彼の場合

吸血鬼さんのお話です。大学時代に最初に書いた小説です。

 この青い丸薬を飲めば、すぐにケリがつく。
長い苦しみの年月から解放され、永遠の眠りにつけるというのに、俺は手の上に乗っている最後のその一粒を飲めずにいた。

残された三粒のうちの二粒を、さきほど幼いふたりの弟妹たちにやり、安らぎの国への旅路につくのをそっと見守ってやった
ばかりだった。

「これなぁに?」
「ブルーベリィーのキャンディーさ。」
「とってもきれいな色ね。」
「そうだな。寝る前だけど今日は特別にやるよ、さぁ、柩に戻るんだ。」

 そういって、幼い二人を寝床へ連れていき、その小さな口に一つずつ含ませてやった。

「僕たちが眠るまで側にいてよ。」
「目が覚めたらキスしてね。」
「あぁ、いいとも。さぁおやすみ……。」

俺がそう言ってやると、二人は安心してそのあどけない両眼を閉じた。
そして数分もしないうちに静かな寝息をたてはじめた。
次に二人が目覚めるのはここではなく、永遠の安らぎの国なのだとは知りもしないままに。

 俺の一族は、人間で言うところの”血吸い人(びと)”つまり吸血一族だった。
その名の通り、人の生き血を吸わなければ生きてゆけない、苦しみの一族だ。

生ける屍の俺達が、子孫を残すことは不可能に近かったが、先祖の誰かが魔女と結婚したために、この呪われた家系が誕生してしまった。
そして、三代前の嫁の(祖母にあたる)魔女が、俺達をこの苦しみから救い出す画期的な薬を発明したのだ。
それは最強度の睡眠薬だった。

俺達は人の生き血を吸わずに長時間いると、太陽の光にさらされたのと同じように、灰にになって消滅してしまう。
我々の血液の中には人の完璧なそれの中にある成分のうちの、生命を維持するのに必要な何かが、ひとつ欠けているためらしい。

この丸薬を飲めば、もう生き血を求めて苦しみ歩かなくても済むし、先祖の過ちを神に許してもらうべく、祈りながら永遠の眠りにつけるのである。
この身が自然に全消滅しても、いつかその魂が報われる日がくることを信じながら……。

最初に祖父祖母が飲み、父母が親戚に配り、屋敷の地下にはかなりの柩が集まった。
だれもこのチャンスを拒んで苦しみ生き続けようと思う者はいなかった。
幼い弟妹たちはまだ生き延びる事もできたが、そうしたところで何の得になっただろう。
これ以上の苦しみを彼らに知って欲しくなかったし、罪を重ねて欲しくもなかった。だから俺は、決心して薬を飲ませたのだ。
こうして俺は一族最後の一人となった。俺が一息にこれを飲んで眠りにつけば、この世から吸血鬼に襲われるという恐怖は完全に無くなる。

しかし、俺にはどうしてもこの運命を素直に受け入れられない理由が一つあるのだ。

一人でこの屋敷にいるのがいよいよ耐えられなくなってきて、俺は外へ出ることにした。
今夜は細糸月だ。なんにしろ光というものは、とにかく少ない方がいい。

あてもなくあちこちと歩き回ってみる。
昔の先祖は一日でも人間の生き血を摂取しないと消滅していたようだが、魔女や妖精の血が混じったせいで、純度が薄まったらしく、
俺は三日ぐらい人のそれを取り入れなくても平気だった。昼間も曇りの日なら出歩けた。俺は昔から人間が好きだったから、自分の体のもつ限りは襲いたくなかった。

いつも体に限界が来るまでは、野バトや野良猫なんかの血で生命をつないでいた。
弟や妹はもっと平気らしく、人の血が必要なのは一か月に一度程度で、それも親や俺の獲物の血を小さな盃で一杯程度わけてやるだけでよかった。

もとは一族で一つの古い城に住み着いていたのだが、俺の親の代から祖父母を古城に残して、みな散りぢりになってしまった。
俺の親も人が嫌いではなかったので、この屋敷に越して来てからは近所の人間とも普通につき合って暮らしていた。

