ささきななこ @nanako_tanka 2019
ボーイ・ミーツ・ガール。
ガール・ミーツ・ガール。
ファンタジー・恋愛・コメディ。
失恋を乗り越えるため書いたうた千を数えて昼に飲む酒
少しずつ忘れて行ける思い出を新たにしまう場所を耕す
「先ほどのお客様から」ポケットに差し込まれたるちいさな手紙
へたくそな手の内見せるその意味は虎にもなれぬ我が身可愛さ
素晴らしい作品RTで我と挟んでセルフ公開処刑
ディストピアだったらむしろ救われる惣菜は冷たいまま食べる
離れては嘘になりけむ連絡も寄越さぬひとを待つぞ悲しき
口笛を練習したの次に会う時は上手に笑えるように
別れたくないから友達でいてね余興もスピーチもしてあげる
気にするなみんな足元しか見てはいない安心して泣くがいい
別れたくなかった友達でいればよかったひとりじめした罰だ
照準は自動で〈君〉に合っているピンを外して爆発を待て
白と黒交互に煙吐く鳥の声じゃあじゃと秋晴れに満つ
人びとも車掌も手振る夢の道坊っちゃん列車大声で鳴く
会いたいと強く願ってキス待ちのような裂け目のフィナンシェ齧る
あいさつにひそむ祈りに繰り返し同じ温度で応えてくれる
例外はある統計で相性のよくない組み合わせのふたりも
買う服のコレジャナイ感積み上げる「似合う」と「好き」の相容れぬ塔
抗いし主人公たち微笑みて子を守らへり元の姿で
伸ばしたら「似合うね!」切ったら「似合うね!」君が君ならそれだけで好き
砂の城せめてコンクリレベルにはしたい発達せよ腹斜筋
卒業後そっけない友よごめんね勘違い「元クラスメイト」よ
舐め比べ味を知る利き酒と恋重ねて浮かぶ未来の姿
愛したい未来のパートナーおもう出会う前から恋をしている
魂が夜毎ぬけだし流れ星君恋しやと枕が濡れる
ありのままだと生々しすぎるから包んで味をつけ焼き直す
感謝など上流階級のおあそび腹が満ちねばヒトもケダモノ
くれるならもらう底のない渇望いちばんほしいのは満足感
君の手にあればなんでも美味しそう「同じものください」コレじゃなく
わからないならそれでいいこちらに関わらず勝手にお幸せに
わからないならそれでいいわかってるフリも同情心もいらない
くれるならなんでももらう底がないザルの目埋める愛をください
目が覚めなければアイツもあれでいいところもあると言ってもらえた
体調の良い時にしか開けないLINEインスタきみのおもいで
さびしんぼだからあなたをゆるせない私のいない日々は美味いか
君に会うためだけにここへ来ましたふたりぶん食べ恋を殺した
お預かりしている恩も原稿も形にできる元気が欲しい
この空に消えるばかりの声出して後悔さえ独り言になる
ドクターかカウンセラーか辞められて困る会社の人のためだけ
君の言う「好き」は恋ではなく欲と依存執着ミックスジュース
ななちゃんのおかげと母は笑う新人教育で褒められたって
「杏仁がラッキーフード!」迷ったら杏仁ばかり連れレジ通る
10代の事故死のニュース見るたびに羨ましがれど鬼ではなし
一生をください君のことぜんぶ愛しますからあいしてるから
執着を捨てきれたなら夜になるたびに悔やまず眠れるだろう
眠くても眠れないから泣く赤子夜泣きのわけが今更わかる
あいしてるなんてウソツキ本当に愛してるなら忘れてあげて
湧き出して止まらない執着抑えるためにポテチ煎餅アイス
眠れない夜は長すぎて一夜にして百歳でピンピンコロリ
友達がほしい友達がほしい舞台の上でさえ一人芝居
なによりも大切だった夢も友達が望むなら捨ててもいい
掻き集め夢にすがって目を瞑る藁と知りても溺れていれば
闇の中藁はどこだと手探りで昔の夢を引っ張ってくる
藁でいい縋りたい息ができない足が着かない陸上なのに
この先は底がない沼引き返すならいまですよいらっしゃいませ
