リオと魔法の国

西川詩乃

リオと魔法の国

Matriacil

Matriacil

リオと魔法の国
西暦8000年には、魔法族と特別な能力をもたない人間が存在していた。
魔法国はマトリアシルという名前の国で、魔法族はそこに集まり生活していた。
でも、マトリアシルには、人間も少しは住んでいる。

マトリアシルは、現在の中国の場所にある。
マトリアシルに一番近い人間の国は、ウイストンという国で、現在のロシアの場所だ。

二国は戦争にならないように契約を交わしていた。
お互いの国王夫妻の子供を交換し、攻撃された時は殺すという契約だ。
「人間の愛の力で育てていただければ、私達の子供でも、魔法力は現れません。」
アダンは膝まづいた。

マトリアシルの城は、シートルアスラという街にある。
マトリアシルの女王の名前はフラン・ライラトンといった。
フランには、全ての魔法の術を止める能力がある。
でも、大体は、夫の黒魔術師、アダン・ライラトンがマトリアシルの指揮をとっていた。
2人は仲が悪いと噂されている。
「この子を、アドニスに預ける。」
「アドニスに?占いが出来ないのに。」
アダンが言うと、窓から月を見ていたフランが、振り返って言った。

「ああ。でも、アドニスは、電流のペガサスだ。電流のペガサスは、マトリアシルに1人しかいない。」

アドニス・ロジスタンは、灰占いの魔法使い、サシム・ロジスタンと、妖精のペラ・ピトウの息子である。
愛の調べの最中に、サシムの灰が飛び、遺伝子操作され、電流のペガサスに変身出来る能力を持って生まれてきた。
愛の調べというのは、魔法族のお産のことだ。心と心が完全に通じ合った時に、目に見える愛の調べが起こる。

大人になったアドニスは、マトリアシルの警察官になったが、仕事がうまくいかず、落ち込んでいた。
ブロンドの歌手、ロリーの写真が掲載されている新聞を持った、サシムが慰めていた時、アダンが、リオを抱いて現れた。
「アドニス。」
「アダン様。」
「その子は?」
「ウイストン国王夫妻の子供だ。戦争をしないために、俺とフランの娘と交換した。」
「そんな‥。」
「アドニス。この子を育ててくれないか?」
「僕が?」
「ああ。電流のペガサスは、マトリアシルに、アドニスしかいない。」
「アドニス。俺も手伝う。」
サシムも言い、アドニスが、ウイストン国王夫妻の息子を育てることになった。

ウイストンの城は、ウイズキスにある。
マトリアシル国王夫妻の娘である、ナターシャ・ポリーは、城の使用人夫妻に育てられることになった。

ウイストンの国王夫妻の子供、リオ・ロジスタン。
リオは何も知らされないまま、自分を魔法族だと信じ、マトリアシルにある森、ミミハムハーミンで暮らしていた。
時々、サシムお爺ちゃんと、ペラお婆ちゃんが訪ねてくる。

「あらあら。今日、お母さんは?」
ペラお婆ちゃんが聞いたので、リオは、アドニスを見た。
「母さん。シーアは、リオの母親じゃない。リオの親は、リオが赤ん坊の頃、亡くなっただろう。」
「ああ‥そうだったわね‥。」
ペラお婆ちゃんは、残念そうに、ロリーの写真を見た。

シートルアスラの城の方位磁針が動いた。
アダンは手をかざすと、アドニスの影が現れ、消えた。

「じゃあ、行ってくる。」
アドニスが仕事に向かうため、家を出ると、アダンがいた。
「アドニス。」
「アダン様。」
「今日、城の方位磁針が君を指したんだ。つまり、次期国王は、君の可能性がある。」
「僕が?」
「電流のペガサスは、マトリアシルに君しかいない。」

