強人弱神 6 final

第6章 最強の人間と最弱の神様が手を組んだら……

罰の神を倒した帰り道、運は俺にくっつきっぱなしだった。
「おい運、ちょっと離れて歩いてくれよ」
回りは暗くなっているとはいえまだ夜中とは言いにくい時間帯だったのでちょっと恥ずかしかった。
「えー、まだ一人じゃ歩けないよぉ、もうちょっとだけいい?」
ちっくしょう、なんでこんなにも運がかわいく見えてしまうんだ。
「それにしてもくっつきすぎだって」
離れて欲しいと言うと嘘になるが、離れてくれないと視線が痛いんです。(特に美紀の)
「カミヤ、だぁい好き!」
言った瞬間、美紀の視線がキッと鋭く俺を睨む、正直怖い。
空気が冷え、美紀の視線がまるで百人のごついおっさんに睨まれるような、まるで蛇に睨まれたカエルのように俺はその場で固まった。
「あ、あの美紀さん? 運が今言ったのは多分冗談だからし――――」
「信じてるわけないでしょ? それにもし本当のことでも私には関係ないんだから!」
そう言うならもうちょっと視線を和らげてください。
俺は心の中で泣き叫びながらも緊張状態の中、足取りを重くしながらも俺たちの家へと帰宅していた。
『我が主カミヤよ、少しばかり話したいことがある』
月刀が俺に話しかけてきた……というよりも俺にしか聞こえないのだが。
「美紀、運、すまん、少し時間をくれ、刀が話しかけてきたんだ」
事情を話し、近くの公園で刀の話を聞いた。
ちなみに、普段刀と話すとき周りからは女性に見えるらしい。
「で、なんだよ話って」
俺は鉄棒に立てかけた刀に話しかけた。
『なに、大した話ではないが、主の力の話だ』
ものすごく大切な話じゃねぇか!
『主の力はまるで我と同じ神の力だ、欲しいと思ったものを手に入れるそれがなんであっても、まるで全知全能の力を持った神の力だ』
全知全能? 神の力? なんでそんなもんを俺が持ってるんだよ。
「俺は神様なんかじゃない、俺は人間だ、どれだけ人間離れしてる力を持っていようが俺は人間だ」
俺には母さんも父さんも知ってるし、育てられた記憶もある。
『我もまだ確信は持てないがあれは神の力、我が過去に見た全知全能の神の力にそっくりなのだよ』
過去に見た神の力? 神様って消えるのか?
「ち、ちょっと待てよ、神様って死ぬのか?」
『普通は死なぬ、誰かに消されても長い年月を経て再生する、だが、その神は年老いて死んだ、そうまるで人間のように』
人間のようにって、そんな神様いるのかよ。
「いるよ、その神様」
「え?」
不意に運がかけられてびっくりした俺に運は言葉を続ける。
「その神様は元は人間だった、その人間はあることで人間の頂点にたった、その人間の名前は……西条カンヤ、カミヤのおじいちゃんだよ」
は? じいちゃんが神様? え? なにこの展開、冗談にしては大嘘だぞ。
「確かにじいちゃんはちょっとおかしい人だったけど、神様っていうほど偉い人じゃなかったぞ!」
どちらかというとおちゃらけた人だった。
『主よ、気お付け給え、ヤツが来たぞ創造神が』
言われ、刀を持って臨戦態勢を取ると目の前にあいつが現れた、創造神が。
「やはり、バレてしまいましたか、さすがは最強の人間というべきですか、いやはや本当にあの神たちを倒すとは、本当にあなたは私を楽しませてくれる、久々に私も本気で遊べるかもしれませんね」
遊ぶだと? そんな軽口がたたけるのも今のうちだ。
「余裕そうだなぁ、俺たち三人を相手に戦えるのか?」
「三人? どこにいるんですか? ……ああ、そこのゴミどものことですか、それならご心配なくそんなのアリ以下の存在ですから」
この野郎、俺の仲間をゴミ扱いしやがって。
「てめぇ、消える覚悟は出来てるんだろうなぁ!」
「それもご心配なく、私は消えませんから」