エンドレスリピートかけてチャプターを溶接してクライマックスで
生きなければならない気は気のせいか気のせいのような気もしている
さびしさが音をつくるのならこれは重なりすぎた末の無音か
さびしさが音をつくって重なって高まって手に入れた静寂
執着を愛と言い換える卑怯の共犯でしょう手を離すなよ
そしてまた私のせいにするのでしょワンパターンね君の手口は
冷凍庫のぞいて3日セルフ「待て」セルフよしよしハッピーホリデー
好きだから始めたはずよ勝ち負けを決めたらすでに負けているのよ
幸せについて考える暇さえなく幸せにただ生きてたい
もう比べなくても分かる味でしょうあとは「幸せ」だけを食べたい
独り占めしようとした罰だろうか摘んだから枯れてしまった花
別れたくないから友達でいてね野生の花は末永く咲く
押し花にすればよかった恋の花信じた愛もこうなればゴミ
100枚に一枚あれば上出来の写真の世界続ければ勝ち
数百の中でひとつぶひかるものあればいいとにかく数作れ
離れたの君からでしょう? 過去形に傷ついた顔しないでくれよ
白、黒、と交互に煙吐いて行く鳥の声ヂャアと満つる秋晴れ
「こんなはずじゃない」? いいとこ取りできるだなんて勘違いしてたのか?
泣きながら生きろよ望んだんだろう死ぬまで終身刑を楽しめ
嬉し泣きでしょう? 望んだんだろう? 死ぬまで終身刑を楽しめ
いいところ取りをしようとした君にふさわしい罰だと思うがね
悪いとこ含めて君でそのシミがあるから君のこと愛してる
「今日は雨降らない予報」君は言うけどこの頭痛ほら降り出した
愚痴聞くよ助けるよなんでもするよだけど産んだら後悔するな
潰れてるミカンを避けて通る道これが猫でも埋めたりしない
行く先は赤信号の対向車右折ゆずらずどこへ行くのか
辛い時ひとのせいにはしないこと偽物が本物になるまで
関係はなんでもいいの終わりたくないから友達でもなんでも
クックドゥ使えど同じ味は無しまた味わえば常新しき
誰にでも作れるカレー、シチューでも好みも味も千差万別
年イチでコース料理を作る父より毎日のクックドゥ母
「偽善者だから自己満で十円を入れたの」君が笑うレジ前
寂しさを知って対処法を知って寂しい人笑わせるピエロ
仕事ではえがかず笑わせてあげるプライベートで刻むしずく型
うなだれて「僕はピエロだ」何を言う君はあの子を笑顔にしたよ
今ここにいないあなたを描くより隣の友を愛する決意
花は散る炎は尽きる夜は明ける恋は有限友達でいて
五歳ごろ母が叱ったやり方で内なるわれがわれ糾弾す
唸り声あげてつとむるトースター及ばずいたづらにぞせしむる
十五年前の母が胸に巣食い現在の母見て這い出でる
そんなこと言っていないと言う母よ刈らねばならぬ其が蒔いた種
蒔いた種わすれた頃に実りけり腐った実こそ殺し給へよ
この家の王にやあらむはや殺し給ひてよかしあはれはかけよ
拷問をしたいのでしょう楽にさせたくないのでしょう生きろだなんて
生き地獄死ぬのも地獄きみの手はどこへつながるその手は藁か
ツイてる♪ と十回言ってワンと鳴けいいから笑えspred the butter
お世辞でもいいだろ褒めてもらえたら喜んで可愛いバカであれ
利用するよりされていろ神様は見ている細菌見るような目で
バカな子の方が可愛いそうでしょうわたしはバカだからかわいいの
そんな目で見るなよあきらめさせてよかわいいとかわいそうは同じ
青い血のように分泌されるもの啜りたいから生かすのだろう
感謝して生きねばならぬ形から入れ心は後で来るから
「死にたいの」そうか慰めてあげるよ殺してやるからそこに並べよ
甘んじて負う罪までも愛おしい望むならその腕切ってやる
痛いだと? ならばお前はまだ早いホントウならば痛くないから
去りなさい深みにはまるその前に引き返えすなら最後のチャンス
