SNR Chapter1 ~ 道標(みちしるべ) ~ Vol.5 「遭遇」

滝田さんからヒントは言われたものの、俺はこの文章に何かヒントがないかもう一度確かめてみた。

特に気を引くような言葉は無いように俺は思えた。

その俺の様子を見かねた滝田さんはついに重い腰を上げた。

「まずは、アルファベット。アルファベットは全部で26文字あるのはわかるわよね。そして、ポイントとなるのが次なのよ~。最初に窓を開けた文字って何だかわかる?」ー滝田さんは得意げに言う。

「ん~そもそも窓を開けるという意味がわかりませんが・・・。」ー本当に俺はわからないでいる。

「それじゃ教えてあげるね~。窓というのは一部では常識ではあるけどある意味隠語的な意味合いもある言葉なのよ。窓を英語読みすると、windowよね? つまりはパソコンのブラウザの事よ。窓=windows。 そして最初にその窓を開いた言葉と言えば何かな?」

「もしかしたらN(n)ですか? 開いたらパスワード入力画面になりましたよね!」

「そうそう、よくできました~。とするとNはアルファベットでは14番目に当たるんだよね。さて、これで次に問題になるのは合体という言葉。つまりは、Nが14番目なのを考えると1+4=5となるわけなのよね~。」

「おお、なるほど! よくそんなスラスラとわかりましたね。本当に尊敬してしまいますよ。」ー俺は本当に感心している。

「まあ、君より探偵経験年数多いからね~。そのうち君も同じようになれるよ。さて、最後の問題となるのが規則性(同属性)なわけなんだけど、これは簡単だね。掛け算になっているんだよ~。つまり、暗号文の最後の文章にある、1-4@2-3-5に全てに5を掛ければ良いという事。そうすると、5-20@10-15-25になるわけ。規則性(同属性)というのは公倍数って意味だったのよ。これをアルファベットに全て置き換えたらどうなるかな?」

「E-T@J-O-Y。これがあのパスワードになるのか!」


説明されると「ん~~納得」って感じだ。

すかさず俺は、パソコンを再起動してパスワードを入力した。すると一枚の地図が俺も眼前に広がる。場所はここからあまり離れていない所のようだが・・・。

どうやらその地図が示しているのは繁華街にある「ブロッサム」という店らしい。ここは俺の住む街にある怪しげなBARだ。外人がたむろしており、普通ならいくことはまずないだろうと思われる場所。そんなところに大木さんが?確かに隠れるにはもってこいの場所だとは思うが。

とりあえず、なんとか解いたもののこれからそこに行くとなると気分は憂鬱になってしまう。とりあえず行くことにはなったがどうなるのだろうか・・・・・・もしかしてからまれることはないよな?

その後タクシーを拾いやっと目的の場所まで着いた。

念のため、探偵社に一連の事を説明し、これから大木さん探索のために店の中に入るという事を連絡しておいた方が良いという藤田からの提案もあり、そのようにする事にする。

中に入るとアルコールとタバコの匂いで満たされていて、どうもなじめない。ずっといると倒れてしまいそうだ。とりあえずバーテンに大木さんの事を聞いてみる事にした。

「すいません。今人を探しているだがここに大木さんという方はいませんかね~?」-軽い口調で聞いてみた。

「知っているよ。ここの常連さんだからね。たぶん今日も来ているよ。呼んできてやろうか?」

親切にも呼んできてくれるという。ラッキーだ!!と思い、すかさず呼んできてもらえるように返答した。

なにやらバーテンは店長らしき人に話しかけているようだ。そして10分後くらいたっただろうか・・・やっと案内してくれることになり、ある一室に案内された。

そこは広々とした綺麗な部屋でなんとも豪勢だ。

そして椅子にかけて待っていると・・・・・ドアが開きそこからは数人の屈強そうな外人達が入ってきたとおもいきや、有無も言わさず殴りかかってきた!

「-~*+?・」何かを口走っているようだが言葉が違うので分からない。しかし、わかるのはこの方々が俺達を敵視しているという事は間違いないという事。

とりあえずこの方々をどうにかしなくては・・・・と思い仕方なく俺達は臨戦体制に入る。喧嘩はあまり得意ではないが人並みにはやれる自信はあった。とりあえず、外人の1人に一発お見舞いしてやった。

ドカッという音とともに1人はよろめき膝が折れていく。

??なんかもろくないか?外人のイメージではとても強いという感じはある。しかしこいつらは・・・見かけだけだ!!

そう思った俺は妙に張り切って次々と彼らを殴って倒していく。そして全員が床をなめたその時、一人の男性が入ってきた。

パチパチと拍手とともに現れたのは大木さんだった。

「まさか、あの暗号を解けるやつがいたとは驚きだよ。E-T@J-O-Y・・・『emergency-trouble@joy』・・・成功の後にはトラブルありってね。まさかおまえだったとはな皇。」

不敵な笑みを浮かべている彼は高圧的な態度でそう言い放った。

「この野郎ー!」-瞬間的に殴りかかった。今までのうっぷんを晴らすかのように。

俺の目的はこいつの顔に1発お見舞いする事だからな。

そして見事に命中!廊下まで吹っ飛んでいった。

「・・・って~。手荒い歓迎の仕方だな」-平然と笑いながら言う。

「お前のおかげで俺はどんな目にあったのか分かるのか?これでもまだ足りないくらいだ!!」

そして、もう一度殴りかかろうとしたとき滝田さんが仲裁に入ってきた。

「君が怒るのも最もだけど、もう少し待ってくれない?とりあえず所長に見つけた事を報告したいの。今はまだ事件の真っ最中なの。一時の感情だけで自分を見失わないで。」-いつのまにか我を忘れていた俺を滝田さんがたしなめる。

「わかりました・・・。事件の解決後はこいつのことは俺に任せて貰いますからね。」

そして滝田さんは携帯で連絡をしたらあと20分くらいでこっちに来るという。とりあえず待つことになったが・・・20分経過しても所長は現れない。どうしたことなのだろうか?

そして30分が経とうとした時、1人の女性が入って来た。

あの女だ!! 何でここがわかったんだ?

「ついに見つけましたわ。大木さん。私と一緒に来てもらえますわね。」-またあの声だ。

「嫌だ!会社には戻らない!!」-かなり嫌がっている。

そして、俺達に気付いたのか彼女は俺達に視線を移す。

「あら!またお会いしましたわね。お元気?」-しらじらしい奴だ。いや女だからしらじらしい女だか。

「源から連絡を貰って駆けつけたらこんなになってたなんてね。ついているわ~」ー今にも声高に叫びそうな感じがする。

「な、何であんたがオヤジを知っているんだ?」-俺は驚愕の声で言う。

「それは私があいつと特別な友達だからよ。ご理解いただけたかしら?」ー言葉が出ない。グゥの音も出ないとはまさにこの事か。

俺はなんて奴の言葉に踊らされていたんだ・・・悔しい!!

くそー許せん!!どういうことなんだ源!あんたを信じていたのに!!

他のメンバーも愕然とした様子を隠せないでいるようだった。俺達はこれからどうなるのだろうか・・・。俺達は今はただ、うろたえるしか術を知らなかったんだ。

SNR Chapter1 ~ 道標(みちしるべ) ~ Vol.5 「遭遇」

SNR Chapter1 ~ 道標(みちしるべ) ~ Vol.5 「遭遇」

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-10

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