雨の道
さした傘は一人には大きすぎて、それでいて風に煽られる小雨の粒を防げない。
いとしい気持ちとさみしさは、概ね砂糖と同じ成分で、ゆっくりととけていくが、大雑把に見れば毒なので、今日も私の内臓を疲弊させるのだった。
ゴミ捨て場のカラスが、今日は濡れて毛羽立って、なんだか勇ましく見えた。
生きているカラスは浅ましくない。
川の向こう岸で、カラスの大群と子猫が戦ってるのを、見ているうちに背広はまだらに染まって、きみのもとへ急いだ。
こんにちは、子猫のようなお嬢さん、よければわたしと食事に行きませんか。
いのち、世界をたべるということを、あなたと体験していたい。
雨の道