「殺してよ」そうかお前は殺されたつもりで側で生きたらいいよ
殺されたつもりで生きろ望むなら痛みも甘い飴もあげるよ
pet nameで「ちゃそ」と呼ばれるような恋愛ばかりをしてきました
ちゃそのちゃとかれぴっぴのぴが混じり「ちゃぴ」と呼んでた懐かしき君
かっこつけていても所詮恋愛でばかになるよな女だったよ
「さみしぴの。。。」せめて「さみしい」と書けや! と脳でツッコミながら送信
さみしいはもう言いません次からは言わせて笑んで頭撫でます
バカだろう呆れるだろう私こそ予想もできず驚いている
失恋を乗り越えるため書いたうた千を数えて思い出に酔う
失恋を乗り越えるため書いたうた千を数えて昼に飲む酒
照準は自動で〈君〉に合っている撃鉄起こせ止まれ心臓
想像の世界でいつも崖にいて離すもんかと手を握ってる
友達の誕生日に書いた歌詞を手紙で渡す曲もないのに
しあわせをノートに綴じる母さまの少女時代の四つ葉押し花
ぐるぐると混ぜ泡立つるクリームも君から出づる愛の姿か
変更に慣れよ毎日違う道とおって帰る動悸撫でつつ
アトピーで弱った肌に宇津木式ミネラルファンデ薄く塗りたる
仕事中浮かぶ短歌を空(くう)に置く空即是色色即是空
母が日々唱える般若心経ぞ身に纏いつる耳の裏まで
母さまが厳しくなったのは君のせいか死ぬ死ぬ言った私か
必滅を定められつるいのちでもハッピーバースデーをおまへに
この週は元気がないの震えつつおまへのせいでねどもと縋る
絵付けにておまへを思い書き付けた「いのち」笑わざるは君ひとり
二十年変わらぬおまへの写身(うつしみ)未来予想と差し替えむとす
今日からの一週間はおまへだけおまへのためにうたを捧げる
コップ裏「いのち」を君は「大事ね」と微笑み我の胸撃ちにけり
失恋を教えてくれた君のこと追いかけるのはもうやめにする
来年の冬に着ようかこのコートそれまで生きる目標を買う
来年の冬に着ようかこのコート「来年の冬」までの切符だ
入っても似合わない服集めてはよぎる葉っぱの時代の姿
君よりも好きになれたら消す用と題したフォルダ非表示にする
ただの紙価値を信じて金になる、使わなければ君の力も
春めいて叩き売られるコート買う「来年の冬」までの切符を
「弟の分まで生きて母様を助けるんだよ」胃に積もる澱
いっかいも叩かれず愛されたことしかないおまへ代わりに生きて
神仏でもないおまへお願いを押し付けられて困ったろうね
届け出て保留のままで預けてた願いをいつか取りに行きます
伏せておく鏡と写真広告の笑顔邪悪に感じられたら
三つ指をついて謝罪と感謝述べ奏づお願いおまへに届け
叶えないおまへは見捨てたのじゃなく立ち直る姉待っていたのか
情けない姉でごめんね押し付けてごめんねあとは任ておくれ
来年の手帳、来季の服、明日食べる菓子パン、用意しておく
来月の予定を埋める「わたくしが居ねばまわらぬ」理由をつくる
いなくても地球は回るけど店は回らないから明日も生きる
「あなたしかいないの」すがるメンヘラの女みたいなブラック企業
たいせつなスタッフ(こいびと)ならばもう少したいせつにしてメンヘラ会社
(買ってよね)(買わぬとはさみでちょんぎるぞ)エガオノウラがこわい広告
シングルのベッドの端で眠る癖眠れない夜君のせいだよ
上書きはしません新規作成をします昔のフォルダは削除
シングルのベッドの端で横になる“眠れない夜 君のせいだよ”
意趣返しのように私の口癖使って君は別れ切り出す
この穴は取っておきます換気扇胸に欲しいと思ってたので
アイコンと文字列が君。君からも架空の人と思われてたい
遠くから見るからいいのそれ以上近づかないで毛穴見ないで
囁きで波打てばふと思い出す身体は水でできているのだ
さよならを数えることももうやめる運命ならばまた会えるから
開いた穴埋めてくれてた君が去り風吹き抜ける洞がうまれた
