冬の和歌 十四首
霜月に降る日の光の白ければ
紅き紅葉も枯れてゆくらむ
新緑と生まれ紅さす日もありき
枯葉の山を夕日染めたり
(山並み)
千万の緑すみたる山々の
紫一つに淡く染みたり
(夕焼け)
冬のはや暗き夜空の片隅に
赤く残れる杉林の影
枯れ草の真綿の白きねこじゃらし
過ぎし日のこと呼びて揺れつつ
木枯らしの吹きて枯葉の舞い散れば
わが身一つの冬と思はる
清らなる冬の寒さの純潔さ
薄白粉で人を迎へり
静かなる清水の底に霜ふりて
凍る水面に星ぞ煌めく
冬曇り残る葉を挙げ風を待つ
立ち木の折れむほどに灰色
夕焼けに遠く山並み冴えわたる
空の青さをうちに残して
(しもばしら・氷の花)
ぬばたまの星の雫の垂水峠
朝日を受けてしもばしらぞ咲く
底冷えの底に敷かるる鉄道は
黙りて空の広さのみ思ふ
白雪のためらひつつも降りしきる
それ一面の景色けぶりて
日は沈み街は灯りをつけそめぬ
夜に夜を継ぎ君を思ひつつ
冬の和歌 十四首
画像がしもばしらの氷の花です。