第8話-17
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ジェフフェ族議会、議会場は水分子が普通のとてものよりも頑丈に凝縮されており、周辺にも水に電磁気を流したシールドが3重に、ドーム型に展開されており、市民がこぞって避難してくる。
しかし避難するそばに立つ巨人、都市の地下から突き出してくる敵の軍艦の船首は、錆びついた銅像のように、動かなくなっていた。機械生命体は完全に命を失った姿をしていたのだ。
いつもビザンが見慣れているはずの議会場の、天井の高い入り口ホールは、ジェフフェ族が殺到し、中に入るのもようやくの状態であった。
水中種族は、床ばかりでなく、ホール全域に浮遊して居いた。中には負傷したジェフフェ人の姿もあり、ビヒャ(医療関係者)が水中を駆け回り、負傷者の手当をしている。
しかし間に合わない時もある。水を通じて泣き叫ぶ声が聞こえた方をビザンが視線を動かすと、夫らしき人物にすがりつき、全身を青く光らね、悲しみに鞭打たれた、女性が泣きじゃくっていた。
もう片方では、ぐったりとみずの浮遊力に身体を預けた、力のない子供の小さな身体を抱きしめた父親の姿もあった。
神聖なる議会場には、死の涙が溢れていた。
「兄さん、無事だったのね」
次々と泳いでくるジェフフェ族が入っていく議会場の巨大な、水分子を凝固して建設された入り口に立っていたビザンの後ろから、水の流れが飛び込んでくる。妹のミザンであった。
議会場に殺到するジェフフェ族の中から、手を上げ、ビザンのところへ、ようやくミザンが到達した。
無事だったか。
妹の顔を見てホッとしたのもつかの間、ミザンがその手にしている物体を見て、ビザンは真っ黒い眼を見開いた。
背中を丸めた父が大事に抱える銀色の立方体と、まったく同じものを彼女は、水分子で形成した網で包んだ、全く同じ物体を持っていた。
双方の立方体から、街で錆びついた巨人へ視線を瞬時に移動させるビザン。
その時、議会場の人々に水の波が広がった。
惑星へ次の敵軍が迫っている議会からの警報であった。
第8話−18へ続く
第8話-17