「アイ・ラブ ・U」音叉掲げて笑う君それはYとも言えぬ眩しさ
移ろはぬ春はあらざり散りにけり永久(とわ)を望まば君殺さまし
開いた穴埋めてくれてた君が去りうまれた洞に風吹き通る
それなりの心だからか開く穴も洞で伽藍堂とも呼べず
ファインダーもしくは画面越しの距離棘触れ合わずキレイに見える
からからにタンスの奥で干からびて色褪せていく服にならまじ
静かなるタンスの底で移ろひて乾ぶる衣にやゆめなりそ
あなたにも選ぶ権利があるようにもちろんこちらにもあるだけよ
“本当によろしいですか?”ファイル:君 震える指で「戻る」を押した
「君と会うために生まれてきた」嘘はダメよ「さよなら」ねぇどっちなの
あったことあったらいいと願うこと混じる夜にはより回る酒
幸せになってね、とかね、よく言うよ傷ついたのは君のせいだよ
ゴミ箱に入れてもすぐに戻り来る呪いか自動バックアップか
空白の中の空白受け売りでマトリョーシカは彩られてる
あの人のおすすめこれも…本棚の中に「私」はひとりもいない
良い返事すればよかったもう二度と君に会えぬと知っていたなら
最後なら笑顔が良いねいつなのかわからないからもう泣かないね
殺されたいけど通り魔や事故は嫌ドラマチックにひとつよろしく
この先は「進んでも良い」のでしょうか青になるのは顔色ばかり
想像のチョコの香りを味わって食べたつもりでおやすみなさい
想像の世界でいつも崖にいて離すもんかと手を握ってる
名付けたら愛となる気がしていたわ君の手放すどこへでも行け
「君が好きなのは僕ではなく僕の形をしてるお人形でしょ」
明日から人面瘡と入れ替わる周りの人のためになるなら
振り切れて安定してる針が指す「不安定」からビクともしない
安定を流し込むのは水でしょうルールブックに書いてあります
これ以上一緒にいたら君の評価下がりますから別れましょうか
まだ生きています私は強かった他の人なら死んでいますよ
おもちゃ箱ひっくり返しガチャガチャの箱庭にある学習机
「花」の付く名前で生きてまだ枯れず押し花にされた記憶も無し
温泉に行こうと言って今すぐに出かけてくれる友はいずこに
「この湯気がおいしいでしょう」「お位牌になったら高いお米にしてね」
温泉に行こうと言って賛成をくれるは男ばかりなりけり
死亡事故賠償金が高かった頃に家族に遺したかった
「健常者」だった高校生までは(日記はここで終わっています)
分かり合えないことを分かっていますコーヒーとミルクにはなれない
その昔おった翼の根が残り再び芽吹くのを待っている
顔を見せないで後ろを向いていろ美人でいたいと願うならば
後悔ができてよかった人生が一段深い味になります
「久しぶり」書いては消した返信がない切なさを知っているから
仕事していい子でいれば来てくれる夢から覚める呪文おしえて
現実になるなら初めから「夢」と呼ばないことを最近知った
悪魔にもなれそうにないどうしても君の幸せ願ってしまう
既読だけ付けられるからブロックはされていないと分かってしまう
私さえいなければ、(ここまで言って)(、自意識過剰、)いいえなんでも
結婚が怖いと言っていた頃に戻りたいあの頃は良かった
タイムマシン戻れるならば4年前今の記憶を持って行きたい
痛みでも引き戻せない暗闇で君のことだけ待つアリジゴク
「つまらないアイスの方が高いのね」「丁寧な暮らしは高いのよ」
こんな暮らしがしたいねと泣き笑いしてた君はね、うそつきだよね
うそつきでいいよと君は言うでしょうそれが人生だと目で語り
いまここで背中を押せば永遠が手に入るけど手が震えてる
永遠に愛されたくて将来のゆめは未亡人だと言ってた
いつの日か心変わりで捨てられることを薄々気づいてました
君のこと好きになりますと決めたらほんとに好きになった(病気だ)
