかもね?笑っちゃう・・・」

「そうなんだ~?でもそんなものなのかもしれないわ?相手の事本気かなんてその時にならなきゃ解らないものねぇ・・・」

「って何?そんなこと言ってるって事はお姉ちゃんもまだ居ないって事なの?ねえそうなんでしょ?」

「あっばれちゃったか・・、実はそうなの・・、でも、今は別に・・、ああ、もうよしましょっ?こんな話しは、ね?」

(やっぱり、何か隠してる、向うで何かあったのかな・・、それにいきなり帰って来るなんて、どう考えても可笑しいもんね・・)



そして真子は、机に向かって手紙と睨めっこ・・・。

(もうお兄ちゃん何やってるのよ、とっくに仕事は終わってる時間だしいい加減帰ってきてもいいんじゃないの?兼兄のバカ!)



渋谷とコンビニの前で別れた俺は、大分遅くはなったけど、やっと我が家へ・・、到着だ・・・。

「ただいま~!」

すると勢いよく真子が駆けこんできて、俺の前に立ちふさがると、凄い顔して睨んできた・・。

(な、なんだよ・・まったく、脅かす奴だな・・)

すると・・・、

「遅いー!今何時だと思ってるのよ~?浩兄も、未だに帰って来ないし、もう~あたし待ちくたびれたよ・・、それで?・・」

(まだ俺、玄関から靴も脱げないで居るっつうのに、こんなとこで長話始める気かよ・・、まったく)

「ああ、悪かったよ・・、だからさ?分かったから、とりあえず俺、家の中に入れてくれるかな・・?なあ、真子?」

って言うと、

「あっ、そっか、ごめん、それじゃ後で、あたしの部屋に来て?待ってるから・・、ねぇ兼兄?」

「ああ、わかった・・」

(とは言ったものの、何の進展もなかったんだよな~、どうしよ、参ったなぁ・・)

ってその時、いきなり携帯が鳴った・・。

(あ、メールだ・・、なんだよ、西田か・・)

『明日会いたいんだけど、時間取れるかな・・(^-^)』

『ああ、分かった、それじゃ、17時半に、何時もの場所で待ってる。そん時な。』

(西田の話しって多分、同総会の事だろな・・、ああ、それより、真子の一件をどうするかだよなぁ・・、ああ、参った・・)

その時、ノックの音・・・《コンコンッ》

(はっ?まさかもうしびれ切らしたのか・・?まっ、しょうがない、ここは謝るかな・・)

「あいよー!・・」

すると真子が顔を出した、

(やっぱりな・・・)

「お兄ちゃん?・・待ってらんないから来ちゃった、入ってもいいかな?」

「ああ、いいよ・・・・あっあのさぁ真子・・・、ごめん!今日、行けなかったんだ、悪い・・」

って頭をさげてはみたけど、さすがにこればっかは怒るだろうな・・・とか思ってたら、真子の奴・・・。

(あれ怒んないのか?・・)

「ああ、いいよ、すぐにどうこう出来るなんて、さすがにそこまではあたしも思ってなかったし・・、ただ、ちょっとあたしの
方が動揺してるっていうか、こう言うのってあたし初めてだから・・、あ、ねえ?手紙持って来たんだけど、兼兄読んでくれる?
ちょっと恥ずかしいけど・・、でも、兼兄の、意見聞きたいの・・いいかな?」

(こりゃ驚いた、妹に来たラブレター見る羽目になるなんてな、けどあいつがどんな事書いたのかちょっと興味あるかもな)

「ああ、分かった・・」

とさりげなく受け取ったラブレター・・、ちょっとドキドキかも・・、ええ何々・・。

見出し・・『愛しき真子さまへ・・』げっなにこれ・・、マジかよ・・。でぇ・・?

 初めまして、僕は吉野といいます、二三度お会いした事は有りますが、こうしてお手紙書くのは初めてですね、
 でも僕はもう限界なんです、それで思いを伝えたくペンを取りました。
 真子さん、
 僕は貴方をひと目見た時から、恋に落ちてしまいました。
 その優しい笑顔・・、そして愛らしいその容貌に、僕は日一日と日を増す毎に、思いが募るんです。
 もし、僕のこの思いを少しでも聞き入れて貰えるのでしたら、是非一度、僕と会っては貰えないでしょうか、
 ×月×日、午後五時、貴方の学校の裏に有る、公園でお待ちしています。
 必ず来て貰えると、僕は信じて待ってます。