「考えてみてくれ。」
アダンは消えた。

サシムが家から出てきた。
「どうした?」
「今、アダン様が来て、次期国王が僕だって。」
「アダン様は、お前を気に入っておるな。」
サシムが言い、アドニスは笑った。
「行ってきます。」
アドニスはペガサスに変身して、行ってしまった。

ミミハムハーミンは魔法の森だった。雨をグラスにためると、その人の気分にそった飲み物になる。リオは、大体、炭酸入りの紫蘇ジュースになった。

アドニスはペガサスに変身し、リオを背中に乗せて、空を飛び回った。

そこは魔法の森だった。
妖精族はとても優雅で美しく、雲にのって生活していた。飛ぶ時は、雲に乗る。
アドニスの彼女も、妖精族でシーア・ウェルという。

パンダ族もいた。
普段は、人間と同じ見た目で魔法力は弱いが、本気になればパンダに変身し、敵を倒してくれる。リオの親友バップ・ドナトゥもパンダ族だ。飛ぶ時は、箒である。

カラス族。魔除けと予知能力があり、飛ぶ時はカラスになる。

魔術師と魔法使いの違いは、移動の仕方である。
魔法使いは、飛びたい時に、どこからともなく箒が飛んでくるが、魔術師は瞬間移動できる。魔術師は占いも得意だ。
正直言うと、魔法族の中で一番弱いのは、魔法使いである。
どの魔法族も、魔法が使えるからだ。

魔法族達はみんな、魔法の杖なしでも魔法が使える。
でも、杖が欲しい時は、マトリアシルの中心にあるゲーテの木に行く、
魔法族が枝に触ると、杖になるのだ。

アドニス、シーア、リオは、リオの友達のバップとフィース・トラインとともに、ゲーテの木に行くことになった。
ゲーテの木の近くまでは、電車や空を飛んで行けるが、最後は30分ほど歩かなければならない。
「もうすぐゲーテの木だ。険しい道だが、ついて来い。杖が欲しいならな。」
アドニスが、息を切らしている3人の子供達に言った。

「わあ!!」
金色の鳥がリオの頭上を通った。

「Golden Hawkだわ。」
「ああ‥。カラス族と妖精の突然変異で生まれる魔女‥。」
「ゴールデンハウクは、心が濁っている者には見えないの。」
「みんな、見えるな?」
アドニスは聞いた。

金色の鳥は、リオ達の頭上を優雅に飛び、魔女に変身した。
「こんにちは、みなさんはゲーテの木に行くの?」
「ええ。子供達が杖を欲しがっているので。」
「そう。いい杖が見つかるといいわね。」
魔女はまた、ゴールデンハウクに変身して行ってしまった。
リオ、バップ、フィースは感動した。