「それでは始めましょう……ですが邪魔者は排除しなくてはね、我はここに呼ぼう我に仕えし呪いの剣を」
創造神の手に長剣が現れた。
「我は与えよう、この剣に斬られし者に永遠の眠りを」
目の前にいた、創造神が一瞬にして消えた。
そして……
「キャァアアアア」
後ろから美紀の叫び声が聞こえた。
振り向くとそこにはさっき創造神が持っていた剣が運の胸に刺さっていた。
「運ー!」
運の元へと走る。
「か、カミヤ、え、えへへ、や、やられちゃった」
いつもと同じように笑顔で言ってくる運。
「バカ、喋んじゃねぇ!」
運を抱きかかえると傷口から大量の血が溢れていた。
俺は医療関係がなんにもわかってないから、ただただ動揺するしかなかった。
「カミヤ、さ、さっきの話の続き、わ、私はカミヤが、あの人の孫だと知って、か、カミヤに近づいた、そ、創造神を、た、倒してもらうために」
「喋んじゃねぇ! お前死にたいのか!」
そんなこと予想はしてたさ、だけど、だけど俺はお前が……
「カミヤは私の思った通り、つ、強くて、短時間で神様をたくさん倒した、こ、これは創造神ですらできなかったことだよ、そんなカミヤが、わ、私にとって、だ、大事な存在になってきたの、だ、だから――――」
「もういい」
「だから、私ね、カミヤに、あ、ありがとうって――――」
「もういい! そんなこと言われなくたってわかってた! わかって気づかないフリをしてたんだよ! 俺だってお前のことが大事な存在になってたんだよ! 俺は、俺はお前のことが好きになってたんだよ! 死ぬんじゃねぇよ運! 死んだら今の言葉が嘘になっちまうだろ? お前は俺のパートナーなんだろ? なら、今の言葉を生きてもう一度俺に言ってみやがれ!」
俺の中で芽生えた気持ちを、運に気付かされたこの気持ちをこんな形で伝えるなんてな。
俺の気持ちに嘘はない。
俺がこいつと出会ってからの短い期間で俺はこいつのいろいろな感情が、表情が、言葉が、こいつの全てが俺を活性化させる、こいつがいなくなることなんてありえないくらいにも思えてしまうくらい、俺はこいつを好きになってしまっている。
「……だから、死ぬなよ、消えるなよ、俺を困らせるきかよ」
運はニコッと微笑んで気を失った。
同時に俺の中で血が叫ぶ。
目の前の敵を倒せと、俺の大事なものに手を出したあいつを倒せと。
「創造神とやらお前に運を消す理由があるのか?」
「はっきり言うとありませんね」
な、いだと?
俺の中を炎がほとばしる。
「じゃあ、なんで運を刺したんだ!」
「あなたに本気を出してもらうためですよ、あなたは極度の怒りを感じないと覚醒しませんからねぇ、その力」
そんなことのために運をさしたのか? そんなことのために今、運は死にかかってるのか?
紅の炎が俺を中心に周りを燃やしていく。
「この紅があなたの炎ですか、いやはやこんな芸を見たのは何年ぶりでしょうかねぇ」
月刀を『力』に変える。
「お前は二段階じゃ温すぎる、最終段階で消してやる、星を照らす聖なる光太陽よ、その力を今、我が刀に」
砂鉄などの鉄が刀の周りを回るのではなく、炎のなかにで黒い刃になっていく、その周りを紅の炎が包み込む。
「これはこれは、太陽ですか、その力やはりあの方の力そっくり、く、くふふふ、あははは、面白い、面白いですよあなた、これだからいい全知全能の力を持つ者は、あの方も面白かった、あなたのおじいさまもねぇ!」
心から戦いを楽しんでいるらしい創造神、それとは逆に俺は怒りが増していく。
この力の使い方が電流のように俺の頭の中に流れ込んでくる。
「我、太陽を持つ英雄なり、我、星を作る創造者なり、我、英雄の力を持って悪を絶たん」
俺の中に入ってきた言葉をそのまま口にする。
俺の中の炎がさっきの言葉に反応するように熱く強くなっていく。
「ほう、初めての太陽なのに使いこなすというのですか、なら私は闇を使いまそうかね、我は創造神なりここに闇を作ろう光を飲み込み永遠に広がり続ける闇を生もう」
創造神の体から黒い炎みたいのが現れた。
その炎は次第に威力を増し、威力が止まる気配はない。
