第8話-14
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議会場を出たビザンは水の惑星間をつなぐ高速水流に飛び込むと、故郷の惑星ダゴルトに急いだ。ジェフフェ族の惑星が最も標的にされる。ビザンはそれを理解していたから、その泳ぎは凄まじく早かった。
いつも以上の速度で惑星ダゴルトへ到着した彼は、水の惑星が脈打つように振動しているのがわかった。敵の攻撃だ。
誕生して間もないジュヴィラ人の軍隊が進軍を開始してきたのだ。
これまでの攻撃は、惑星ダゴルトの辺境地域ばかりへの攻撃だった。それでも多くのジェフフェ族が命を失った。しかし大義名分ができ、堂々とその政権を集中にしたデルガイア首相は、遠慮することなく惑星ダゴルトの中心部、つまりビザンが住んでいる首都を狙ってきたのだ。
水の表面を波打たせ、機械の艦隊がゆっくりと移動し、機雷を落下させる。しかも尋常ではない数の機雷だ。
それは首都の水分子を固めた都市へ着水してから爆発するものもある。
ジェフフェ族はパニックに堕ちいり、逃げ惑う。しかしそこへ機雷が落下してきて、水の中で爆発を引き起こし、多くのジェフフェ族の死骸が街に散乱した。
パニックの渦の中、ビザンたじろぐ足をかき出し、家へ急いだ。父を避難させなければ。そればかりが頭の中にあった。
だがジュヴィラ人に容赦はない。
惑星表面の水面に逆さにへばりついているような、頭を惑星中心部へ向けた形で建設されている都市の、いわゆる地下から機雷は突入してくる。それを追いかけるように、強引に艦艇の先端を水面から突き刺してくる。先端が開くとススメバチがあふれるように、ジュヴィラ人が首都へ殺到してきた。酸素フィールドにその身を包んで。
巨人たちの進軍で街は加速度的に崩壊へと向かった。
第8話-15へ続く
第8話-14