書き溜め短編

はじまりのものがたり

ぽつりと雨が降った
それは、触れてはいけない雨
この世界の雨は汚染されている
海から上がった水が空から降ってきているのだから
あれに触れたらきっと溶けてしまう
現に今ネズミが一匹肉を溶かし骨になった

雨宿りをしながら私たちは話をする
次の目的地、私たちの親が何処にいるのか
この誰もいない世界はいつまで続くのか
人間の真似事をしながら

味のしない肉を頬張り
腹を壊すでも無いのだからと消費期限の切れたお菓子を貪り
そして、お腹がいっぱいになったねと感じない満腹感を誤魔化し

『人間』で居なければいけない
それは本能的に刻まれた正気を保つための思考

例え味覚が無かろうと
例え空腹感も満腹感も無かろうと
例え眠気が来ることが無かろうと
私たちは人間の真似事をする

今日も孤独な夜が明けようとしている
心が孤独な私たちは
この世界であと何十年…何百年…生き続けるのだろうか

書き溜め短編

書き溜め短編

小説というよりは短編集、句読点はあまり打たない書き方です

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-01-05

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