「それがお前の言う闇なのか?」
「はい、これの威力は止まりませんよ? たとえ、あなたが全知全能でもね」
止まらないなら、消すまでだ。
太陽は炎を放つ星だが、同時に光も放つ闇は光に弱いはずだ。
俺は刀の炎を強くして鉄を光らせた。
「そんなこともできるのですか! やはり、一筋縄ではいきませんね」
見事、闇は俺の放った光で消えた。
「なら、これならどうですか? 我、創造神なり、水の精霊よ我に水の力を、加護を与えよ」
俺の立っていた地面から高水圧で水が噴射してきた。
あんなの食らったら刀の炎だけじゃなく体もただじゃすまないぞ。
「当たったら死んじゃうだろうが!」
敵である創造神に文句を言う俺はどうかしてると思ったがそんなの関係なく言ってやった。
「あははは、楽しいですねあなたは、水だけではやはりダメですか、なら電撃も加えましょう、我、創造神なり、電撃よ我に加護を与えよ」
創造神の背後から青い電撃がバチバチと音を立てていた。
そして、最悪なことに創造神は手に水のボールみたいのを作り出した。
「ま、まさか、それを投げるなんてことしないよな?」
創造神はニコッと笑って答えてくる。
マジかよ、そんなの当たったら死んじまうよ。
創造神は手のひらをこちらに向けて水の塊を発射した。
一回目はなんとかよけられたが二回目は……
「グワッ」
避けきれず腕にあたってしまった。
そこから、休む暇もなく第三弾、四弾と連射されてくる。
俺はそれを避けられず、吹っ飛ばされコンクリートにめり込んでいる。
「く、そ、タレがぁ」
全身がくまなく痛い。
尋常じゃなく痛い、イタすぎる。
だけど、運はもっと痛いんだ。
こんなとこでやられるわけにはいかないんだよ。
「流石にまだ死にませんよね? まだ遊び足りないですよ」
遊びだって? これまでが、今までが遊びだって?
ふざけんなよ、強すぎるじゃねぇか!
創造神はさっき同様水の塊を発射してくる。
俺がはまっていたコンクリートは粉々に吹っ飛び俺も吹っ飛んだ。
立とうともしたが、上から雷が落ちてきてそれを邪魔する。
「君は確かに強い、だが、それよりも私の方が強い、君の敗因は神である私が相手だったことです」
勝ち誇った創造神が何か言っているが、反論できない。
全身の痛みが指一本も動かせないくらいになっていたのだ。
創造神が手を上にかざすと空に雷雲ができ、雷が俺に止めをさしにくるように襲ってきた。
意識が飛びかかっている俺はそれを避ける術を持っておらず、死を覚悟した。
だが、俺に当たるはずの雷は俺には当たらなかった、いや、途中で止められた。
そう、美紀の大鎌のせいで……
「あんた、そろそろ、ハンデをあげすぎじゃない?」
美紀は雷をガードしながらそんな皮肉を言った。
「カミヤ、まだ、あの神様を倒してないのに気絶する気? そんなのカミヤらしくないよ」
さっき、気絶した運も意識を取り戻したのか、美紀の隣でそんなことを言ってくる。
「う、せーなぁ」
運と美紀の顔を見たおかげで少し痛みが引いたのか、俺は言い返した。
「カミヤ立って、まだ戦えるでしょ? カミヤはまだこの刀の力を全部使い切ったわけじゃないでしょ」
まだ、この刀に力があるのか?
「私も力を貸してあげるから立ちなさいよ、カミヤ」
美紀もその力のことを知っているらしい。
でも、力を貸すってどういうことだ?
「お、お前ら、この刀の力のことなんか知ってるのか? それに力を貸すってなんだよ」
やっと、立ち上がるだけの回復を得た俺は運たちに思ったことを聞いてみた。
「半月の次を使うんだよ、カミヤ」
半月の次? てことは満月か……ということはまさか
「半月の次ってまた、キ、キスをしろっていうのか!」
「まあ、簡単にいえばそうなるね」
「しょうがないでしょ? そうするしか勝てないって運ちゃんが言うんだから」
そ、そんなぁ
「そんなこと出来るわけないだろ! そもそも俺たちはまだ、高校生であってだな――――」
「私の事好きなんでしょ?」
「へ?」
反論を言おうとしたら、逆に場違いなことを言われ声が裏返る。
