千年百年物語 改変案シナリオ稿 サークル・ゲーム
2018年作品
「かごめかごめ」童謡の歌のBGM「夜明けの晩に 鶴と亀がすべった・・・」という節が聞こえる中で、主人公の青年の回想。夜汽車で手をつないで座っている幼い兄と妹。主人公とその妹。「北海道に行くのははじめてではない。子供の頃、夏と冬の休暇に母に連れられて、僕は妹と夜汽車で旅に出た。宮沢賢治の詩にあるように。母はロシア系の女性で、夏の間向こうではダーチャと呼ばれる別荘で過ごすという母の願いで、父は北海道にその別荘を買ったのだった。今はもう、母もいないので僕は行くことはない。そして僕の妹も。」
スタッドレスタイヤで平原を走行する4wd。乗っている、主人公とその仲間たち。広い北海道の原野。「こっちで合っているのかな。」「たぶんそうだよ。地図で見たらこっちだ。東経○○度北緯○○度かな。」「分推計まだ持ち歩いてんの?」主人公「自分がどの場所にいるか正確に確かめたいからな。地球の中心から見て。」「地球の中心で孤独を叫んだけもの、だな。地球にとっちゃおまえの存在なんざ毛ほども感じていない。」「同感だ。」「なにあの看板?」「外国語だなあ。」「北海道じゃ最近外国資本が土地を買いあさっているらしいよ。これから行く別荘もそうだって。」「だろうな。夏の間だけ管理してくれってわりのいいバイトだからな。」「でもそれで同窓会サークルの合宿もできるから、一石二鳥!」「そんなうまい話、信じてよかったのか?」「いいじゃんいいじゃん。」「まったく運転する方の身にもなれよ。もう一時間ぐらい走ってるぞ。○○から。」
見えてくる別荘。前に停まり、扉を開く。古い扉。「鍵は○○市の喫茶店の主人からもらったんだよなあ。あの人、ここの正式な管理人?」「さあ?あんな若い人がオーナーとは思えないけど?」主人公、回想。喫茶店のマスター「あ、話は聞いていますよ。これ、別荘の鍵ね。僕は行けないから。これ、食料と備蓄品です。ちょっとしたキャンプだね。ガスと水道は開いてます。」主人公「あなた、○○さんって言うんですね。」マスター「はい?ええそうですけど。」仲間たち「どうしたんだよ。早く行こうぜ。」主人公ちょっとにらんで無言。
主人公たち、部屋の掃除をしている。「何室あるのかな。」「さあ?一階は見て回れって言われたね。」主人公、なんとなく見覚えがあるような気がするが、入り口は違っているので最初は気づかない。うす暗い二階に上がろうとして、何かの恐怖を感じて主人公は引き返す。「どうしたんだ?」「○○は赤色の多いところは苦手なのさ。あの壁紙の色、そうだろ?」「そうかね。まあ二階は見て回れって言われていないんだし。」別荘の裏に回る。木が茂っているが、それらが一定方向に輪を描いているように歪んでいる。「なんでこの木、いがんで生えているのかな?」主人公、分水計?のようなものを取りだす。磁石の針がくるくると回る。主人公「磁場がめちゃくちゃだ。何か強力な磁石の岩があるのかもしれない。」「ミステリー・サークル?」「そうかもね。」主人公裏手の高台まで行って、やっとその瞬間見覚えがあることを思い出す。ここは妹が消えた館だ。ロケーションが違ったのでわからなかったのだった。主人公喫茶店の主人に電話をかける。しかし「知りませんね。」と断られて切られる。主人公叫ぶ。「待てよ、あんた、妹の婚約者だった男だろう?」主人公の高校時代の回想がはじまる。
妹は中学にあがったぐらいの時、この館で失踪したのだった。主人公は高校一年ぐらい?警察には行方不明ということで捜索願は出していた。主人公はその時最後まで旅行先に一緒にいたということで、噂になる。「おまえが殺したんじゃないか?」と冗談を言われる。主人公カッとなり相手を殴る。規則が厳しい高校だったので、始末書を書かされる。しかし教師の前で「僕は反省文は書きました。しかし僕の心は反省することを由としていません。なぜなら僕と僕の妹が他人に侮辱されたからです。」と言う。教師ものわかりのいい人だったようで、嘆息してこう言う。「君は他人を許すことを覚えないとな。」高校の学園祭、主人公ダンス?をしている時に相手の女の子から「妹さんはお元気?」と嗤って言われて突き飛ばす。「なにするのよ!」「こいつはちょっとおかしいんだぜ。シスコンっていうか。」主人公、内心憤懣やるかたないが、黙り込む。「僕が死んだ妹のことを考えるのはそんなに変なのだろうか。だって彼女の人生はある時まで存在していた。それが忽然となくなったんだ。以前から存在しなかったように。そう感じるのは僕が変なのだろうか。世界は、僕の妹を消してしまった。そして世界は静かに沈黙しているんだ。妹がどこにもいないまま。僕はそんな残酷な世界の、籠の中の鳥なんだ。」山に登っている主人公。高い空と山の空気。回想はこのあたりまで。
主人公、二階の部屋に夜上がっていくことを考える。妹は夜、この館の部屋で夜中に確かに消えた。それを確かめたい。恐怖を克服して懐中電灯を手に、主人公は二階への階段を上がる。いくつか部屋がある。ひとつひとつ見ていく。仲間はこのとき一緒ではない。月夜で開放窓なので暗黒の闇ではない。最後の角の部屋を開ける。古い大きな鏡がある。鏡にはひび割れがあるが、完全に壊れていない。間違いない、妹が消えたのはこの部屋だ。妹の名をつぶやく。主人公の目に涙。「戻って・・・・きたよ。」その時、鏡の上に魔法のような幻影が映る。「おにいちゃん・・・。」死んだ妹が鏡の中にいる。主人公妹と同時に手を伸ばす。その時、「あぶない!」と声がして、後ろから抱きかかえられる。喫茶店のマスターが主人公に飛びついて鏡から引きはがす。「なにするんだ!」「向こうに行っちゃいけない!あれは、時空の渦なんだ!」鏡、ぱりんと割れる。「せっかく妹に会えたのに・・・あんた、妹のなんなんだ!」「そうか・・・君はまだ知らないんだね。自分がなんであるかを。」第一話・完。
千年百年物語 改変案シナリオ稿 サークル・ゲーム
古いムーミン谷シリーズの話と、世界の七不思議の子供の頃に読んだ本とかからで書いた、よくあるジュブナイルSFの話です。この鏡の中の三次元空間がいろいろな時空につながっていて、タイムリープして地球規模的な話になれば面白いと思いますが、単なる序章の段階で終わっていて面目ないです。