ゲーテの木に着いた。
「わぁ~すごい。」

ザッ
リオ達が振り向くと、木の中から、中東系の茶金髪の男が降りてきた。

「こんにちは。木の中で、キツツキが巣を作っていたんだ。」

「この木の中に巣を作るのは危険だからね。」
「可愛い!!」

「僕は、ゲーテの木の番人の、グラソル・ギディオン。」
グラソルは、緑のツタがからまった杖を出した。
どうやら、腕時計の秒針が、杖に変身するようだ。

「みんな、いい杖が見つかるといいな。」
「どこに杖があるんですか?」
「ああ、枝に触れ。魔法力があるなら、杖になる。」

「僕は、この子達を、安全な場所に置いてくるから。」
グラソルは箒でどこかに行ってしまった。

シーアが木の枝に触って、杖をもらった。
黒色の杖だが、「Adniss」と書いてある。
「アドニス?」
シーアが杖を見せると、アドニスは困ったように笑った。

「よし、じゃあ誰からいく?」
アドニスが聞くと、バップが答えた。
「俺。」

バップはパンダに変身して、木に登った。
「やったー!」
バップは、緑と茶色の杖をもらった。

「次は俺。」
フィースは目をキリっとさせた。
「はい。」
シーアが作った雲に乗って、上まで行き、紫色の杖をもらった。

「じゃあ次はリオだ。」
「うん。」

ちょうどグラソルも帰ってきて、リオを見守った。

「リオ頑張れー!」
リオは木に登って、何度も枝に触ったが、杖にならず、暗い顔で戻ってきた。

「どうした?」
アドニスが聞いても、リオは首を横に振っている。


グラソルが手を叩いた。
「大丈夫。よくある。」

「それに、魔法族はみんな、杖なしでも魔法が使えるだろう。」
「いや‥。リオには、魔法はまだなんだ。」
「ああ‥。そうだったか。」
グラソルは、残念そうにした。

帰り道、バップとフィースは、ワクワクと切なさで微妙な感じだった。
リオは、バップとフィース、アドニスとシーアの間を1人で歩いた。

夜、アドニスはたき火をした。
「僕の魔法は見つかるのかな?」
リオが聞くと、
「それは急がない方がいい。」
アドニスが答えた。
「明日は忙しい。グリータ達がまた悪さをしそうだから…。」
グリータは魔法コウモリだ。
グリータ達は、アドニスにいたずらを仕掛けるのが好きなので、今も影から様子を見ていた。
アドニスはたき火を消した。

「行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
リオは、森の学校に行った。
大体、習うことは、人間の学校と変わりない。

アドニスが出勤するため、ペガサスに変身して、空を飛んでいると、グリータ達が、アドニスの背中に止まった。
アドニスが大きく動いて、グリータ達を追い払ったが、また飛んできて、アドニスの邪魔をした。
1匹のグリータが、アドニスの気を引くために、森に火をつけようとした。
「ダメだ!!」
アドニスは、空中で人間に変身し、雲に乗った。
アドニスは妖精とのハーフなので、雲に乗って飛ぶことも出来る。

突然、箒に乗った魔法使いが来て、そのグリータを捕まえた。
「トム。」
「やぁ。」
トムは、アジア系の男の魔法使いだ。
「ありがとう。」
「いいんだ。」
トムは、箒に立ち乗りし、行ってしまった。

アダンの占いは、凶が続いていた。サシム爺さんの灰占いもそうだ。
灰占いは薬草を灰にいれ、放たれた火花で占う。
サシムは、アダンに言った。
「災いがおこる。」と。


「杖があると便利だ。」
フィースは言った。

「リオにだって、もうすぐ魔法が見つかるさ。」
バップは、リオに言った。
「うん‥。」
「アハハ!」
フィースは、紫や青や黄色の雲煙を出して、遊んでいる。

そして、リオとバップとフィースは冒険しすぎてしまった。
マトリアシルから出てしまったのだ。
道に迷ってしまい、一軒の家を見つけたので、ノックすると、銃を持った人間のおじいさんが出てきた。

「すみません、僕達、道に迷ってしまって…。」
「お前達、マトリアシルの者か・・?」
おじいさんは中に入れてくれた。
「無事でよかった。ここいらは、ウイズキスの兵士が巡回しているからな。捕まればすぐに牢屋にいれられてしまう…。」
「ウイズキス?」
「知らないか?ウイストンの首都だよ。魔法族の子供は行かない方がいい。」

次の日、三人はおじいさんに礼を言い、マトリアシルに戻ろうとした。
しかし、ウイズキスの兵士に見つかってしまう。
ゲーテの木の近くで出会った、ゴールデンハウクが、助けに来てくれたので、バップとフィースは逃げるが、リオは、ウイズキスに連れていかれてしまう。

ゴールデンハウクは、アドニスの家に行った。
「はい。」
アドニスはドアを開けた。隣にはシーアがいる。
「こんばんは。」
「君はあの時の‥。」
「私の名前はホリー・ハービード。金髪の男の子が、ウイズキスの兵士に捕まったわ。」
「そんな‥!!」

