多久さんの事件簿 ヒロイン殺害事件 1

Shino Nishikawa

多久さんの久々【ヒロイン殺人事件編】1
多久はスカイプを開いた。
空港に行って突然浮かんだ、中国の男の友達、ライラに電話するためだ。


その頃、ライラは、後輩のズィを怒っていた。
ズィが髪の毛を染めたのだ。
ライラは中国の純血を大事にしている男で、髪を染めるとか、海外の文化を学ぶとか、そういうことをよく思っていなかった。

「ズィ。中国人としての誇りを捨てたということか。」
「誇りとか、最初から分かってないから。」
「ふざけるな!このままでは、中国から、純血がいなくなる。」
「兄さん、そういうのよくないよ。」
「分かっていないのはお前の方だ。大体お前は、リー家の跡継ぎなんだから‥。」
プルルル
ライラが言いかけた時、多久から電話がかかってきた。

「はいはい、もしもし~。」
突然、口調が変わったので、ズィはライラを睨み、行ってしまった。


「ふぅ~。」
多久は上機嫌でスカイプを切った。
「誰。今の。」
リンチルが聞いた。マロは出かけている。
「ライラ。」
「ライラ?ふーん‥。」
多久がライラに出会ったのはバスケの試合なので、リンチルはライラを知らない。ライラは選手ではなく、スタッフの人だ。

もうすぐ世界陸上が開かれる。
多久とリンチルは、世界陸上をテレビで観るのが、毎年の楽しみだった。

バン
スマホを持ったナツがドアを開けた。
「大変だ。速報。」
「何?」
「世界陸上の選考に落ちた日和美姫さんが亡くなったって。」
「え‥日和さんが?」
多久とリンチルは困惑の表情で、顔を見合わせた。
日和さんは、多久、リンチル、マロ、ナツ、トウナに迷惑をかけていた女性である。
中でもマロに迷惑をかけていた。

「ただいまぁ。」
マロが帰ってきた。
「おかえりー。」
リンチルが小さな声で言った。
「どした?みんな、そろっちゃって。」
「日和さんが亡くなったって。」
「嘘‥日和さんが?」
「うん。」
「どして?」
「理由は分かんない。」

日和さんは慶応大学出身で、4人のマンションのある元住吉の近くに住んでいた。
リンチルは元だが、3人は今でもアスリートをしているので、お洒落でカッコいい国内外の友達が沢山いる。
日和さんは、4人だけでなく、4人の友達までにも迷惑をかけていた人だった。

日和さんは、ラブに対して積極的な女性だった。
大体はこんな感じだ。
「あれー。アスリートの○○さんですか?私も陸上で長距離をやっててぇ。世界陸上にも出たことあるんですよ。‥アスリートの親睦のために、連絡を交換しませんか?」
5人中4人は、日和さんを無視したが、1人は連絡を交換したので、日和さんには、普通の女よりかは、お洒落な知り合いがいた。

そのためか、日和さんは弱くても、世界大会の選考会にも呼ばれることができたし、一目置かれていた。

過去のトップ選手が、選考会で日和さんに手を振った。
「あれ、日和、なんで?」
世界陸上長距離金メダル候補と呼ばれている、田中トワラが声をかけた。
「知り合い。昔、走りを教えてもらったの。」
日和さんは言った。
そのトップ選手が日和さんに声をかけた理由は、弱い日和さんがあわれだったからである。
「ああ。まだ寝てるかぁ。」
日和さんはスマホを見ながら言った。
「何?」
「ロイザンヌ。ほら。」
「え、誰?」
「フィギュアの人。トワラって、有名人の知り合いいないの?」
「あんまいない。」
トワラは言った。

トワラは、もともとは男だった。女性に性転換したのだ。
だから、ナースとかOLとかの普通の女しか知り合いはいなかった。

その夜、トワラは日和さんをホテルに誘った。
なんと2人は一夜を共にしたのだ。

「あんたって本当に胸がないのね。」
日和さんはトワラに後ろから抱きつき言った。
「うん。」
「あー、おもしろい。」

「ハックショイ。」
日和さんとトワラは窓際で性行為をしていたので、バリスタの練馬さんと、映画監督の山吹はその一部始終を目撃してしまった。
山吹は映画撮影に生かすため、写真を撮影した。

「やめなよっ。」
練馬さんは山吹を止めたが、山吹はニヤニヤと笑い、撮影を続けた。
パシャッ。
フラッシュは日和さんの目に入った。
「あーおもしろい。」
日和さんは29才の大人の女だ。
一夜だけの恋を、思う存分、楽しんだ。


「これで、数か月はもちそう。」
日和さんはニヤニヤと笑った。
もう陸上を辞め、仕事に打ち込もうと思った。

しかし、トワラから連絡がくる。
『ねえ。もう一回会わない?』

「はぁ?何言ってんの?‥こいつバカじゃん?自分だけクーしたのに、それがよかったってわけ?私はあんたのものなんか、絶対くわえない。つーか、くわえられない。」

『もうダメじゃない?練習に打ち込んで(^^) 世界陸上、頑張ってね!♡』
日和さんはメールを返した。

ドンドン、ドンドン
トワラはエスカレートした。
「え‥。」
その日、日和さんは昔からの男と鍋をしていた。
「誰?」
「分かんない。」

「うわ‥。」
「日和。これ。」
トワラは日和に、花とクッキーの盛り合わせを持ってきた。

「ごめん。私、今、彼氏といるから。」
「彼氏いたの?‥なんで言ってくんないの?」
「え‥ごめん。でもそっちが誘ってきたから。」

「なんで俺があんなことしたんだよ!!」
トワラは大声を出した。

「警察を呼びますよ。」
彼氏が怒ったので、トワラは帰った。

別の日。
日和さんは、お母さんと2人で部屋にいた。
日和さんは甘えっ子だったのだ。

ピンポーン
「誰かしら。」
「ごめん。多分あいつ。お母さん、出てくれる?私はいないって言ってね。」
「ええ?誰なの?」
日和は首をふった。

「あらやだ!トワラさん?」
お母さんは喜んだような声を出した。
「どうしたんですか?」
お母さんはトワラに嘘をつき、トワラは帰った。

「美姫ちゃん。トワラさんがきたわよ。」
「うん‥ちょっときもいから。」
「なんか変な感じよね?」
「あいつ、ホントは男なの。」
「ええ?そんなことでいいのぉ?」

「あいつ、なんだって?」
「クスリくれた。いつもトワラさんが試合前に飲んでいるものなんだって。」

「クスリなんて、飲んでいいのかしらね。」
「ダメに決まってるでしょ。それにさ。これ、もしかしたら、私を殺すためのものかもしれない。」
「そんな危険な薬、お母さんが持って帰って捨てる。」

「いいよ。何かあった時、証拠にするから。」


数日後。
日和さんは、ロイザンヌに電話した。
YouTubeのやり方を聞くためだ。ロイザンヌは別の名前で、YouTuberをやっていた。
「No。答えられない。」
ロイザンヌは言った。
「そうですか。」

「アー気持ち冷める。」
日和さんは言った。

道で多久に会ったので、声をかけたが、多久は無視した。

とにかく、異性には、むやみやたらに声をかけないことだ。

ライラは選手ではないが、結構なイケメンである。
ライラも、日和さんに連絡先を渡していた。

日和さんは、トワラのクスリを飲むことにした。
最後に写真を撮り、ライラとロイザンヌ‥と、いうより、知り合いの有名人全員にメールした。
木了という陸上の選手以外。
木了に送らなかったのは、特に意味はない。

日和さんは死んだ。

ライラが特別怒っていたのは、それが原因である。
マロとトウナとナツも、以前は連絡先を交換したが、もう消してあったため、メールは届かなかった。

シャリシャリズの琉千家にもメールは届いたが、琉千家はメールをすぐに消した。

JOCの清子会長は、日和さんが亡くなったと聞いて言った。

「とにかく、トワラには、影響がないようにね。」

「はい、分かりました。」

日本はアスリートに優しすぎる。
確かに、アスリートなしでは、オリンピックはできない。
でもアスリートは大金を稼げない。
大金を稼ぐのは、小説家かアーティストである。

多久さんの事件簿 ヒロイン殺害事件 1

多久さんの事件簿 ヒロイン殺害事件 1

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