「好き」なこと思い込みかもしれないと明日の分の薬数える
一生を薬と生きる選択を強いられている(この主観では)
「気」が病気、「気持ち」が病気、君のこと好きなことすら嘘にされてく
中学の時には言ってくれたのにもいちど言って「死ねよ」と言って
見返してやろうと試験勉強に打ち込んだ(将来がこれかよ)
チョコレイト食べ過ぎるのは君からの甘い言葉に飢えているから
苦しさを吐き出すのなら調味料少々混ぜてせめて短歌で
幸せも短歌にできる「失恋のおかげ」だなんて慰めないで
このかたちはまるところを探してるとりあえずいまここに居てみる
それいいね褒めらるるもの懐かしき希望の道は後ろにできる
「キラキラのアクセサリーをつけましょう」とりあえずこのゼムクリップを
キラキラのゼムクリップを胸元に受付嬢も微笑む4月
欠けているところ含めて君・レゾンデートル・フォー・ユア・ドーナツホール
寒くないのに震えてる受付の下でこっそり膝を抱える
お互いの未来のためにさようなら「これからの君 応援してる」
目を閉じて引かれるままに歩こうか見えないふりと君も知ってる
かわいいね、舐め合う傷は治らないように君のをときどき抉る
分かり合えないことを分かってるコーヒーとミルクにはなれない
個室にてストッキングを脱いだ後ギザギザの爪恥じて寝ころぶ
オイル塗る背中の赤いあせもにも伏せた腕にも積もる沈黙
しんしんと積もる沈黙雪のよう焦る心も清めてくれる
色盲の人に伝える空の青私にも教えて愛のこと
過ぎ去った君が美化され鎮座して恋ができない呪いに変わる
わたくしは過去の遺物となりにけり、あとはれいわの人に任せる
女のコであった武器を手放して人間になるさらば平成
補正した鏡の中のかわいさをひとりじめするナイショの儀式
お賽銭入れた直後に片方の鞄の取手カランと外れ
御神籤のやまいの欄は今回も「医師の指示には従うべし」と
泣き声を消すため浴びるシャワーの湯滲みる左の膝の擦り傷
しあわせが ついてくる音 パピプペポ
二百円超えるお菓子を手に取ってしばらく眺め転職決意
失くしたと思って買いに行こうかと考えていた本を見つけた
洗濯機回る音背に「キッチン」を母が風呂から上がるまで読む
脚本の中に友達つくりだすわたしはあなたあなたはわたし
「そばにいるだれか」が好きなあのひとは離れていれば一番遠い
きのうまでともだちでした今日からは「わたしのすきなあなた」になった
告白をしないで過ぎたあの夏をときどきなぞる透き通るif
#望むのは誰も傷つかない世界 白一色のチェスの盤面
溶けかけたキャラメルふたつ降り積もる庭の雪見て食べる夢見る
wacoというシンガーソングライターの不在でこれも夢だと知った
wacoの曲くちずさみつつ(脈絡の無い歌詞だからやはり夢かも)
偉ぶるはえらくないひと強がるはつよくないひとキグルミのなか
そのひとにとってふつうのことならば声張り上げる必要もなし
「しにたいね」「しんだらおかねいるからね」「ちょっと体を売ってきますね」
近づけば汚してしまうガラス越し眺める君は宝石みたい
通勤の40分で繰り返す「感謝してます」素振りのように
世界とはそのときそこにあるもので今は唐揚げだけが真実
どこまでも泳げるここがいけすでも心は自由わたしはさかな
滅ぶなら滅んでいいよ方舟でまたやりなおすチャンスが増える
煙草とかお酒じゃなくて好きなひと2年断てども抜けない依存
依存症だから好きにはなれませんひとりで立てるまで断つ恋愛
なんでまだ生きてるのって君が言う青い顔して鏡の中で
アイコンを笑顔にすると浄化され何も書くこと無くなると知る
心がけだけで変わるか人生の対照実験組むこそ難し
首元の防具の隙間(ヘルメット、カッパ)ばかりに当たる泥水
全身で味わわされる雨の味車道の影に原付は居る
(解説?)
