【声劇台本 男女】僧侶と魔法使いが生き残ったらこうなった

メイロラ

「魔法使いと僧侶が生き残ったらこうなった」

≪キャスト≫
僧侶(女)
魔法使い(男)


★★★

僧侶:なんということでしょう。これは……困りましたね。

魔法使い:はい、そうですね……こうも囲まれると。やはりこのレベルでダンジョンの奥まで来過ぎてしまいましたね。

僧侶:申し訳ございません魔法使いさん。私が勇者さまをお止めしていれば。

魔法使い:そんな、僧侶さんのせいじゃありません! 僕こそ「まだまだいけるぜー!せっかくここまで来たんだから経験値稼ぐぜー!」って張り切る戦士さんを止めていれば!

僧侶:魔法使いさんのせいじゃありません。でも、困りましたね。私たち2人ではモンスターを倒すことはできませんし。

魔法使い:今は結界を張っていますからモンスターは襲ってきません。けど、その、僕の結界では、1時間が限度かと……

僧侶:1時間、それが私たちに残された時間なのですね。

魔法使い:はい……なんとか僧侶さんだけでも逃げてください、僕がおとりになりますから。

僧侶:いけません、魔法使いさん。私たちは共に魔王を倒す使命を受けた者。きっと神のご加護(かご)があるはずです。信じましょう。

魔法使い:そ、そうですね……

僧侶:私は祈ります。神よどうかお導きください。

魔法使い:じゃ、じゃあ僕も……神様神様、どうかお助けください!

僧侶:神様……

魔法使い:僧侶さん、その……今までありがとうございました。

僧侶:え、なんですか急に。

魔法使い:だって、言っておきたかったから。僕、僧侶さんと冒険できてすごく楽しかったです。いつも僕たちを癒してくれてありがとうございます。

僧侶:魔法使いさん……そんな、魔法使いさんこそ、いつも魔法で援護してくれていたじゃないですか。

魔法使い:そんな、僕なんて魔法しかとりえないですし、戦士さんや勇者さまみたいにかっこよく僧侶さんを守ることもできない……何もできなくて本当にごめんなさい。

僧侶:魔法使いさん……そう、じゃ……最後に一つお願いがあるんですけど。

魔法使い:なんですか? 僕にできることなら、なんでも言って下さい!

僧侶:そうですか……では(間)「やらせてください」

魔法使い:……は?

僧侶:ですからやらせてください。

魔法使い:……は?

僧侶:やらせてください。

魔法使い:(かぶせ気味に)いやいや聞こえてます! 何をいってるんですか! あの、あの、やらせてってその、なにを?

僧侶:いやいや、わかるでしょ。普通わかるでしょ。暗がりに男と女、やることといえば一つしかないでしょう。さ、やりましょうか?

魔法使い:やややや、ちょっと待ってください! なんでそうなるんですか! てかキャラ変わってませんか?

僧侶:そりゃキャラも変わりますよ。人は命の危機を感じると生存本能が働いて、性欲が急激に強くなることがあるんです。今の私が多分それだと思うんですよね。というわけで、やりましょう。よいしょ、っと。

魔法使い:ちょっと服を脱がないでください! 待ってください! 僕の話も聞いてください。

僧侶:だってもう1時間しかないんですよ。話などしている暇がありますか? どうせなら最後くらい本能のままに生きてもいいでしょう。実は一度、やってみたかったんですよね。男女のまぐわいというやつを。大丈夫減るようなものではありません。

魔法使い:僧侶さん! なんてこと言ってるんですか! そ、そもそも、僕初めてなんです!

僧侶:私もです。なんとかなります。神父さまが隠し持っていた本で勉強してあります。

魔法使い:え、あの神父そんなの持ってたのか……っていやいや、そういうことじゃなくて! 

僧侶:ああ、初めては好きな人としたいとかそういうやつですか? 仕方ないでしょ、これから私たちは死ぬんですから。私で我慢しなさい。ほらほら脱いで脱いで。

魔法使い:ちょっとなにするんですか! や、やめてください! 

僧侶:上から脱がせたほうがよかったですか? それともやっぱり私では不満なのですか? もういい加減、あきらめてくださいってば。

魔法使い:そうじゃありません! その、僕! 僧侶さんのことが好きなんです!

