花籠り

花籠り

2004?年作品

その午後、巴は蒼紫に呼ばれて方丈の間に入った。
御庭番衆とはいえ、蒼紫たちは日常は山里で忍びと変わりない生活をしている。
江戸城に出向く時だけ、隠密御庭番衆らしいいでたちになる。
その時は、巴の知らないよそよそしい蒼紫になる。
しかしそうではない時は、蒼紫は巴の師であった。
二人は師弟として繋がれているのである。
そう―――それだけだった。その日までは。
呼ばれて入った茶室の開かれた障子からは、春先の梅の香が匂いたっていた。


―――いい匂い・・・・・。


巴の好きな香水・白梅香の香りだった。
今日はその香水をつけていない。
そんなものをつける女は、蒼紫はきっと嫌いだ―――巴はそう思っている。
巴から見れば、蒼紫はいつもどこかぎこちない。
剣を教えるときも、自分に対してどこか壁を作っているように思える。
しかし、それは他の者たちも巴に対しては、そうであった。
巴は元来口が不器用だった。
それで、いつも口先が達者な町衆の間で暮らしていたときは、何度か人知れず涙したことがあった。
くちさがない隣人の思いもよらぬ一言、たとえばかつての婚約者・清里についても、
巴が思いもよらぬことを言われたものである。
清里が死んだときも―――「しっ、巴ちゃんに聞こえたらどうするの」「巴ちゃんのこと、清里は好きだったから、京都で手柄あげたかったんよ」――――。
町の衆が寄り合って、口をひそめて噂しているところへ出くわした巴は、ただただうつむいて小走りに駆けるしかなかった。

その私が今は、忍びとして鍛錬を受けている。
すべては清里の仇を討つため―――と、巴は思っていても、体は心は、言うことを聞いてくれない。
巴の意中の人は、今では清里ではなく、いつも自分を教えてくれる蒼紫その人なのであった。
あの人が、私に優しく接してくれたならと巴はいつも思う。
しかし蒼紫の態度は変わりなく、巴とその日まで距離を置いていた。



その壁が今崩れようとしている。


通された方丈で、蒼紫は巴に茶をたてた。
藍色の忍び装束が、蒼紫の白い顔を際立たせていた。
巴も色白の顔で、紺色の目立たない忍びの着物を着ている。
それは、さながら番雛のような二人であった。
「ありがとうございまする。」
と、巴は蒼紫に礼をして茶器を返したときだった。