ウイストン女王、サリル・ジョアルスタンと、家来は話していた。ちなみに、旦那であるジョジオは、もう死んでいない。

「マトリアシルの子供を捕らえただと?どうでもよい、殺せ。」
「それが、パトリス様とアズラ様のご子息だったようで。パトリス様が城にいらっしゃっています。」
「ふん‥。通せ。」
リオ達を助けたお爺さんが来た。

「サリル。あの子を助けてくれ。」
「引き換えに何かくれるというのか?その子供を殺しても、マトリアシルは攻めてこない。」
「この通りだ。」
パトリスは膝まづいた。
「国王夫妻の子供を交換して、育てれば、攻撃しないだと?馬鹿馬鹿しい。前国王の妹の息子など、どうでもよい。スーラ、来い。」
黒髪の王女が来た。

すると、パトリスが魔術を使い、スーラを金縛りにした。
「私の息子を釈放しろ。」
「くっ‥貴様、魔法使いか。」
「ああ、そうだ。」

リオは、釈放された。

リオはよろよろしながら、ウイズキスを歩いた。
ドン!!
「しっかり前を見ろ!!」
兵士にぶつかり、怒られてしまう。
「ごめんなさい‥。」

その様子を見ていた、ナターシャが、リオに話しかけた。
「兵士にぶつかるなんて、あなた、何考えているの?」
「知らなくて‥。僕、マトリアシルから来たんだ。」
「そうなの?私は、ウイストンから出たことがないの。」

「私の名前は、ナターシャ・ポリー。あなたの名前を教えて。」
「僕の名前は、リオ・ロジスタン。」
「リオ?珍しい名前ね。あなたって、魔法使い?」
「ううん、まだ違う。」
リオは、ナターシャと街を歩き、少し恋心が芽生えてしまう。

アドニスが迎えに来た。
「リオ!」
「アドニス!」
「大丈夫だったか。心配したぞ。」
2人はハグをした。

リオは、振り向いて言った。
「この子は、今日友達になった、ナターシャ。」
「ナターシャ、リオをありがとう。」
「いいの。私、買い物を頼まれているから、もう行くわ。」

街で、パトリスがリオに声をかけた。
「リオ!!」
「お爺さん‥。」
「息子よ‥。」
パトリスはリオを抱きしめた。

「そうなんですか?」
アドニスが言った。

「ああ、そうだ。すまない、リオ。」
「え‥?」
「昔の契約だ。マトリアシルとウイストン。お互いを攻撃しないために、国王夫妻の子供を交換したんだ。だけどお前は、あの傲慢な女の息子じゃない。私と、私の妻だった女性、アズラの息子だ。アズラは人間だったが、もうこの世にはいない‥。」
「そんな‥。」

「では、フラン様とアダン様の子は、どこにいるんですか?」
「女王の使用人夫妻に育てられている。」

アドニスとリオが、その家を見に行くと、ナターシャが花に水をあげていたので、リオはショックを受けてしまう。
「ナターシャが‥?」

「リオ?」
家に戻った2日後、アドニスはリオの部屋を覗くと、リオはいなかった。
リオは、ナターシャを助けるために、またウイズキスに行ってしまったのだ。
そして、捕まり、人質にされてしまった。

「スーラ、首は、まだ痛むかい?」
「はい、痛みます、お母様。」
「ふん、私の娘を傷つけるとは、許せぬ。兵を集めよ。マトリアシルなど、滅ぼしてくれるわ。」
サリルが言った。
「ミサイルの準備をしろ。」

その様子を、ゴールデンハウクとなったホリーが窓から見ていた。
ホリーは飛び、カラス族に知らせ、カラス族は大群となって、皆に危険を知らせた。

「大変だ。ウイストンが攻めてきた。」
アダンは、フランに言ったが、フランは、ぼんやりと文章を浮かし、眺めている。
この文章は、王になった人の下に集まってくる物で、マトリアシル国民の声だ。