 いくらか考え込んで歩いているうちに、ふと顔を上げると、路地裏のおくに、小さなバーの看板があった。
「half-moon」という名前らしい文字が、ネオンライトの飾り付けから見て取れた。
俺は何となく、そこへ寄ってみることにした。

カラン、カランカラン……ラン……。

「いらっしゃいませ。」

店に入ってみるなり、俺は少しギョッとした。
なかはほの暗く、主人の声でカウンターに目をやると、その後ろには水族館によくあるような、大きな水槽があった。
一瞬、ガラス張りの壁かと思ったが、水が七分目くらいまで満たされていたのでそれと気付いた。だが驚いたのはその中にいるモノの方だった。
そこで泳いでいた(座っていた?)のは、人魚だったのだ。



「お兄ちゃん、ぼうっと立ってないで座ったら?」

なんでこんなところで子どもの声が……。と思ったら、主人の斜め前の席に、真っ白な髪に赤い帯を締めた、白い着物の男の子が座っていた。
頭の上にはキツネみたいなとんがり耳が、着物の裾からはふさふさした麦色のしっぽが飛び出していた。

そしてその隣には仔猫くらいしかない大きさのもさもさ頭の女の子が、椅子の上に背伸びして立って、テーブルの上の色とりどりのラムネをむさぼるように食べていた。

「どうぞお座り下さい。何にいたしましょうか。」

「全くなんだここは…」
あっけにとられていた俺に、全く平然らしい口調で主人が声をかけてきた。

「仮装パーティーでもしていた様な雰囲気だが。変わった店だな。」
「そうですか?みなさん普段のままですよ。ここはちょっと特別な方しか出入りできない店なんです。あなたのようにね。」

それまでうつむいて話していた主人 が顔を上げたので目があった。
黒い髪の下に深海のような紺色と、エメラルドのような深緑色の、色違いの瞳。
俺がヴァンパイア・ハーフだということを確かに見抜いている。
他の客もみな変わっているし、それぞれ変なモノを注文しているようだったので、俺は遠慮しないことにした。

「なにか動物の血はあるか。あればそいつを赤ワインで割ってくれ。」
「かしこまりました。純血種の白鳥の血がございますので、それに致しましょう。」
「ほう、珍しいのがあるんだな。」
「なにかとこだわりのあるお客様が多いので。」
「お兄サン、少しだけならあたしの血を分けてあげてもいいわよ?」

水槽の上から人魚のカウンター嬢が顔を出して、そう言った。

「特別サービスよ。あたしの血なんて、人間たちが必死になって探し回るほど珍しいのよ?まぁお兄サンには不老不死なんて、あんまり必要じゃあなさそうだけど。」
「いいのかい、シェリー?」

主人が少し驚いたようにして振り向く。

「いいのよ、ちょっとだけなんだから。」

そう言って人差し指をちょっと噛んで、深紅の血を二、三滴ほど主人の持つ銀色のシェイカーにたらした。
彼はそこにもう一つの赤い液体を入れて、赤紫のワインと透明な炭酸水を少し加えて振り、一杯のカクテルにして俺の前に置いた。

「ブラッディー・ルビーとでも名付けましょうか。当店のオリジナルです、どうぞ。」

そのカクテルは濃厚で香り高い血の味と快いソーダの刺激があり、いつもの野鳩や野良猫の血とは格段に違う、人間のそれともまたどこか違う、
高貴な感じがする口当たりだった。古い森の奥にある、澄んだ水をたたえた美しい湖の風景が一瞬、脳裏を横切った。

「あたしのお味はどうかしら?」
「美味いよ、どこかの古い湖が頭にうかんだ。」
「あら、それきっとあたしの故郷だわ。聞いた?マスター。」

すると主人はそれまでは見せなかったほどに、優しく愛しげな微笑みを彼女に向けた。
そのせいか、あたりの空気もきゅうに和らいだような感じがした。

「ご名答。原材料の全てが、彼女の故郷(おくに)のものですよ。白鳥も、炭酸水も天然の湖水、赤ワインも周辺の野ブドウを摘んできて、私が造ったものでしてね。
彼女もそこの湖出身なんです。」