(ああ、俺ちょっと背中がムズ痒くなってきたかも・・、あいつマジ本気なのかよ?・・・)

「ねえ、兼兄?どう、かな?・・・吉野さん、本気だと思う?あの・・確かにね?ひと目惚れって有るとは思うの、けど、あの人って、
ほら顔も悪くないって言うかイケメンな方じゃない?なのにまだ会って話しもしたこと無いあたしに此処まで思えるものかな、
あの人なら、他にいくらでも居そうな気がするのよねぇ・・」

(まあひと目ぼれは確かに有るだろうよ、他に約一名(兄貴)がそうだしな・・、けどなぁ?ってなにそれを俺に聞くかぁ)

「なあ?俺はあいつじゃないから何とも言えないけどさ?けど、お前はどうなんだぁ・・?あいつの事どう思ってるんだよ?
まずは、そっちじゃないのかなぁ?・・・・俺は色恋なんて正直、よく分かんねぇ・・、けどさ?
あいつの気持を模索するより、まずは自分の気持をはっきりさせれば、こんなの悩む事でもないと俺は思うけどなぁ・・・。
お前がもし少しでも興味があるならまずは会って確かめたらいいんじゃないのかなぁ?けどその気もないって言うなら
俺の友達だからって気にすること無いよ、会ってはっきり断わればいいんじゃないのかぁ?
ホントか冗談かそれは分かんないけど、でもさ?あいつだって自分の正直な気持だから、こうして真子に内明けたんだろうしな、
まっそうは言ったってこればっかは、第三者が立ち入れるもんでもないから、何とも言えないんだけどさ・・・・、
けど、ちょっと考えてみてくんないかな?なあ真子・・?」

(不味かったかな・・ちょっと言い過ぎたかぁ俺・・?泣くなよ?泣くなー?!)

ってちょっとぎこちないけど、何とか冷静さは保って見せたりはしてるけど、内心は、飛んでもなく、ひやひやもんなんだ俺・・・。

(あ、あれ?どうしたんだ・・?)

何気に真子の奴、泣くどころか、笑ってるよ・・・(えっと・・なに?よかったのか・・な?)

すると・・、
「ありがと兼兄?よく分かった、何か気持が楽になれた気がする・・ありがとね?あたし自分の気持、ちゃんとよく確かめてみる。
それから・・あたし、彼に会って本心確かめるよ・・やっぱり話してよかったなぁ・・・。
それじゃ兼兄?・・兼兄がもし、好きな人できた時は、今度はあたしがお応援してあげるからね?その時はちゃんとあたしにも
教えて?じゃあたし部屋に戻るね?・・ほんとありがと?それじゃ・・」

「あっああ・・じゃな?」

(何言ってんだかなもう・・、俺は、彼女なんか作る気はねえよ?・・まったく・・)。



翌日・・・。
夕べの西田からのメールで、俺はバイトの帰り、何時ものコーヒーショップへと走った・・・。

まっ別に急ぐ事でもないけど、なんか気になると落ち着かなくてさ・・、まあそれは俺の性格かもしれないけどな・・。


カラン・・扉を開けて店に入ると、

「いらっしゃいませ」と声がかかって、俺は周りを見渡した・・。

すると、奥の席から、

「おおい、マツケン?ここだ?」って西田が手を振った。

「ああ、悪い、待ったかぁ?けどどうしたんだぁ急に・・、ああ、なに同総会の事か?あっそだ、それで何時になったんだ?」

「あっああ、その事か、それは一応来週の日曜日って事で調整してるよ・・、あっあのさ?俺がお前を呼んだのはその事じゃ
ないんだ、ごめん・・」

「なに、何か有ったのか?別に謝る事ないけどさ・・けどどうしたんだ?らしくないじゃん、まあ俺に出来る事なら相談に
乗るよ?とは言っても俺に出来るかは別問題だけどな?けど俺でよかったら聞くよ・・おい・・西・・?」

(どうしちゃった訳?ほんとらしくないよなぁ?)

その時、西田は何やら自分のポケットを探り始めた・・。

(何やってんだ・・?)・・すると、

「ああ、悪いな何時も・・、実はさ・・、これなんだ・・・」

そう言ってポケットから出したものをテーブルの上に置いた・・。

「はいっ?・・何、これ・・?」・・・・・。

マツケン奮闘記・・?!②

マツケン奮闘記・・?!②

マツケン奮闘記・・?!の2作目が出来ました。前回に合わせて楽しんでもらえたら嬉しいです。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-11

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