なんだか体の奥が熱い。

体の芯が―――もっとはっきり言えば、股のあたりが疼いている。
「あっ・・・はぁっ・・・・。」
巴の畳についた手がわなないて震えた。
「どうした?」
蒼紫の顔が間近で、注意深くこちらをのぞきこんでいる。
「なんでもございませぬ、なんでも・・・・。」
巴はあわててかぶりをふり、尻をつぼめるようにした。
そこから、ジュン、と愛液が滲み出しているのがわかる。
――いけませぬ。
悲鳴のように心の中で叫んだとき、蒼紫が落ち着いた様子でささやいた。
「濡れてきているのではないか?」
「えっ――――。」
「このように。」
蒼紫は巴に顔を寄せると、唇をその唇にあてた。
―――あっ。
巴が退く間もなかった。蒼紫にからめとられるように・・・・。
「・・・・ぁっ。」
蒼紫はねっとりと、熱い舌を差し入れてきた。
歯喉の間を、蒼紫の舌が巴の舌を求めて、唾液とともに流れ込んでくる。
巴の口から透明な液体がもれた。
息がはずんで、巴は自分でもわけがわからなくなった。
ただ、体の奥をついてほしいと思う―――蒼紫に。
このままめちゃめちゃにされてしまいたい。
巴は狂ったように蒼紫を求めて、舌をからませた。
ようやく蒼紫は唇を離すと、含み笑いをもらした。
「漢方がこれほど効くとはな。」
「漢方・・・・でございまするか?」
「中国わたりの薬だ。房事にいいらしい。」
「そのような・・・・・・・・・・・・・蒼紫様がそのようなことを、お考えだとは、この巴・・・・。ぁっ・・・・。」
もはや蒼紫の手は止まらない。
くつろげた襟元から、巴の白い乳房に手を差し伸べて、乳首の先をつまんでいた。
とがっている先を、手でころがすようにもまれると、体の奥がじんじんと響いて熱くなった。
―――あぁ、いい・・・・・・。
蒼紫は巴の乳首に歯を立てた。
かり、と軽く噛まれるとさらに巴の快感がつん、と倍増した。
とがった針でつつかれる、被虐の快感―――。
股の辺りは熱を帯びて、ぬちゃぬちゃと、淫猥な感じになってきているのがわかる。
もうたまらない。巴は熱い息とともに、かすれ声で訴えた。
「・・・・くだ・・・さい・・・・。」
蒼紫はじらすように巴にささやく。
「何をだ・・・・・・。」
「だから・・・・・あなた、の、・・・・ね・・・・・・。」
「ほしいのか?」
「そんな・・・・そのようなこと・・・・言えませぬ・・・・。ああっ・・・・。ああん・・・・。」
すでに、巴は一糸まとわぬ姿に、蒼紫の手でむかれていた。
蒼紫のものは、巴の体にすでに軽く触れていた。
そのまま、蒼紫は巴の乳房から下腹の双丘にかけて、舌を這わせた。
ゆっくりと、たんねんに――――激しい愛撫を加えていく。
やがて蒼紫の舌は、巴のその部分に到達した。
巴の部分は柔らかく息づいて、ピンクに濡れそぼっていた。
そのとがった先へ、蒼紫の舌先がちろちろと当たる。
「やっ・・・・やぁん・・・・うっ・・・・あっ・・・・・。」
「かわいいな。何処もかしこも食べてしまいたい。」
「蒼紫・・・・さま・・・・。あっ・・・・・そこっ・・・・。」
「感じるのか。俺のもなめられるか?」
巴は蒼紫の問いに、コクン、と素直にうなずいた。
そうしなければ、蒼紫に悪い気がしたのだ。
蒼紫のものは、巴の思いもよらない大きさで、激しく屹立していた。
その先を、巴はそっと唇でふくんだ。
味はしなかった。
ただ、口が熱い―――蒼紫のものを、口にしているという思いが、心の中で熱い。
蒼紫はたまらなくなったのか、巴の黒髪をやや乱暴につかんだ。
蒼紫も感じたらしい―――巴は大きく口を開けて、蒼紫のものを口の中で優しく愛撫した。
と、蒼紫は巴の口から、おのれのものを引き抜いた。
「まだ入れてない―――。」
蒼紫は巴の上に覆いかぶさった。
大きく両股を開かせると、巴の秘所に先端をあてがった。
「いいか?」
「は・・・・はい・・・・・。」
巴が答える間もなく、蒼紫のものは一気に侵入した。
――ああっ。
巴はその瞬間、蒼穹を空に見た。
目の前が真っ青に染まっていく。
―――蒼紫様の色・・・・・・・。
間近に、蒼紫のたくましい胸板と真剣なまなざしがあった。
「あおし・・・・さま・・・・・あおし・・・・さま・・・・・っ。」
切れ切れに吐く言葉も、もう意味を成さない。
蒼紫の激しい律動に、巴はがくがくと腰をゆすぶられて、快感に突き上げられていく。
―――ああっ。いく・・・・・っ。
巴は熱にうなされ、うわごとのようにつぶやいた。
「きちゃう・・・・きちゃう・・・・・あっ、くるっ。ああっ。ああ――――!!!!」



巴はその瞬間、泣き叫んで蒼紫にしがみついていた。


事後が終わって、今二人は休息を取っている。
「窓から梅の香が・・・・。」
方丈に開いた、桟格子の丸窓から、春先にほころんだ梅の枝が見えた。
よりかかった巴のささやきに、蒼紫はかすかに笑って巴の髪をなでて答えた。
「おまえの、匂いがする。」
巴はうれしげに、蒼紫に答えた。
「はい―――。」


「はい―――。」

二人はまた軽く、くちづけた―――。



<了>

花籠り

こういうのうまく書けないんですよね・・・・。短いですし、一応成人指定にしたので。Pixivでもあげていますが、これは評判が悪いですね。当時蒼紫巴で何かエロなやつということで、裏用に書いた作品です。私としては珍しいものです。

花籠り

【完結作品】るろ剣でオンリーサイトを作っていたころに、裏ページで書いていた短編小説です。蒼紫巴で、人を選ぶものと思いますが、投稿してみます。お遊びで書いたものなので、時代背景とかでたらめです。設定もねつ造がひどいです。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 時代・歴史
  • 成人向け
  • 強い性的表現
更新日
登録日
2019-01-10

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work