雨の道

さした傘は一人には大きすぎて、それでいて風に煽られる小雨の粒を防げない。

いとしい気持ちとさみしさは、概ね砂糖と同じ成分で、ゆっくりととけていくが、大雑把に見れば毒なので、今日も私の内臓を疲弊させるのだった。


ゴミ捨て場のカラスが、今日は濡れて毛羽立って、なんだか勇ましく見えた。
生きているカラスは浅ましくない。

川の向こう岸で、カラスの大群と子猫が戦ってるのを、見ているうちに背広はまだらに染まって、きみのもとへ急いだ。


こんにちは、子猫のようなお嬢さん、よければわたしと食事に行きませんか。
いのち、世界をたべるということを、あなたと体験していたい。

雨の道

雨の道

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-04

Public Domain
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