それは鬱だ

頭の中で考えていた言葉を紙に写した
いつまでもそれは白紙のままで
確かにあったそれは別れさえ告げず
昨夜勝手に玄関を飛び出して
あの曲がり角で轢かれたらしい

大切だったそれは
本質じゃない雰囲気に流された
大事だったそれは
必要じゃない出来事に掻き消されたんだ

胸の中で溜めていた感情を行動に移した
部屋はすぐさまボロボロになって
まるで何処かの誰かに似ているなんて
言わずに再び胸の中に溜め込んで
血の染みたコンクリートを打った

大切だったそれは
理解しがたい現実に攫われた
大事だったそれは
飲み込みがたい雨に飲み込まれたんだ

暗がりな空 闇雲に包まれた
寂びた街は今日 やけに明るく振舞っていた

歌の中で旋律と気が狂うほど踊った
昨日から偏頭痛が酷い それはそうと
いつまでも君はダメな君のままで
窓に映った歪な顔を横目に
僕は変わらないそれを蔑みつつ
変わらないそれを羨ましがりながら
詳しくは知らない友人の話に舌鼓を打った

それは鬱だ

それは鬱だ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-01-31

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