確かなこと。
笑いたいときに笑いたい。
泣きたいときに思いきり泣きたい。
そんな素直なあたしでありたい。
好きな人に好きと言いたい。
好きな人に好きと言われたい。
確かなことは君が好きなこと。
あたしのあるべき場所はここではない。
どこにあるかなんてわからないけど、
何も手がかりなんてないけれど。
きっとどこかにはあるだろう。
地面に這いつくばって、手探りで探してやろうじゃないか。
たった一度の人生だもの。
あたしはあたしらしく生きたい。
あたしがあたしらしくあたしであるために。
違う。
ちがう。
あたしが求めているのはこんなもんじゃあないはずだろう。
雨があたしの部屋の窓を叩いている。
午前一時半、あたしは一人で窓の外を眺めていた。
北海道帯広市。
田舎ではないけど都会でもない街。
ここにはあたしが求めているものはなかった。
「着信あり:高谷陸」
あ、メールがきてる。
「今度の月曜日、暇?」
「うん。暇だよ~」
即返信する。
高谷陸。
あたしの好きな人。
ちょっと頼りなくて心配なとこもあるけど、あたしにとってすごく大事なんだ。
「陸:じゃあ久しぶりに遊ぼっかww」
「夢叶:うん!!」
いくに決まってんじゃんか。
断る理由がない。
できる限り一緒にいたい。
こうしてあたりまえに陸の隣にいられる毎日が、いつまでも続くなんてことはないから。
ジジジジ...
目覚まし時計が鳴っている。
午前八時。
待ち合わせは確か十時だったはず。
あわててふとんから抜けだして、準備をする。
確かなこと。