「これから城に行くが、一緒に来てくれないか?」
フランはため息をついただけで、何も言わない。

フランは、手を動かし、キラキラしたものを出した。

「何をした?」
「ミサイルを止めてあげたわ。」
「‥そうか。ありがとう。じゃあ、俺は行ってくるからな。」

まず、アダンは瞬間移動し、ナターシャの家に行った。
ナターシャの家には、ウイストンの兵士達が押し寄せ、ユナとベイが扉を守っていた。
「一緒にマトリアシルへ。」
アダンは、3人をアドニスの家に連れて行った。
「アドニス、シーア、あの事を。」
アダンが言うと、シータはうなずいた。

アダンは、マトリアシルの100人の部隊を、一気にウイズキスに瞬間移動させ、戦いが始まった。

「あの事って‥?」
不安になったナターシャは聞いた。
「実は、あなたは‥。」
シーアは言いかけて、口を閉じた。
ユナが口を開いた。
「ナターシャ、あなたは、私達の本当の子供ではないの。マトリアシルの王様と女王様の子供です。」
「そんな‥。」
「今、ウイストンからナターシャと引き換えに、マトリアシルに来ていた子供が、サリルに捕まってしまっているんだ。」
アドニスが言った。

「じゃあ、私の代わりの子は誰‥?」
「その子は、リオだよ。」

アダンは、城に来た。アダンは頭をさげ、リオと引き換えに、自分を殺すように頼むが、リオは殺されてしまう。
人々をかきわけ、パトリスが現れる。

「私の息子をよくも‥!!」
怒り狂ったパトリスは、杖で突風を作りだし、ウイズキスの兵士達を吹き飛ばした。
窓を開け、ウイズキスの街にも、突風を吹かせた。
ウイズキスの、住民の家の屋根は、吹き飛ばされていく。

「うう‥うう‥。」
サリルは苦しんでいる。
「パトリス!!」
アダンが止めに入ったが、止めない。

「お止めさない。」
遅れて到着したフランが、パトリスを止めた。

パトリスには、伝説の能力があった。人の傷を自分のものにするという能力だ。
パトリスが光を出し始めたので、フランが首をふった。
「ダメです、パトリス。他人の傷を、自分の傷にする能力は、この100年間、あなたしかいない。使ってはなりません。」

「今、使わず、いつ使う。息子を助けるためだ。」
リオの傷を自分のものにし、パトリスは死んだ。
フランは、パトリスの頬に触れたが、パトリスは生き返らなかった。
「お父さん!!」
リオや、魔法族たちは泣いてしまう。

ナターシャは、ユナとベイと、シーアの雲に乗って、ウイストンに戻って来た。
アドニスはペガサスに変身し、電流の力で、屋根を直した。

「うう‥。」
サリルは泣きながら、二度とマトリアシルを攻撃しないとサインした。
攻撃しようとした時は、城が破壊されるという、魔法がかけられてしまったのだ。

「やはり、マトリアシルの王は、フラン様です。」
「そうか。でも、いずれは頼むぞ。」
アドニスはアダンに頭を下げた。

ナターシャは、リオに言った。
「あなたのお父さんは、あなたの傷を、自分の物にして、亡くなった。」
「うん‥。」
「あなたのお父さんは、立派なのね。」

「ナターシャ。君と僕は、ずっと入れ替わっていた。本当は、君が、マトリアシルの子供なんだ。」
「でも、私は、魔法の力なんてないし、お父さんとお母さんと、まだ、ここで、一緒に暮らしたいから。」

