活劇刀剣乱舞 改変案 補綴(ほてつ)者たち
2019年作品
刀剣男士の設定を少し改変。刀剣男士は負けた戦の刀剣にこもる武将や使用者たちの怨念が凝り固まってできた、残留思念の結晶体である。彼らは元の歴史にあった負け戦の歴史を改変したいという欲望を常に内在しており、その願望によって歴史改変の原動力としている。審神者は時間管理者であり、それらの刀剣たちの歴史への怨念を操って、歴史修正主義者の時間遡行軍の改変を、元の正しい歴史に戻そうとしているのである。刀剣たちはそういう歴史への矛盾を内包した存在であり、それにより数々の試練を受けることになる。なお、審神者は刀剣が反乱すると、解刀して元の刀の状態にまで戻してしまうが、刀剣たちが時間遡行軍たちに同調して歴史を改変した場合、その刀剣を無に帰することもできる。つまりその刀剣の存在が消滅してしまうのである。
はじまりの神奈川沖?だったかの船の事件はあのまま。時間遡行軍とのつばぜりあい、刀剣も審神者は慎重を期してたくさん投入しない。時間遡行軍と完全に同調する可能性もあるからである。ほころびはやはり陸奥守の坂本龍馬とのいきさつのあたりからである。坂本龍馬が往時のまま現れて、その後暗殺されることも陸奥守は知っている。その歴史は正しいので変えられない。その暗殺の雨の夜、坂本が泊まる予定の旅籠を、別の旅籠にするように、町民に化けた陸奥守は坂本に申し出て手配しようとする。それを店に入ってきた和泉守に阻止される。坂本「おはんさまたちは、いったいどういう・・・・・わしが泊まる宿はここでええが。」心象を害した坂本は、陸奥守が自分の刀剣とも気づかずに、部屋にあがる。陸奥守、和泉守にうながされて道路に出て、目をつむってつぶやく。陸奥守「あかん・・・あかんちゃあ、そこにおったらあかんのじゃ!和泉守、あんたには俺の気持ちはわからんぜよ!」和泉守「われわれは歴史を正しい方向に導くためだけにこの時空にいる。それ以上のことは・・・。」陸奥守「なんでじゃあ!坂本さんが死ぬ時に役に立てんかったわしが、今こうして役に立つことをするのが、なんでいけんのじゃ!あんたにはわからんぜよ!」陸奥守、雨の中を走り出して行く。和泉守、立ち尽くしている。その時旅籠の二階から男の悲鳴があがる。襲撃を受けたのである。
「陸奥守は危なかったね。解刀はしないの?」「まだです。まだこの時代には函館の戦争があります。こんのすけ、新たなほころびが見えるでしょう?」「そうだけど・・・陸奥守を使い続けて大丈夫かな?」「第一部隊をではそろそろ投入しましょう。」本丸に戻っている第三?部隊。元気のない陸奥守に短刀たちが群がって遊んでいる。畑の手入れをしている燭台切が、陸奥守にトマトを差し出して「まあ食え」と言い横に座る。燭台切「もとの主君に会ったのか?」陸奥守「ああ。またおっちんだ・・・・。」燭台切「でもその主君が華々しく散ったからこそ、今の我らがある。主君の思いを受けてこその刀剣だ。」陸奥守「そうじゃけどな。そうわりきれん。わしは、目の前にあん人がいると、どうしてもこのまま生きててほしいと思うてならん。」燭台切「坂本さんは生きているさ。」陸奥守「?」燭台切「おまえの心の中にな。」陸奥守、当たり前の答えに苦笑して、トマトにかぶりつく。
続き、堀川が東北の戦いで離反して、子供を守るために別行動を起こすのはテレビ版のとおり。堀川、和泉守と衝突する場面で以下の改変か?堀川「僕が別行動を起こしたのは、この時代で時間遡行軍の被害が思いのほか広がっていたからです。それも、時間遡行軍からの攻撃の範疇に入るのではないですか?見殺しにはできない。」和泉守「しかし、それによって余計な歴史改変が起こる可能性もある。審神者に命じられたとおり、主な戦場のみで戦うべきだ。」堀川「おかしいですよ、そんなの!この時代の歴史が変えられようとしているのを、根底から守るべきです。僕は、この場所から撤退はしません。」和泉守「それは、解刀されてもいいということだな?」仲裁に入る短刀、その時第一部隊が到着して、事なきを得る。しかし到着して超人的な技で敵をせん滅した三日月に和泉守は一言、「歴史を守れよ」と言われる。和泉守、黙って聞いている。
最後の函館戦。審神者とこんのすけの会話。「ここの修復が済んだら終わりだね。」「そうですね。堀川くんはもとの主人に会ったのかな?」「彼の場合は暗殺されたわけじゃないから、それほどのダメージはなかったみたいだ。継続して使えそうだよ。」「だといいけど。ねえご主人、歴史がこうして修復されていくのは、いったい何のためですか?時間は誰の目にも見えなくて、過ぎ去ってしまうものなのに・・・・。」「歴史書として存在しているという意味以外に、人間個人個人の存在が揺らがないためにしていることです。誰でも、つながって積み上げられて続いている歴史の時間の中の産物なのです。」「でも・・・・ひとつぐらいって思うことがあるけど・・・。」こんのすけに黙して答えない審神者。時間管理の図表が広がっている。
函館に駐留中の土方に会う和泉守。やはり陸奥守と同じで、往時の姿のままの主人に和泉守も感激を隠せない。自分の刀を少年に託す場面はテレビ版と同じ、ただそのあとの土方と榎本武揚とのいきさつが違う。榎本は新政府軍との連絡を取り合っていて、戦乱後の善処を願うような「海律全書」を新政府軍に届けたりしていた。和泉守は土方の側近のひとりに化け、そのことを告げ、榎本に注意するように土方に言う。幕屋から出てくる和泉守に陸奥守が言う。「おはんも土方さぁを助けとるがかや。それでええと思うとるがか?」和泉守「俺は審神者の裁量内でしか動かない。」陸奥守「なら土方さぁが死ぬところまで、しっかり見届けるんじゃな?」和泉守「ああそうだ。」函館戦がはじまった。戦いの中で、新政府軍の鳴らした鈴の音で、完全包囲されたと思い土方が絶望し切腹しかけた時、和泉守は「われわれはここにいます!」と言って、第三部隊たちと馬で駆けつける。盛り返す幕府軍。しかし時間遡行軍が現れ、第三部隊に襲い掛かる。三日月「しようがない連中じゃな。」と言って天空から現れ、加勢する。三日月形勢を見て、「やれやれ、時間遡行軍たちは榎本を担ぎ上げたいらしい。その程度の歴史改変はありえようが、和泉守がちと気の毒じゃからのう。」と言って戦う。和泉守、土方を守って戦い、榎本の分裂した軍を退けることに成功するが、時間の流れは変えられなかった。和泉守の目の前で土方は鉄砲に撃たれる。涙ながらに土方の今わの際を看取る和泉守。和泉守「私は・・・・、あなたの刀だった者です・・・。」土方少し笑って「わしには・・・、もう刀は必要ない・・・・・。」静かに息を引き取る。
ED、帰還する刀剣男士たち、審神者「この時空の歴史は守られました。次の時代に行きましょう。」で幕。
活劇刀剣乱舞 改変案 補綴(ほてつ)者たち
あまり今まで言いませんでしたが、刀剣は結構好きで、活劇刀剣乱舞は作画も話もよくできていたと思いますが、もう少しこうだったらよかったのにというところを盛り込んでいます。函館戦争のくだりは付け焼刃で書いたので、ちょっとおかしいかもしれません。これも長いテレビシリーズよりも短い映画ぐらいの分量ですね。と、生意気なこと言ってすみません。「戦国自衛隊」とか昔に見て、タイムスリップでもその感じかなあと思って、あのころの映画な感じになっています。