ナグサミ

ナグサミ

滑らか 絹肌 引き裂く爪に
口付け落とさせ 深まる宵闇。
「共に沈めば 寒さも和らぐ
 だからお傍に、貴女の傍に」

それはいつもの見栄張り、口実
僕が寒くて 寄り添いたいだけ
けして器用でない陽射し、
浴びて こころを 安らげたい。

翳らすあやしい雲の行方に
予測がつくのでおまじない
「明日は晴れます、きっと晴れます」
「もしも雨なら、傘になります」
窓枠に跨がり 月に祈って
慰めかけるは 隣で震えるちいさな背中

僕が説いてる言葉をご覧、
さも貴女宛の恋文だけれど
己の弱さを戒め、許し、
認めたいからでもあります

だから 此れには 苦しさはなく
源力はやはり、私利私欲
貴女は僕にとても似ていて
貴女が笑えば僕もうれしい

貴女の望みが叶うよう。
貴女が独りで泣くことなきよう。
知っていながら知らない振りで、
惑わせ 泣かせて 悔やませて。
いつか怯えの縄から抜け出し、
貴女が素直になれますように。
貴女が幸せ抱けますように。

隠れんぼしている時くらい、
強がりは止そう、自分をゆるそう、
弱気をゆるそう、涙をゆるそう。
そして一緒に自分を、相手を、
心でぎゅうっと抱き締めてやろう。

外の世界はつめたくて
湿気が多くていやになる
お揃いで秘めてる厭世観を、
たまに見せあいっこしませんか?

安心なさい、貴女には
僕が居ますよ、ずっと近くに。
やがて貴女が幸せ手にして
綺麗に笑った瞬間を
独り占めして、頭を撫でて、
「よくできました」と伝えられるよう。

それがおまえの幸せか などと
愚問を呟く暇あるならば、
僕に全ての激情突き付け
すっきり笑ってみせなさい。
再度言います、僕にとっては
貴女の幸せこそが幸福。
失敗しながら導きますので、
転んで 泣いても 最後に笑って。

ナグサミ

ナグサミ

【過去作】明日は晴れます、きっと晴れます もしも雨なら、傘になります

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-04

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