初めての気持ち

授業の課題として書いた作品です。「殺意を抱く」というテーマでしたっけ。

愛してると言われたのは、昨日。言った人は私の恋人。少なくとも、私はそう確信していた。その恋人の浮気をこの目で確認してしまったのは、今日。こうなる可能性を考えていなかったわけではないが、心の準備まではしていなかった。

 現在夜の十一時。手に握っているのは包丁。人生で初めてできた恋人。もちろんその恋人に心底惚れている私。今日は休みだから、一人で買い物にでかけた私。仕事があるから会えないと言っていた彼。あるカフェと道路を挟んで向かいにある道を歩いていた私。「あの店のケーキおいしいんだよ。」って彼に以前話した私。そのカフェから見知らぬ女性とまるで恋人同士であるかのように、楽しそうに笑いながら出てきた彼。その状況を見てしまった私。私たちの間を車が数台走るから、私は気づいても、彼は彼女に夢中で私に気づかない。とっさに走って、逃げ帰った私。

 そんなことを思い出しながら、包丁を握る手に力を入れる。こんなこと初めてだから、誰を憎むべきかわからない。あの知らない彼女?彼を奪われたから、彼女を恨めばいいの?それとも彼?私を騙していたから?どうして。どうしてこんなに悲しいの。怒るべきところだと思うけど、私は悲しんでいる。この気持ちをなくしたいから、包丁を握る。誰かが死ねば、この気持ちは消えるのよ。そうよ。

 暗い部屋で包丁を握って立っている私。携帯に彼からの着信が来ているのはわかっている。だけど、包丁を見つめる。だって、殺したいもの。



 だから私は自分を刺した。

初めての気持ち

やっぱり、縛りがあるとうまく書けないです。
ぼくの経験上、こんなことないですからね。

初めての気持ち

外出先で恋人の浮気シーンを見てしまい、帰宅後自殺を試みるヒロインの話。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-07

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