しゃどうのシャドウ
口癖を変えた今にも込み上げる名も無き胸のもやを見つめる
一回の雨で氾濫してしまう水無し川と似ている心
作品のセルフ解説無粋だと思ってたけど伝えるために
ステロイド塗る四肢ばかり白くなりわたしほんとはキセキレイかも
「演じてる人」を演じて玉ねぎのように重なる自我を見つめる
見るだけにしていたお菓子食べてから生きるか死ぬかどうか決めよう
将来のための貯金も将来に生きていなけりゃ意味など無いし
承認を求め掲げる一枚で「カワイイ」を得て穴が開いてく
ライブより私に会いに来てほしい君の「好きだ」が本物ならば
しあわせな気持ちうれしい出来事も忘れてしまう濁流を生く
ふたりして「わかるよ」ばかり言い合って行き着く先が地獄でもいい
嫌われて安心してる(いつか嫌われると悩まなくていいから)
久々に開いた会で私以外ちょくちょく会っていること知った
傷ついていること知られないように祈る(普通は平気、平気よ)
失恋ができた(よくあるできごとの貴重さに打ちのめされている)
廃棄まであと数時間人通りも無く貼られる半額シール
夢だけがすべてだと言うアヒルの子吹雪の中でまだ見ぬ春の
死にたいと言うことさえも許されず笑っていっそ起これ天災
2019/07/20
雨の音かと覚ゆれど蝉時雨ゆかぬ季節もあけぬ夜もなし
(解説)
昨日まで雨で最悪の気分だった。悪いことにPMSも重なりメンタル大荒れ警報だった。
朝、雨の音で起きた。今日も雨か…とブルーになりかけた時、雨の日にしては窓の外が明るいことに気がついた。
これは雨の音ではない。蝉が鳴いているのだ。今年初めて蝉の声を聞いた。夏だ。梅雨が明けたのだ。
ひさびさに朝が来たことを感謝した。朝に感謝できるのはメンタル安定時の特権である。
家に帰ったら何をしようか。ツイキャスもしたい。創作したい。メールの返事を書きたい。元気な時でないと何を書いてしまうかわからない…。
仕事は通勤込みで11時〜22時。帰ってから元気でいられますように!
恋文はまだ開けてない君の口から「好きです」と聞ける日を待つ
(解説)
「手紙…読んでくれました?」と言われて困惑した思い出。直接会って話をしているのになぜ手紙の話をする?
私を落とすのは簡単よ。1日に100回でも「好き」と声に出して言い続けてくれるひとが好き…毎日言い続けてくれるひとが好き…
ほら言って。好きだと言って。
君の口から「好きです」と聞けたなら手紙を開けて読んで泣きたい
今日だけの相手になんかしないでね「皿まで」ですよそのつもりでね
(解説)
ちょっと上から目線で呟くことで震えそうな両足を保っている。私も女だから。必死なの。すぐ本気になってしまうから。すぐ愛してしまうから。
それなら愛してくれるひとを好きになったっていいでしょう?
前向きに空回りして痛々しハムスターなら可愛いのにね
(解説)
私が前向きに何かをしようとする姿は痛々しくて見ていられないのかもしれない(セルフ羞恥プレイは趣味じゃないけど黒歴史を作りたくても作れない人もいるかもしれない。私はツイてる)
陽炎のようにゆらりと無意識があのひと探す山の手めぐり
おもかげはもう探さない山の手を降りて歩けば日が差してくる
(解説)
山手線のようにぐるぐる同じところを回っている…
「自由へ向かう」「きっと自由だ」「日が差してくる」で迷った。目的地:自由が丘。ダジャレになってしまう!
