SNR Chapter1 ~ 道標(みちしるべ) ~ Vol.3 「黒い影」
昨夜の騒ぎでようやく真相を知った俺は、大木さんを探すことにした。
しかし、何故か言いくるめられたような感じがしてならないのは俺の気のせいだろうか・・・。まあきっと気のせいか。今はそんなことを気にせずにあいつに一発お見舞いするためにとにかく探そう。それを考えるのはその後でも遅くない。
幸いにも一人ってわけじゃない。
源は藤田、滝田さんの二人をつけてくれていた。なのでなんとかなるだろう。とりあえず俺達はこれからどうするかを話し合った。とりあえず、現場であるアパートに向かうことになった。
「相変わらずぼろいな~」と溜息が出るほど俺のアパートはぼろい。
まあ家賃が25000円だからしかたない。(都心では破格の家賃だが)
そのアパートの一室に大木さんの部屋がある。
まずは周囲の確認から始めた。またやられてしまったんじゃあ元も子もない。そして誰もいないのを確認して部屋に入る。鍵はなぜかかかっていなかった。一応、見張りのために藤田を外に置いてきた。なんかあったら連絡する手はずだ。そして探索は始まった。
大木さんの部屋は4畳2間でバス、トイレ付きだ。
その部屋はなにやら分けの分からない機械が転がっている。やはりなにやら荒らされた形跡がある。相当あせっていたのかタンスの引出しも抜いてあるし、机の上の書類関係も部屋に散らばっている。
そしてその部屋には珍しくまともな機械があって、俺はそれに目をひかれた。まあ、よくある形のパソコンなのだが妙に綺麗にしてあったのでそれだけ目立ったのかもしれない。
そして何か情報があるかもしれないと思いパソコンの電源を入れた。
デスクトップ画面には何個かのアプリケーション、書類ファイル等綺麗に並べられてあった。しかし、それらのファイルには何も重要な事が書いているわけでもなく、俺が見てもよくわからない内容だった。そして、俺が電源を落とそうとした瞬間滝田さんに声をかけられた。
「ちょっと待って~。よく見ると画面の右端に小さな文字があるよ~。これをクリックしみようよ!」ー何故か妙にワクワクしている。
確かになにやら小さな文字がある。
「n」と書いてある。
これをクリックしてみたらいきなり何かの画面が立ち上がり「パスワードヲニュウリョクシテクダサイ」とパスワード入力画面になった。まあこれは俺達の前に入った奴も当然気ずいたことだろう。
とりあえず「OOKI」と字を打ち込んでみたが、案の定クリアになるはずもない。そこで諦めて周囲の雑誌なんかを物色してみる。もしかしたら何かあるかもしれないからな。
そしてそのまま物色していると、俺の携帯にバイブ反応があった。
つまり・・・・・誰か来たんだ!!
「滝田さん!誰か来たようです。隠れましょう!」-俺は小声で呟く。
だが滝田さんはいつものようにボーッとして動作が遅い。
仕方ないので滝田さんを抱えてクローゼットに隠れた。
それにしても滝田さんは軽いような・・・。
「きゃっ。いきなり何するのよ~。びっくりするじゃない!」-と小声で抗議する。
と、そうこうしているうちにドアを開けて誰か入って来た。
そこには一人の女性がいた。
妙に独特な臭いの香水をつけているようで、狭い部屋にはすぐにその臭いが充満した。
誰だか分からないが・・・ん~いい眺めだ・・・と見とれながらもじっと観察した。隙間からしか見る事ができないので詳しくはわからないが、とてもグラマーな体つきをしているようで、髪は腰まであろうかという長髪で、サングラスをかけている。だが、それでも美人だとわかるような顔立ちをしているようだった。
そして何かを物色し始めた。
ガサゴソという音が誰もいない部屋に響く。しかし、数分間物色した後に諦めたのかこの部屋を出て行ったようだ。そしておそるおそる俺達はクローゼットから出た。俺達ももうこれ以上収穫がないだろうと判断して部屋を出ようとした。その時、突然あの女性が俺の目の前に現れた。
「やはりいたのね。分かっていたけど待っていて正解だったみたいね。さあ例の物を渡して貰いましょうか! 持っているんでしょう?」とタカビーな声で俺たちに問い掛けてきた。
手には・・・拳銃が鈍い黒い光りを放ちしっかり握られていた。
「例の物って何だ? わからないな。」-俺はカマをかけようとしてしらばっくれて言った。
「とぼけないで! じゃあなんでここにいるの? 取りに来たんでしょう? わからいとは言わせないわよ!」
「本当に分からないんだ!」-本当に分からないが何かわかるかもしれないのでしらをきる。
「あまり手荒なことは好きじゃないけど、仕方無いわね。」-拳銃の発射先は俺に指定された。
とその時、「ガタン」という音と共に藤田がドアを突き破り飛び込んできた。
「あまり遅いから心配になってきてみれば・・・これか。まったく・・・。」ー妙に冷静な感じで、ヤレヤレって仕草をしている。
不意の来客にこの女性は動揺している。
藤田に気を取られているようだ。
今だ!!と俺は彼女に飛びかかった。
彼女は拳銃を落とし、抵抗している。凄い力だ。しかし、彼女の腕力が勝っていたのか俺は跳ね除けられ逃走を許してしまった。なんとかしようとした藤田も跳ね飛ばされた。滝田さんはおろおろするばかり・・・。そして静寂がその場を包んだ。俺達は突然の事態には遭遇したものの冷静に今の状況を判断してみることにした。
「いったいなにがなんだかわからないぞ。どういうことだ!例の物って何だ?」-俺は独り言を言う。
とりあえずこの場は危険だ。
場所を移そう。それから考えたって良いのでは?と思い、とりあえず俺の部屋に行くこと事を提案した。あのムサイ部屋に人をいれることになろうとじは・・・。
そして二人とも同意し俺の部屋に向かった。
俺の部屋は特に物珍しい物の無い殺伐とした部屋だ。
とりあえず茶の間に案内し、お茶を出し俺は新聞を取りに行った。
すると新聞とともに一通の手紙がヒラヒラと地面に落ちる。
差出人は・・・「大木さん」だ!!
何故に俺のとこのポストに入っているんだ?と思いながらも二人にこれを見せた。
この手紙に何が書いてあるのかわからないが、俺はゆっくりとペーパーナイフを手に取り開封作業に移る。
そして、俺は開封し終わった手紙を読みはじめたんだ。
SNR Chapter1 ~ 道標(みちしるべ) ~ Vol.3 「黒い影」