僧侶:……え?

魔法使い:だ、だからこういうのは、その、うれしいけど、喜べないっていうか、だって、僧侶さんは僕じゃなくても、誰でもいいんですよね?

僧侶:……それは

魔法使い:僕は、ずっと言えなかったんです! 僕なんてひ弱で、パーティー的にも脇役だし、きっと僧侶さんは勇者さまとか戦士さんとかが好きなのかなって! でも、でも、本当はずっと好きだったんです! 僧侶さんと交換日記したり、食べ物あーんてしあったり、手をつないで街をあるいたりとか、してたんです……頭の中で。

僧侶:え、それって……

魔法使い:引きましたよね!? 今引きましたよね! ええ、わかってます! だから一生心の奥にしまいこんで、口に出すつもりなんてなかったんです。でも、でも、僧侶さんが「やらせてください」なんて言うから! なんかもう頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃって(涙声)

僧侶:いや、あの、その……とにかく、落ち着いて?

魔法使い:ああ、わかってます! そうですよねー、うん、いいんです! 想いを伝えることができたから思い残すことはありません。結界が切れたら僕はモンスターに向かって突撃します! その隙に逃げてください僧侶さん。

僧侶:ちょっとまって、私だって別に誰でもよくて言った訳じゃないの。その、やらせてくださいなんて。

魔法使い:え? それってどういう意味ですか?

僧侶:魔法使いさんの優しいところとか、いざって時には頼りになるところとか、私だっていいなあって思っていたっていうか……その……

魔法使い:え、ええ、それって、それって!

僧侶:(はっとして)あと30分か……交換日記から始めるのはどう考えても無理があると思うのよね。もう思い切ってショートカットしてやっぱりやっとかない?

魔法使い:え、ちょっと待ってください! どうしてもそこに戻るんですか!?

僧侶:しかたないじゃない時間がないんだから。合意(ごうい)の上ってことで問題ないでしょ?

魔法使い:合意してません!

僧侶:いいからいいから、よいしょっと!

魔法使い:や、やめてください! 

僧侶:いいからいいから、ちょっとじっとしてください。……ん、服の下になにかある、あれ……これって……

魔法使い:あ、メキラの石! そういえば、街を出る前に念のため買っておいたんだった……僧侶さん、これを使えば街に戻れます!

僧侶:もど、れる?

魔法使い:そうです戻れますよ! 勇者さまと戦士さんも教会で生き返らせてもらえます!

僧侶:ああ、やはり神は慈悲(じひ)深くあらせられる。神よ、感謝いたします。

魔法使い:いや、あの僕を押し倒した体勢で元のキャラに戻るのは無理があります。

僧侶:……やっぱり? ああどうしよう! 「やらせてください」とか言っちゃった! 神様ごめんなさいー!! 破門(はもん)だわ、きっと破門だわ!!

魔法使い:大丈夫ですよ。誰にも言いませんから。

僧侶:本当?

魔法使い:僕と僧侶さんだけの秘密、ですね。こんな僧侶さん、他の人に見せたくありませんから。

僧侶:なによ、急にたくましくなって。

魔法使い:そりゃまあたくましくもなりますよ。1時間でいろいろありましたし。

僧侶:そうね。

魔法使い:さ、帰りましょう。手を握っていてください。

僧侶:……ねえ、戻ったら私たち今までと一緒なのかな?

魔法使い:どうでしょうか? とりあえず交換日記用のノートは買おうと思います。

僧侶:まじですか。

魔法使い:だめですか?

僧侶:いいよ、別に。そういうのも嫌いじゃないし

魔法使い:男女のまぐわいに関しては、時期がきたら僕からお誘いしますから、それまで待っていてください。

僧侶:それは忘れて! 今すぐ忘れて!

魔法使い:はは、さ、帰りましょう! 手を離さないでくださいね。

僧侶:うん……

魔法使い:せーの。



END

【声劇台本 男女】僧侶と魔法使いが生き残ったらこうなった

【声劇台本 男女】僧侶と魔法使いが生き残ったらこうなった

パーティで2人だけ残ってしまった女僧侶と男魔法使い。絶体絶命のピンチに現れた本性とは……?

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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