白昼夢
重い帰り道。
川面は街の容積を映す。
空は何も映さず、ただ超然と美しい。
人形の夢を見た。
たくさんのきみが、くるくるくるくる踊っている。目には包帯を巻きつけて。
ぼくはそれを一人ひとりつかまえて、包帯をほどいていく。くるくる、くるくると。
目はなかったので、偽モノとわかった。白く、なめらかな球体関節人形だった。首をざくりと切ってみると、中身は林檎の果実で、青いインクがどろりと漏れ出した。ぼくは本モノのきみを探して、包帯をほどきつづけた。そして最後の一人を手にかけたとき_
その瞳は何も映さなかった。こぼれた涙に、ぼくが映った。
野花と蝶々、横切る青い車、あたたかな陽射し。
僕の瞳には最早君しか映らない。
白昼夢