星を視る

ねこです

星を視る。夜空に耳をすませる。

流れ。瞬き。連続。時間。
巨大な心太のようなものを想像する。押し出され、細かく分かれていく。伸びる。縮む。子守唄を歌う母親、吊革に掴まるサラリーマン、星を眺めるひと、それぞれに時間は与えられるのだ。

空。瞬き。カーテン。頭上に張られたテクスチャ。空は、ラッピングのようなものではないかと思う。この地球を包むパッケージ。あるいは、地球の衣装。人間の手に余るほど美しい。いつか、君と夜明けから空を見に行ったのを思い出した。朝焼け。白とオレンジ、肌寒さのコントラストに君は涙を零していた。昼の空の青さから、宇宙と君と僕との隔ての希薄さを感じた。夕方、藤色の空が地平線から赤く燃え始めて、三日月を照らしたが、月は迷惑そうだった。あの夜は星が一つもなかった。ずっと見上げていると、静謐な暗室に二人閉じ込められたようで、その永遠性に想いを馳せた。空は、美しく、大きい。僕はもはや星を視てはいなかった。星空と、朝と昼と夜との永遠の階層を内包した空を、視ている。

星を視る

星を視る

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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