時空
耳をふさぎ目を閉じて
チャンネルを閉じてみれば
孤独の曙に染まる世界
ゆらゆらと立ち昇る紫色の煙が
空を制し大地を走る
行き行きて見える果ての滝のその先を
我々はいつかつかもうとしているのだ
再び耳目を開いてみる
すると世界は外にあって内にはないことに気付く
そのことが却って
その手をその心をいよいよ逞しくさせる
拡大と収縮の只中に時間のさざ波を知ったとき
我らはここにいることを悟る
やがて訪れる宵の口に
きっと原始の大地を想起することはないだろう
だが夜明けを知らぬことが日暮れのないことを意味するのではない
じりじりと迫る閉幕のときに
私ができることはきっと言葉を紡ぐことだけ
そのときには地球人として死にたいとは思わないが
安楽の中で眠りたい
ただそう思うのだ
時空