四国では反応しない自販機とSuicaどうやらここは海外
(解説)
Suicaで飲み物を買えなかった。Suicaは共通言語ではなかったのか…。ここでは現地の言葉(い〜カード)しか通用しない。海外か。
シミュレーション・ゲームの主人公(プレイヤー)として市民役する君の眩しき
(解説)
同じ「一市民役」だけど、私はコンピュータRPGのNPC…
しあわせはいつかこわれてしまうから「手を触れないでください」とある
だれかってほんとに「だれか」? わたしでもいいの? どうしてそんな目するの
(解説)
「誰か」「誰でもいい」を真に受けて傷ついたこと、いっぱいある
「笑ってる君が好き」とかそれはもう私ではない誰かですけど
30になるまで生きるそのあとは治っていたらまた考える
数えたら1,000首を超えている短歌レベルアップの音を待ってる
生きているだけで褒められ続けてるこねこのめからせかいを見たい
失ってしまうのだからはじめから何も持たない案山子でいたい
似合うかと思って買ったワンピースかわいいゆめを今日も葬る
ご指名がない日は生きている理由見失うほどお仕事が好き
両思いになれる仕事探してるお見合いをしにハロワへ向かう
「尽くしたら報われるはず!」ヤンデレのスタッフ(店にとってはキープ)
20年前は私もこの国の宝でした(咲く前に枯れた)
否定から入る母親に気づいて我が振り直す余計な苦労
アラサーで「みんな仲良く♪」ゆめみてるげんじつを侵食してくほど
本当はいい子じゃないということは私とお天道様のひみつ。
ほんものの嘘つきだからその時のために普段は嘘をつかない
アムウェイか宗教かしらいきなりのお茶の誘いは4年ぶりだし
一年中長袖だった臆病な私を脱いでキャミワンピ着る
傷跡を隠す心をさらけ出し笑えば人は枝葉を見ない
一年中長袖だった日に焼けると痛くなると言い訳をして
一年中長袖だったひにやけていたくなるとかつきなれたうそ
アラームが顔の近くで鳴りつづけ遅刻確定まで鳴っていた
遅刻でもお客様には迷惑がかからない仕事に向いている
めいわくをかけて信頼失くしてく、ひとりぼっちになる前に死を
本当になる嘘だけを吐いている本当になるまで築いている
ほんとうになるうそだけをついているほんとうになるまでついている
嫌いとか無いよ(嫌いになれるほど君のことまだ知りませんので)
どうしても欲しかった服試着して似合わないときバグかと思う
雑談もしたくてアドレスを書いているのに来ないからふて寝する
幸運に夢のようだと震えてる幸せが幸せ連れてくる
階段を落ちて回った赤トンボお前も空を踏み外したの
叫んでも助けは来ない赤とんぼだけが見ている団地の前で
叱られて世界が終わる今だけを生きるアイスを食べたら生きる
手の甲が腫れているのは目に見えることがそんなに重要なのか
いつか魔に願ひにけむと案じつつ休み渡れり足を撫でつつ
(訳:いつのまにか悪魔に願ってしまったのだろうか? と悶々と考えながら横になって休んで過ごしている。(怪我をした)足を撫でながら…。※悪魔に願うと「意に反した方法で」願いを叶えてくれる、といわれている。
生き方は自分で探すものだけど地図の読み方どうか教えて
健常者だった私を知っている人の視線に焼かれた魚
墜落が怖いと言って飛行機に乗れない実は生きたいんだろ
生きているだけで褒められ続けてるこねこのめからせかいを見たい
疲れてるかもしれないねあのひとのいいところだけ思い出される
いいとこもわるいところもあったはずだけどひたすら懐かしい君
ハイハイの膝の痛みに耐えかねてギタースタンド杖にしてみる
「薬だよ」飴玉くれた瞬間にもう効いているよく効くくすり
毎食後抗惚れ薬飲みたいねあなたを好きにならないように
惚れっぽい女ですから優しさに触れたらあとは落ちてゆくだけ
