君
教室の隅で冴えない君、
大きな背中を自身なげに丸めた君、
新しい班で輪に入れず微笑んでるだけの君、
いつもただ一人で黙々と勉強している君、
そんな君が大好きだったんだ!!
それはつまり美しい少年だった。
君の首から上を花瓶にしたかった。
とりどりに塗って、石楠花や金木犀を散りばめてみたい!
黄色い花を挿していたい!
だからつまり君は私の花を容れてくれればそれでよかったんだ。
赤い薔薇をプレゼントしたかった。これは勿論サプライズで。手と血流と花と手と血脈。命ごとあなたに捧げていたい。
…でもさあ、なんでかな。
愛しいその背中を追いかけているのがつらいんだ。
あなたには私が見えるか?
充たされない要求ばかりが募ってしまうんだ。
逆恨みの怨嗟がふくれてしまうんだ。
だからさあ、…もうやめにしよっかな。
君の心に私を遺して、…こっそり縛りつけてやろう。
どうせ報われない君を遠くで見ていたい!
君