「だ・か・ら、私の事好きなんでしょ?」
「いや、その、えーっと……ああ、もうそうだよ好きですよ、好きだよこれでいいか」
半分吹っ切れたように言う俺だが嘘ではない。
「そう、それでいいんだよ、カミヤ」
そう言って運は俺にキスをした……
同時に月刀が黄金に光る。
そして、俺の頭の中に情報が入ってくる。
『夜を明るく照らし、太陽の力おも凌駕してしまう月、すなわち満月なり』
月刀が謳い始めるとその黄金の光はどんどん明るさをましていった。
唇から離れた運は一言。
「カミヤ、これからもずっと一緒だよ!」
そして運は俺の首を甘噛みしてくる。
赤面しながらも俺はその行為をさせる。
「ほう、まだそんな力があったんですか、ク、ククク、クハハハ! 面白い、あなたのすべてを受け止めてそれでもなお大きな力を示す、それが神だ!」
最後は創造神の本性だろうか、敬語ではなく威圧混じりの言葉だった。
だが、今の俺なら、いや、今の俺たちならそんな威圧にも屈せず堂々と立っていられる。
「運ちゃんだけじゃ物足りないでしょ? 私の力も使いなさい、カミヤ」
そう言うと美紀もキスをしてきた。
「わ、私もあんたのことが好きなのよ、いいでしょ?」
赤面しながらも訴えてから俺の首に甘噛みしてきた。
俺の体に二人の力が入ってくる。
運命を変えてしまうほどの強烈な力でありながら暖かく、優しい炎のような力。
生ある者に死を与える冷酷で冷たい氷のような力。
俺の右腕で黄金の光を放ち、今まで俺を勝利を与えてきた、最強の力。
そして、俺の中でたぎり、燃え上がる紅の炎の力。
その全てが今、俺の中で渦巻き、混じり、強化されていく。
「運、まずはお前のケガからだ」
俺は刀を運のケガに当て、謳った。
「我は生ある者に祝福を与える者なり、この娘に懸かりし呪いよ、その存在を消し、この娘に未来を」
謳うと運のケガは完全に治り、何事もなかったかのようになってしまった。
「そんな力はあなたにはないはず、なぜそんなことができるんだ!」
キレかかっているらしい創造神に俺は答える。
「確かに、この力は俺の力じゃないさ、この力は死神と運命の力の混合の技、お前に勝つための最後の切り札だ!」
創造神はヤケになったのか、俺の方に水の塊を飛ばしてきた。
「その状態では避けられんだろう! 今度こそ死ねぇええええ!」
だが、俺はその塊を紅の炎で蒸発させる。
「そんなの避けなくてもいいんだよ、お前じゃ俺たちには勝てない! 降参しろ!」
俺は創造神にチャンスをやった。
今の俺には未来が掴める、未来を変える力を持っている。
創造神に勝つ未来なんて簡単に作れるんだ。
「誰が人間になんて降参するか! 私の全てを使ってあなたに勝ってやる!」
創造神はそう言うと手を上にかざし、謳った。
「我は謳おう、永遠の終わりを、我は作ろう、全てを飲み込む永遠の闇を、我は消そう、この世界を」
それに突然黒い穴みたいのが出現した。
その穴は俺たちの周りにあった木や、森や、人たちを飲み込んでいった。
「ブラックホールかあれは!」
俺たちは吸い込まれないようしゃがんだがそれも長くは持たないみたいだ。
『主よ、我を潰せ、あの穴の中で潰すのだ』
刀が俺に言ってくるが意味がわからない。
「お前、何か作戦があるのか?」
俺は刀に問いかける。
『星は砕けるとき闇を生む、そこから新しい星が生まれるのだ』
それって、刀を壊すって意味じゃ……
「それじゃあ、意味がないんだ! お前にはまだやってもらうことがあるんだ!」
こいつを手放すわけにはいかない。
創造神に止めをさせるのはこの刀だけなんだ。
『安心しろ、我は主の中にいる』
俺は迷ったが、やがて、こいつを投げなければならないと決心しこいつに一言
「嘘だったら、承知しねぇぞ! 行ってこい!」
俺は刀を逆手に持ち、やり投げのように刀をブラックホールに投げた。
そして、刀がブラックホールに到達する頃、俺は謳った。
「星は崩れいずれ全てを消し去る黒い穴を作る、全てを吸い込め、その穴までも!」
月刀は粉々に砕けた。
