表裏一体

表裏一体

心ころころ 言葉うらはら
おもて 桃色 うらは青色

「きみを誰より愛しているよ」
嘘だ、憎いよ、きみが憎い
「きみがいなくてさみしいよ」
嘘だ、きみが心を占めてる

ぼくのこころを食い荒らす
ぼくの冷静を散らかすの?
言葉の端々 くらくら ゆらゆら
重ねる毎に 仮面は歪む

つとめて 繕う わらう仮面
にんまり 笑う 手作り仮面
笑顔を見せたらきみも笑うから
ほうら見て見て、いい笑顔だろ

心はらはら 言葉うらはら
おもて 虹色 うらは闇色

「きょうはとってもいい気分」
ぼくの心はどしゃ降りです
「きみと一緒に生きたいなあ」
首吊りロープ飾りつつ電話

ぼくのこころを踏み荒らす
ぼくの正気蝕むのはなに?
笑みの端々 ぴしぴし ぱらぱら
重ねる毎に 仮面に亀裂

あつめて 拾う 仮面の破片
懲りずに 笑う 道化師擬き
素顔を見せたらきみが翳るから
寝顔に口づけ、おやすみなさい

囚われてるくせ、「気にしてない」
尽きているくせ、「だいじょうぶ」
月を睨めば雲がわらう
身震いひとつ、涙もひとつ

仮面を被れば泣き顔みえない
だから今夜はひとりで眠れる
本音を鍵つき戸棚へ仕舞って
ときどき取り出し抱き締める

抱いた本音が暴れりゃ終い
縛って躾けてまた逢う日迄
ほんの数秒、誤差が生ずる
ばかな、化粧は完璧なのに

しとしと しとしと 傘は何処
雨宿りできる屋根は何処
ずぶぬれ びしょぬれ 濡れ鼠
同情だけでは満たされぬ

視線を集めたねずみの道化は
ふざけて おどけて 笑み作る
気に入りの仮面が割れたんだ
だから笑ってみせるほかない

あはは、あははは、歓声浴びる
気持ちがいいな、清々しいな
あはは、あははは、さあ帰ろう
化粧が落ちてしまうより先に

心ばらばら 言葉ばらばら
仮面のようにはいかない様だ
割れた心は 貼って繋げど
ちっとも綺麗になりはしない

もう赦してくれ 帰りたい
綺麗に笑えた 幼き日々に
もう緩めても いいかなあ
顔を隠して 啜りを上げる

涙ぱらぱら 雨はざあざあ
心ぐしゃぐしゃ 顔もぐしゃぐしゃ
「きみは気にせず眠ればいいさ」
うらはら言葉の わるい癖

お願い みないで こっちをみないで
雨が止むまでぼくをみないで
きみの温度が無くても立てる
頭を撫でる手なんて要らない
きみなんかいらない もううんざりだ
今すぐ消えてよ たのむから

心ずたずた 言葉うらはら
おもては喜色 うらは哀色
嘘でつくった 音譜を並べ
嗚咽と一緒に 召し上がれ

表裏一体

表裏一体

【過去作】心ころころ、言葉うらはら

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-04

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