月の下でしゃぼん玉を飛ばしている

満月の下で、しゃぼん玉を吹いている。
私はうみ出して、しゃぼん玉たちはふわふわ飛んで、しんでいく、その繰り返しを月が照らしている。ざつに吹くとたくさんうまれてしんだ。ていねいにていねいにゆっくり吹くと、ひとつ、うまれてすぐしんだ。

しゃぼん玉は、飛ばされているのかもしれない。
だとすれば、あまりにもかなしく、淡々とした関係だ。私は懲りもせず吹き続けた。

月は永遠にここにいると思った。その無責任な無限性、夢幻性。
とめどない泡沫(うたかた)の生き死にの繰り返しの上で、月の光は、病弱な久遠の光は、あまりにもあたたかい。
…きっと月もゆっくり飛ばされてしんでしまう。

石鹸水からしゃぼん玉がうまれる。
水平線から月がうまれる。
一つとして同じものはなかったから、覚えられるものだけを愛せばいい。

月の下でしゃぼん玉を飛ばしている

月の下でしゃぼん玉を飛ばしている

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-02-07

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