そこから、空に存在するブラックホールともう一つ俺が作り出したブラックホールがお互いにお互いの力で反発し合って消えた。
「クハハハハ、ハマりましたね? 刀を持たないあなたは私には勝てない、これで私の勝ちだ!」
俺はフッと笑い謳った。
「勝利を欲し、勝利を与えし神秘の神具よ、我の前にその姿を現せ」
俺の右手にさっき砕けたはずの刀が再生、否、作り出されている。
創造神は俺の右手に現れた刀を見て、目を丸くしている。
「な、なぜ、その刀があるんだ! それはさっき――――」
「ああ、確かにさっきこれは砕けたぜ? だけどな、星はまた生まれる」
今度は俺たちが反撃に出る。
勝利の力と死の力を混合させる。
「勝利は死の元に生まれる、死の風よ、相手を凍らせ我に勝利を与えよ」
創造神の周りを冷たい風が包む、やがてその風を浴びた箇所が氷ついていく。
「な、なんだこの力は!」
創造神が知らないのも無理はない、この力は俺が作り出した、いわば、俺たちの力だ。
「運命を決めるは紅の炎、紅の炎に包まれた相手の運命は、敗北だ!」
運命と俺の紅の炎を混ぜた。
紅の炎が相手を囲み、やがて、炎の壁が創造神を包み込み炎のドームを作る。
「うわあぁああぁあ」
創造神は叫び声を上げ炎のドームの中にこだます。
俺の首を甘噛みしていた運と美紀が離れる。
「カミヤ、やっちゃえ」
「最後の一撃なんだから本気でやりなさいよ」
そう言って運と美紀はこう言った。
「「行っけぇええええええ」」
俺の背中を思いっきり押された。
運、美紀、行ってくるぜ!
「勝利よ、俺の元に光れ! 紅の炎よ、煉獄の炎のようにたぎれ! 俺は願う、目の前の神を倒し、勝利を得ることを!」
紅の炎が刀を包む、炎は紅から黄金の炎に変わっていく。
「これで終いだぁあああああぁあああぁああああ」
俺は黄金に光る刀で創造神を頭から斬りさく。
「あ、ああ、あああ、あああああああああああぁあああああああああぁあぁぁあああああああああぁぁぁああああああ」
大声で叫ぶ神。
立つ力おもなくし、地面に膝をついてしまう人間。
「は、勝ってやったよ」
目の前で倒れている神にそういう。
運と美紀がこちらに走ってくる。
「カミヤ、勝ったね!」
とても上機嫌の運。
「全く……でも、良かった」
呆れ顔だが俺の勝利を知ると安心したように言う美紀。
だが、消えるはずの神から声がする。
「く、クハハハ、や、やってくれましたね、あ、あなたはやはり強い、ですが、これで終わったと思わないことですね、い、いずれ、私が復活したあかつきにあなたをまた――――」
「ああ、何度来たって追い返してやるよ、その度に強くなってな!」
フフッと笑い創造神は今度こそ消えた。
また、あんなのが来るのか。
「まあ、いいや、俺には運や美紀がいるもんな」
俺の両側にいる彼女たちを見てそう言った。
それに俺は守れたものがあった。
「カミヤ、帰ろ?」
運のこの笑顔が守れた。
今はそれでいいんだ。
今はそれが出来ただけで十分だ。

帰り道、ふと運がこんな問をかけてきた。
「カミヤ、もしもだよ、もし、最強の人間と最弱の神様が手を組んだら、どうなると思う?」
俺は迷わなかった。
決して簡単な問ではなかったが俺は迷わず……
「それはきっと、どんなことにも挫けず、負けず、不可能を可能にしてしまう、そんな最強のコンビになると思うぜ?」
カミヤたちは帰り道を歩く。
その先に何があろうとカミヤたちは止まらないだろう。
なぜなら、カミヤたちは最強の力を手に入れたからだ。
そう、お互いがお互いを信じ、手を組むという、決して神たちにはできなかった仲間という最強の力を手に入れたのだから……

強人弱神 6 final

強人弱神 6 final

最強の神、創造神に到着したカミヤたち 果たしてカミヤたちは創造神に勝って神様たちの頂点に立てるか

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登録日
2012-10-09

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