桜上水

これちかうじょう

  1. 虫が死んでいた
  2. 空が曇っていた
  3. 挨拶をした

此処でしか書けないこと。
此処でしか歌えないこと。
此処でしかさらけ出せないこと。

桜上水という地名が僕に想像の種を産んだ。
何気ない旅番組が、
僕に道を指し示した。

虫が死んでいた

夏は、悲しい季節だ。
僅かな命を懸命に生きようとして、
何年も準備した虫が生きて、生きて、生きて、
死んでいくからだ。
僕は、そういう懸命さが足りない。
だから、
僕も同じように死んでいくのだろう。
巡り巡って、
この星はもうすぐ海に沈む。
テレビの中で少女が活動家を名乗っていた。
何をいまさら、と訴えるその長い髪が、
少しだけ黒かったのを僕は覚えている。

虫が死んでいた。
だから、それをよけて僕は進んだ。
歩道には迷い犬がふらふらと歩いていた。
僕はそんな光景を、
スポットライトの端っこで眺めている。
何ができる。
何もできない。
今は、ただ、
こうして必死に生きることしか。
あの乾ききった虫の死骸のように、
いつか、棺桶に入って焼かれてしまうまで。

空が曇っていた

雨はまだだ。
まだ、だ。
朝からどんよりと空は曇り、
まるで定められてしまっていたかのような、
そんな微妙な雰囲気を醸し出している。

台風の多い季節。
被害の多い時期。

この小さな国で、
島国で、
それでも足元はふらつき、
だからこそ前に進むために。

挨拶をした

せーので叫んでみよう。

こんにちは。
ご苦労様です。
ありがとうございます。
お気をつけて。

ほら、やっと返事をもらえた。

桜上水

桜上水

手に入れられるもの、手に入らないもの。 僕はどこまで行けるだろう。 僕は、どこまで買われるだろう。 今日もそんなことを考えながら、 こうして授業を受けている。

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