小学3年生の詩
陽光のさす窓際によせられた机の上にはおとしものばこがあって、ぼくは毎日その中を見る。今日届けられているのは、ぼろぼろの消しゴム、印刷がはがれかけてびかびかした鉛筆、うさぎのハンカチ、コンパス、三角定規、金魚、オレンジのスーパーボール、自転軸、ふたのとれた文学、ラムネ瓶を開けたときに、二酸化炭素と一緒にこぼれるもの、の中に、星がひとつ、混ざっていて、ぼくはそれを落とし主のところへ届けることにした。
太陽が落っこちて、ぼくは空をにらんで、欠陥した星座を探した。けれど、待っても待っても星座どころか星ひとつ浮かんでくることはなく、そのときぼくは初めて、おとしものばこに届いていた星が、一番星だったこと、そしてそれを失くしたのは、紛れもないぼくらであることに気がついて、ぼくはその一番星を夜空のすみっこに置いた。
小学3年生の詩