白昼夢

重い帰り道。
川面は街の容積を映す。

空は何も映さず、ただ超然と美しい。


人形の夢を見た。
たくさんのきみが、くるくるくるくる踊っている。目には包帯を巻きつけて。
ぼくはそれを一人ひとりつかまえて、包帯をほどいていく。くるくる、くるくると。
目はなかったので、偽モノとわかった。白く、なめらかな球体関節人形だった。首をざくりと切ってみると、中身は林檎の果実で、青いインクがどろりと漏れ出した。ぼくは本モノのきみを探して、包帯をほどきつづけた。そして最後の一人を手にかけたとき_

その瞳は何も映さなかった。こぼれた涙に、ぼくが映った。


野花と蝶々、横切る青い車、あたたかな陽射し。
僕の瞳には最早君しか映らない。

白昼夢

白昼夢

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-02-05

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