暗部の孤独
ある暗闇の空間に一人の男性がたっていて、今その男性の下半身が照らされたとき、下半身がロボットだという事がわかった。そこで男性は耐えきれない孤独に襲われ右側の暗闇に問いかけた、もう何度目の事だろうか、いつもの事だ、いつまでもそうなのだろうか。
「もうすぐ、光があたります、人間たちがおおぜいやってきますよ」
地球の暗いところも明るいところも、月からはよく見えた。だからこそその景色はいつか自分にとって大切な人ができたときに、そんな事を考えた事もあった。けれどそれは永遠とも近い年月を想うと、ロマンの欠片さえも内容に思えた。
やがて暗闇から返事がきた。
「やあ、また昼が来ますか、ずっと夜ならばいいのに」
「また、そんな事を」
太陽が月の暗部を照らすとき、大きな右の岩鍵から、サソリににた生物が現れた。厳密にはもっと凹凸のはげしい、あるいは極端に平たいところもある生物、ソーラーパネルを備え付けた、人工生物はギコギコと音をたてて、やがて左側の住人にめもくれず、明るい地球を見つめる、そしてこんな言葉をはいた。
「そんな事、人類のいなくなった世界の我々にとっては、なんの意味もない会話ですよ」
暗部の孤独