そういって主人と人魚嬢はお互いにウインクをかわしてみせた。

「あなたなかなか見る目があるのね。」

水槽のふちに頬づえをついて人魚嬢は俺に言う。

「お姉ちゃん、火遊びも程々にしないと、焼き魚になっちゃうよ。」

横に座っていた狐耳の坊主がそういった。

「あーら、言うわね。いいのよ、その時はマスターに残さず全部食べてもらうんだから。ねぇ、マスター?」
「参りましたね、まったく貴女という人は……。」

こんな風に和んだ店に入るのは久しぶりだった。恋人らしい二人を見ていると、あの人のことがとても気になってきた。
そう、俺の最愛の人、レニーのことだ。彼女は今どういているのだろう。

 「何か心配ごとでも?」

しばらく沈んでいたらしい俺に、主人が話しかけてきた。

「恋人がいるんだが、彼女は人間なんだ……。」
「それでその方はあなたが人ではないことを、もう御存知なのですか?」
「いや、まだ知らせていない。だが彼女の目の前で、いちど発作を起こしたことがあるんだ。彼女はなにかの病気だと思っているようなんだが。」

 俺はいつも、限界ギリギリまで人間を襲おうとはしなかったので、時々禁断症状のような発作を起こした。
息苦しくなって、体の震えが止まらなくなり、体温が異常な速度で低下していく。ひどい時には立ってもいられなくなる。

昔、医者をしている伯父が屋敷に来た日にも、やはりそういう状態だったのだが、危ない所だったと、親に叱られたことがあった。
あのまま数十分放っておいたら、即座に灰土に還っていただろう、と。

彼女であるレニーの前で発作を起こした時は、一瞬彼女のうなじに唇を寄せそうになったが、彼女が涙をこぼしながらアヒルの血をグラスに差しだしてくれるたび、俺は理性の力で踏みとどまった。この地方ではアヒルの血は万病に効くとして、人間も飲んでいたので、俺は何も疑われることなく彼女からその”薬”を飲むことができた。発作はそれで一時的にはしのげたが、少し良くなるといつも彼女の家から離れて、酒場や港、ごろつきの集まるカジノなんかを排回して吸血してまわった。

俺達一家は人間ひとりの血を、致死量のギリギリ一杯まで吸い尽くすのがモットーだったので、この周辺の町では血を抜かれた変死体が夜昼と見つかったが、
人がヴァンパイアになって蘇ってくることはなかった。それに、善良な一般の市民は相当のことがない限り、俺達は襲ったりしなかった。

「人間を好きになるのってつらいよね。」

隣のキツネ坊主がませたことを口にした。

「坊主、えらく大人じゃないか。」
「僕を子供だと思ってるの?これでももう三百年は生きてるんだけどね。」
「それはすまなかったな、俺は今年で四百と二十歳だ。」
「僕たちの間じゃあ、百年も二百年もたいして変わらないさ、お兄ちゃん。僕がなんで子供の格好に化けていると思う?」

そう言ってこちらに向けてきた瞳は黄金色だった。なるほど子供にしては悲しすぎるような、
何かを悟ったような両眼をしている。

「さあな、人を愛したからか。」
「そうさ。百年と少しのとき、すごくきれいな子に出会ったんだ。その子はお寺の小姓で、はじめのうちは元気に野っぱらで、ふたり一緒に遊んでたんだけど。
いつの間にかその子のことが大好きになっちゃったんだ。だけど、年頃になってひとりの人間の男が好きになったみたいで、しばらく僕に会わなくなって、
でもなんかその人戦争でどっかへかり出されて行方不明になっちゃったんだよね。僕千里眼で見てあげたけど、その人、海の底に船ごと沈んじゃってたんだ。
でもそのことあの子には言えなかった。」