「リオ、帰るぞ。」
アドニスが言った。

「うん、ナターシャ、またね!」
「リオ、元気でね。」
リオはアドニスに乗り、マトリアシルに戻った。


シーアは、先に、アドニスの家に戻っていた。
『10年も付き合って、子供ができないなんてね。』
シーアは、「Adniss」と書かれた、黒い杖を折った。

「シーア!」
外にいる、茶髪で、少しだけ太った男が声をかけた。
「はーい!」

『さようなら、アドニス。愛してたわ。』
シーアは、置手紙を残した。

「やっぱり、これね。」
シーアは茶色の杖を出した。

「ごめん!行こうか。」
「うん。君の好きな所に。」

2人は手をつなぎ、シーアの雲で、飛び立った。


家に帰ったアドニスは、手紙を読んで、切なそうにした。
リオは気づいたようで、手を洗いながら、振り向いた。

「大丈夫?」
「ああ。」

「リオー!!」
バップとフィースが、外に来ていた。

『シーアが、出て行っちゃったんだ。』
『シーアさんが?』
『そんな‥。』

アドニスは、手紙を持ち、外に出て、遠くを見つめた。

アダンは、水晶玉に手をかざし、アドニスの様子を見ていた。
「シーアと別れたか。フランに知らせないと。」

「フラン。」

アダンが、フランの部屋に入ると、誰もいなかった。
アダンは首をかしげ、城の外に出た。

すると、フランと茶髪の男が、ベンチに座って、親しげに話していた。

「フラン。」

「あら、バレちゃったわね。」
「その男は誰だ?」
「イヨーナ・ブラウス君よ。」

「ども。」
ブラウスは、帽子のふちに触り、挨拶した。

「ナターシャは、あなたの子供じゃないの。ブラウス君と私の子よ。」

「そんなこと、あるわけがない。愛の調べは、俺達の目の前で起こったんだぞ。」

「いいえ、違うわ。愛の調べが起こった時、ブラウス君は、岩陰に隠れていたの。」

「そんな‥。」

「本当です。俺が人間だから、フランが、愛の調べを止めていたんです。フランには、全ての魔法を止める能力がある。」
「でも、例外もあるわ。」
フランは、ブラウスに優しく微笑んだ。

「大変だったわ。だって、ブラウス君と会うたびに、愛の調べが起こりそうになるんですもの。でも、ある日、あなたが現れたの。」

「そんな‥。」

「今まで騙していて、ごめんなさい。」

フランは、離婚の契約書を出した。

「ここにサインを。」

「それから、これもね。」

フランは、王の退任書を出した。

「次の王は、あなたよ。アダン。」

「アドニスには、早いわ。」

アダンはうつむいた。

「首相、頑張ってください。」
ブラウスが言った。

「さようなら。」
フランは、ブラウスの背中をさわり、2人で雲に乗って、飛び立った。


「でも、やっぱり、アドニスだろう?」
アダンは、黒い指輪が沢山ついた手を、空にかざし、空に、六角形の星の雲を出した。

アドニスは、王になることになった。
戴冠式には、リオ、バップ、フィースも参列した。

アドニスは、城に住むことになったので、ミミハムハーミンの家には、サシムお爺ちゃんと、ペラお婆ちゃんが、引っ越してくることになった。

リオ、バップ、フィースは、リオの部屋で、マトリアシルの地図を広げていた。

「どうだ?」
アドニスが来て、聞いた。

「何?」

「いたずらするなよ。俺がいないからって。」
「大丈夫。」

「アドニスって、この国の王でしょ?」
「一応な。でも、マトリアシルは、俺の物じゃない。」

「ふーん。」
「じゃあ、誰の?」

「みんなのだ。」

3人は、いたずらっぽく笑った。

「いたずらするなよ。」

「する。」

「ダメだ。」
3人は、家を飛び出て、箒に乗った。
リオには、魔法力がないので、フィースの後ろに乗った。

アドニスが来て、ペガサスに変身し、リオを背中に乗せた。

壮大な森の上を、4人は飛んで行った。

【Matriacil】
【魔法の国の子供】
【Errand of the sky】
【Goodbye World】
【Adan】
【Adniss】
【Beautiful Dreamer】
【When I do count the clock】
by shino nishikawa

リオと魔法の国

リオと魔法の国

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
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