優しさを受け取ることが怖いのは恋という名の地獄のせいだ
着陸で空気の重み思い知る肩コリ無しの上空世界
飛行機の中では肩は軽かった思い知るのは空気の重み
振り向けば後悔だらけ、だからこそ「後悔しない後悔」はない
愛するにいたる閾値は小さくて安いと言われようとも叫ぶ
誰にでも優しい君のユイイツがほしいよ早く嫌いになって
スキ←→キライ 同じものだよベクトルの向きはいつでも容易く変わる
あのひとに似ている人と目が合って逸らされたから本人かもね
現実を忘れたいから旅に出る給料なんてただの数字よ
理解できないと言われて不思議です理解できる気でいたあなたに
腹を割りすぎてあふれたどろどろを正体だとどうか呼ばないで
割りすぎて溢れ出したるどろどろの腹を正体とは呼ばないで
気づかれてないと思っていたけれどひとえに君のやさしさだった
「もう八年経つから消えてほしいよね」笑い話にする左腕
背景の一部になっていく君がいたから少し優しくなれる
慎重に進んでだめになったから極端だけど次は気楽に
低いとか言ってごめんね声が出ていたこと自体すごかったのに
買いに行く気力も無くて石鹸できしむ髪、朝、怒らないでね
見るだけでときめくロリィタ服と着物もしかして:現実逃避
その言葉美しすぎて表面を目も耳もつるつるつるすべる
役立った時は生きていてもいいと言ってもらえている気がしてる
居間の声耳そばだてて本を読むふりをしている廊下は冷える
寝たふりで被る布団の暗闇で光る画面に照らされる指
そばだてている両耳が邪魔をして白いまんまの原稿用紙
嫌いならいつかは好きに変わるかもどうせ逃げられない自分だし
つくってるたんかは全て個人的感想であり保証しません
詠む、なんて高尚なことできませんこねてつくったただの文です
生きるためひとり楽しく生きるため店員さんに笑われたくない
代金を払う時だけでいいので人間として扱われたい
気づいたらわたしと話す時にだけあなたは鈍い反応でした
寝たふりをしている時に聞く声は遠い異国のさざ波に似て
もういきているのはいやよ、まちがえた、ほんとは「お」です、寝たいだけです
どんな味だったでしょうかしあわせは飲めば飲むほど渇くでしょうか
美味しさを保証されてる「焼きたて」に縋って一つだけ買ってみる
さすってもさすってくれるひとは無く悲しきセルフ・リフレクソロジー
寂しさが生んだ怪物みて思うひとごとでなし胸なでさする
朝顔の支柱に絡み付く蔓はわたし、あなたは……言わせないでよ
こんな時だから常連風吹かせフロランタンを買い占めてみる
つぶは餌わたしは金魚くちあけて漢方薬を飲むおまじない
テンサイに生まれたかったまたは冬生まれたかったダイコンムスメ
一週間かかるだなんて! 欲しい本読みたい時に読めないなんて!
タピオカのふりして潜むこんにゃくにまた騙されたコンビニ帰り
幸せな気分でい続けることを今日最大のミッションとする
居場所ならマクドナルドの壁際にこの喧騒に守られている
昔からファンですという顔をして本を読んでるどきどきしてる
せかいには光差し込む場所がありその切片を書き出している
のり弁ののりみたいだね見下ろした半地下にある電車のホーム
黒髪の人ばかりいるのり弁が電車の口に吸い込まれてく
おおよその人が黒髪のり弁が電車の口に食べられていく
うつ病がなおらないからきみのこと好きな気持ちもたぶん病気だ
少しだけ垂らす血液A型のまごうことなき人間でした
落書き帳「こんな僕でも献血ができた」途方に暮れつつ閉じる
断られ帰る献血もできない私に何が残ってますか
献血をしたいがためにやめていた再開しますオーバードーズ
Amazonの半ダンボール封筒で持ち歩きする大切な本
Amazonの半ダンボール封筒が雨から本を守ってくれる
ささきななこ @nanako_tanka 2019