山門

果てしなき雲、
水平線の上で、舞い上がる。
じっちゃんの口癖を、
思い出す。

深き森の彼方から、
近付く者。
青白く濡れているアスファルト。
唸り声が、我が家を突き抜け、
登る太陽の光の残骸。

背を縮めた耳鳴りを
誰も理解出来ない。

こぼれ落ちる泉は、
山門の石段を削り落とし、
再びここで、君が見上げていた夏の雲を
思い出す。

動物園から、叫び声が、
僕の記憶の線を切り刻む。

金色の銅像が留めた時間が
僕の記憶のシミを焼き尽くす。

忘れないで。
あの日の道順を。
仁王門の上から見つめている過去が、
疎水の辿り着く場所で君を待っている。

山門

山門

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-07

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