本当の自分
一つの鏡から始まる自分探し。
「私」の行き着く先はーーーーー
鏡だ。
そこには鏡があった。
私はその鏡を覗き込む。
その瞬間背筋が凍りつく。
顔がない。私の顔がないのだ。
比喩などではない。暗くて見えないわけでもない。
恐怖と驚きがひしめく頭の中で一つ声がした。
「それが本当の自分だ。」
この声の意味するところはわからぬが、これが本当の自分だと言うなればなぜ顔がないのか。
それが甚だ疑問だ。
なぜだ何故なのだ。
分からぬ少しも理解出来ぬ。
少し落ち着きを取り戻した頭で考える。
輪郭はあるのに顔だけが闇。
この意味はなんだと。
そして行き着く。
これはきっと自分の生き様なのだ。
自分の心を外に晒すのが怖くて心に仮面をつけるうちに本当の顔を忘れてしまった。
そんな自分の生き様なのだと。
そして私は恐怖と驚嘆を拒絶するように、目を閉じた。
本当の自分