自己保存の旅
結婚したのは
独りが恐かったから
世間の偏見に晒されたくなかったから
息苦しい家業を離れる口実がほしかったから
実家の家事が嫌だったから
そう
相手に純粋な愛情があったわけじゃない
あらゆることを計算し
妥協した
私にはこのくらいがいい、と
「愛し合える人と添い遂げたい」
大きな望みもあったけど
とうてい手に負えないから
私には無理だから
だからダメなの?
努力できない
改善点など見て見ぬふり
雑な対応になる
だって愛など湧いてこない
そもそもこの心にそんなのあるの?
信じられるのはお金だけ
心許せるのは
大切なのは
自分だけだもの
自己保存の旅