坊主は手に持ったグラスを見つめながら話していたが、そこで顔をあげて、真剣な眼差しで俺の方を見た。

「だってその人が必ず帰って来るって信じてたんだもの。しまいに病気になって寝込むようになっちゃって。
僕は時々見舞いに行ったけど、いつもその男の人の話ばっかり夢みるみたいに話すんだ。それに病状がひどくなってきてて、
あの子相当苦しんでた。僕が霊力を使って、ギリギリ命を繋いでるって感じで。僕、死んで欲しくなかったんだ、ずっとそばに居てあげたかった。
僕のそばに居て欲しかった。

でも気付いちゃった。
これ以上苦しみながら生かせていても仕方がないって。本当はあの子だって死にたがっているって。
だから最期の日に僕、あの子の待ってた人に化けて会いに行ったんだ。

そしたらあの子、一瞬驚いたみたいだったけど、すごく嬉しそうな顔になって、愛しい人を見る瞳で僕を見て、今までで一番綺麗な笑顔のまま亡くなっていったんだ。
人間の寿命が五十前後だった頃の話さ。もう迎えが来る頃だったって、知ってたのに僕、引き止めてたんだ。かわいそうなことをしたなあって……
僕……それからはあの子と一番仲良かった頃の格好をするようになったんだ。なんか……久しぶりに……思い出しちゃった……。」

話し終わるか終わらないうちに、坊主の両瞳から涙がつつー、と流れだしていた。
坊主はそれを拭いもせずに自分の手に落ちてきたヤツをじっと眺めていた。
顔には悲しそうな笑顔を浮かべて。

「そんなことがあったんですか。」
「坊やも結構苦労してたのねえ。」

主人と人魚嬢が慰めるように言葉をかけてやっている。俺は黙って聞いていた。

 俺達の様なハーフ族は半端者で稀少な存在と言われている。そのためなのかどうか知らないが、何故か寿命だけは異常に長い。
百年生きているという奴はざらにいる。見かけが老人のようなものだと、有史以前から生きているという奴もいる。まるで人間という生き物を造る前に、
俺達が造られたとでもいうように。どこかの誰かが実験段階に俺達を造ったかのように。

そんな俺達が人間と恋に落ちた時、一番つらいのは時の壁だ。

俺はいつも人というのは花みたいに移ろいやすくてはかないものだと思う。特にこのキツネ坊主のような話を聞くと。俺とレニーはこの先どうなるんだろうか。
自然の道理でいくと、俺が自分から望んで消滅でもしない限り、彼女が先に果てることは目に見えている。坊主のように何か術を使って人の寿命を引き延ばすことも
可能だが、それもわずかしか持たないだろう。それより彼女は最期の日まで俺のことを想っていてくれるだろうか。なにせ人間は姿も心も、変わりやすいのだから。

「ね、お兄サンの彼女はどんな娘(こ)なの?」

人魚嬢が話を俺に振った。水槽から半分だけ体をだして、ピンクの光るカクテルを口にしながら。

「酒場で知りあった。悪党どもの血を求めて立ち寄った店の、料理運びの娘さ。」
「名前は何て言うの?」
「レニー。」
「素敵な響きね。あたしたちなんて、お互いのこと”三番目の緑”とか”紅斑点”とかって、みんなヒレや瞳や尾の色で呼んでいたわ。今はマスターにつけてもらった
ステキな名前があるからいいけど。」
「お兄ちゃんその子に正体バラすの?」
「坊主だったらそうするか?俺にはどうしたらいいか解らない。迷っている。」
「あら、彼女を愛してるならほんとうのことを言うべきだわ。それで態度が変わるような娘なら、血を残さず全部吸い取ってやんなさいよ。」
「お姉ちゃん、それけっこうキツイよ?まあ、一理あるけど。僕は自分から明かさなかったしね。でもあの子はとっくに気付いてたと思うよ?だってこんな姿をしてたんだもの。だけどあの子、本当に自然に僕と付き合ってくれてたよ。……でも僕の場合とはちょっと……お兄ちゃんの今の立場とは違うからね。うん、僕にもよくわかんないや。」
「でもお兄サン、一般人は襲わないんでしょ?彼女だってその辺しっかり説明すれば、きっと解ってくれるわよ。だってあなたたち愛し合ってるんでしょう?」
「人間はこう言う問題を愛とは別の所で考えてしまいがちですから、難しいところですね。」
「…………。」
「うん、世間体とかあるしね……。」

