みちゆき
午前二時の青白い光を呑み込んで、再び制止の声を聞いている。
思い返すのはこれまでの道のことだ。
まるで手折られた花のような格好で歩いても、ほと、ほと、と普段と変わらない音がした。
降り積もった雪へ吸い込まれていってもなお、くるぶしのあたりに残響がとどまっている。
ざくり、ざくり、誰かの跡を象った氷を崩してゆく。
あたりに散らばった破片を集めるのはよそう。
溶かすより、もっと歩こう。
何度も繰り返せば忘れてしまうかもしれない、一度きりの感動を衝動と呼ぶのだろう。
打たれた胸がまだ落ち着かない、眠れない。
朝日のない朝を迎える前には、静寂が欲しい。
みちゆき