たのしいね、うれしくて、たのしいね
短歌十首。
ひとの音 救いの雫 街の灯は 淡き命の ぬくもりと消ゆ
一生の重みで駆けた生の彩(いろ)
青のフィルムで
いつも待ってた
夕暮れの
白い壁の陽 残されて
「生きているのは、愛されたから」
選ばれて
生き残されて
選ばれて
生き残されて
陽に包まれて
「あんなにも、わかってくれた、ただ、おれを」
眩しい
ままで
とまる
「おやすみ」
「リル、うれしくて、たのしいね」
おまえへの詩を
かぶり
眠る
夜
夕刻の
疚しさだけが くやしくて
いつか待つ朝
雪の葉の朝
時がまた降り落ちてくる無惨でも時が優しく振り落ちてくる
詩はとおく
ただひたむきの いのちあり
せつなるものは 旅にひろいて
雨だれは
ひとを探して
泣く音色
寂しさもまた 綺麗じゃないか
たのしいね、うれしくて、たのしいね
作者ツイッター https://twitter.com/2_vich