皆は意見をいろいろとだしてくれはするが、結局彼女のためにはどっちが良いんだろう。
思い切って打ちあけたいが、それで今の関係が崩れるのなら、そして彼女に世間体というものがあるのなら、黙っていたい。
しかし、彼女に死が訪れるまでこのことを隠し通すのは、容易なことではないだろう。それとも坊主のように、むこうにあえて気付いてもらうか。もし気付かれたとして、
彼女はどう思うだろう。時が解決してくれるようには思えない。その時、カウンターの隅っこからふいに声がした。

「ごちそうさま。」

俺達の会話に寄ってこずに、一人でしきりにラムネを食べていた、小さな女の子が口をきいたのだった。

「悲しき一族の最後の者よ。お前は善良を好み、悪人のみを喰らって生きた。先祖の罪は消えぬが、神はお前の命を哀れんでくださっているようだ。
最後の者への慈悲として、お前の恋は成就するだろう。しかし苦しみはそなたが灰になるまでつきまとうだろう。それが罪への償いであり、御慈悲への代償だ。
これからも神を恨むことなく生きれば、そなたを最愛とする一族全員への罪とて、いつか許されることになるやもしれぬ。心して生きよ。」

そう言うと女の子は見る間に一匹の白い仔猫になって、少し開いていた入り口の戸の隙間から、トトトっと駆けてでていった。

「またのお越しを。」

と主人がその背にそっとささやいた。

 「あの方は神の御使いとも呼ばれている方ですよ。この地方に派遣されている自然界の精霊のようです。時々ああしていらっしゃるんです。」
「わお!お兄サンラッキーじゃないの、あなたの恋は成就するんですって。」

人魚嬢が尾ヒレで水面をぱしっとたたいた。

「いいな、お兄ちゃんは。よかったね。苦しみは続くって言ってたけど、きっと今までの生活がただこれからも続くってだけなんじゃあないのかな?
まあ、悩み事がもっと増えるって事があるかもしれないけど。」
「正体を明かすも、秘密にしておくのも、すべてはあなた次第というわけですね。特に困った問題もなさそうじゃありませんか!」
「子どもが出来ちゃったりしてね、お兄ちゃん。」
「それはないんじゃない?だってあの子お兄サンが最後の一人だって言ってたじゃないの。そんなの全然平気よね?」

俺は無言で頷いた。

「そうこなくっちゃね。まあ、がんばりなよ!もしその彼女が病気にでもなったら、僕いつでも相談に乗るよ?」
「ありがとよ、坊主。」
「ではお二人の前途を祈って一杯やりましょう。おごりますよ。」

 この店の連中は皆、この出来事を自分のことのように喜んでくれた。差し出したすべてのグラスに乾杯してもらった。
どこか幸せな、優しい気持ちが心を満たす瞬間だった。これからも苦しみは続くのだろうが、きっと耐えてみせる。

俺は今夜の細糸月に、皆の顔に、そしてレニーへのつきることない愛情にかけて、心からそう誓った。
その後ポケットにしまっていたあの例の青紫の丸薬を取り出して、灰皿の上にのせ、ライターで火をつけて燃やしてしまった。

その小さな青い炎は、俺の心に宿った一灯の明かりのように、ほの暗い店内をいつまでも、いつまでも照らしだしていた。


<終わり☆>

彼の場合

書いてるうちに、主役よりもバーテンと人魚のほうが気に入ってしまいました。

あと、ここの改行に慣れていないので、読みづらい点をお詫び申しあげます。
できるだけ、読みやすいように改行するつもりです。

彼の場合

吸血鬼の一族最後のひとりの苦悩のお話。彼は救われるのか、救われないのか。 あなたはどちらだと思いますか?

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青年向け
更新日
登録日
2019-01-06

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND