ミヨの国

その町は田舎で、いろいろな人間が点在していた。

その町

その街には色々な人が住んでいる。
「アバ市」っていうようだ。

国道が貫通している通りは
乗用車、社用車、トラック、バス、トレーラー…
それらが一瞬も休まず走っている。
年中、騒音と振動で近隣住民は迷惑している。
運ちゃんたちは遠くへ消えていくんだから
関係ないだろうな。

それに、文句なら
会社の総務部に言えって話になるさ。
こっちが苦情を出そうものなら…。
今日も住民は泣き寝入りだ。
だから市や県、府、都、道、政府の
思い通りにされてしまうんだ。
言いたいことは言わないとね。

その騒音と振動は
時間だって関係ない。
昼飯時と、夜中の0時~3時30分
そこらへんが静かなくらいだ。
他はずーっと
ご立派な車たちが走ってる。
運転手の顔も大したことの無い
シケた、役立たずの面だ。
男も女も関係ない。
ジジイもババアも関係ない。
地味でもヤンキーでも関係ない。
クソ野郎はクソ野郎なんだよ。
死んだら地獄逝きだよ?オメェら。
この世の中の人間の9割方が。
じゃないと、本当に苦しんでいる人たちが報われないだろ?


そういうどうしようもないのが走り回ってるんじゃ
周りも大したことは無いのか?
そう。
どうしようもないのしか住んでいなかった。

そこの近辺に住んでいる住民は
大半が中年・高齢者である。
聞き分けが無く
自分の考えこそが絶対に正しいと信じている
脳みその腐った奴ばかりなのだ。

子供もいくらかはいる。
だが、そういう周りの大人の姿を見て
ああならないようにしよう、というタチではなかった。
逆に、タバコを吹かし
酒を御供とし
突っ張ったファッションこそ至高として洗脳されていた。
将来、刑務所に行くか周りの人に迷惑をかけるか
小売店のクレーマーになるような奴ばかりだ。

ここには「学習」という字は存在しない。
「ノリ」と「気合」でどうにかしようとする者ばかり。
危険極まりない。


コンビニの駐車場は朝も昼も夜も埋め尽くされてる。
そして本部はねぎらいの言葉一つも無く、
売上だけを見て、文句を言って帰っていく。
それはガソリンスタンドでも同じことだった。
小売の全てが同じことだ。
エロ本・アダルトビデオ屋、薄汚れたラーメン屋。
午後5時から激混みするスーパーマーケット。
その隣の、赤字経営に喘ぐドラッグストア。
どうしてこっちに進出してきたのか、理解に苦しむ家電量販店。
地域随一の敷地面積を持つペットショップ。
朝から晩まで車の絶えない大型パチンコ店。
電子化の波に乗り遅れた焼き肉屋。
学校との横つながりで何とか経営している、昔ながらのスポーツ用品店。
疲れ切った老人ホームの職員たちと、気にも留めない入居者たち。
マンネリ化して、ノルマに追われる郵便局。
仕事中についエロ動画を見てしまう一部の警察官。
街のために今日も気を休めない消防署。
散々叩かれてしまう自衛隊。
小さな税理士事務所。
小さい会計事務所。
中くらいの商工会議所。
マンネリ化して、ノルマに追われる郵便局。
ブラックな労働環境の、運送会社の倉庫。
慰め程度のおしゃれなブティック。
手入れもされなくなって、木々に犯された小さな公園。
駅の方にはモールや会社のビルもあるが、活気がある訳じゃない。
そこで働く労働者の監獄としているだけだ。
ボロクソなアパート。
瓦屋根の掘立小屋。

この辺にはそんなのしかない。
田舎はそんなものだ。
華やかさなんて縁が無い。
この辺に散らばっているのは、轢かれた動物の死骸や
タバコの吸い殻、ビールの缶
その他諸々のゴミしかない。
枯葉の一枚もありゃしない。
空気はすっかり排気ガスで薄汚れて
吸い続けたら早死にするだろう。
地域のゴミ捨て場はカラスや野ら猫に荒らされて
住宅同士の間のクソせまい道路にまで
中身が散乱していた。
ご近所づきあいなんて
子供騙しのアニメの中だけの話。
実際には一言も話さないし、
名前さえも知らない。
向かいの家が火事になろうが
知ったことじゃねえんだよ。
外の人間は、一人残らず
脳みそ腐ってるどころの話じゃないんだから。


それだから都会にあこがれ、
住んでみたら大して変わらず
人はクズで
中途半端な人生のまま死んでいくのばっかり。
この人類史の9割方がそうしてきた。

一時、有名になることはあっても
プライバシーもくそも無く
宗教的にヨイショされるその姿は
アイドル、子役、俳優、女優、タレント、ミュージシャン、声優、芸人…
有害以外の何物でもないわな。
そうやって祭り上げられる奴らのせいで
庶民は自分らの個性を失っていく。

自分は自分でやっていこう。
こういうインターネットも、実際ゴミなだけ。
現実世界で自分で金作れば
特に必要はないだろう?
自給自足に路上で日銭稼ぎ
やれることは星の数ほどある。
ただ、誰もやらないだけだ。
誰もやらないから、やったら恥ずかしいと思うのさ。
だから会社で使われる道を選ぶ。
それが一番楽だと最後に気付くし、
誰だって責任なんか持ちたくない。
嫌な思いをしたとしても、
まあとりあえず金がもらえるならいいや、と。
いつしかその鬱憤が
後輩や外の人間に
牙をむかなきゃいいけどな。

自分で利用される道を選んだのなら
そうやって死んでゆけ、庶民共。
だから庶民なんだよ。
良いように使われてしまうんだよ。
永遠に。
会社に。
社長に。
上司に。
周りに。
国に。
この田舎の奴らのように。

ミヨの国

ここまでお読みくださって、ありがとうございます^_^

今後も定期的に投稿していきますので、お楽しみに!

ミヨの国

"This world is very crazy…." あちこちの国、そして市町村が持つ特色。 それらを統合して支配する工業製品。 各々の地域で競争する企業・店舗とサラリーマン&OL。 今日も公務を遂行する公務員たち。 毎日無休で働かされる主婦さんたち。 様々な悩みを抱えて登校する学生さんたち。 医療技術の進歩による長生きが災いして、便製造装置と化した老人たち。 毎日毎日、人的トラブルが勃発。 国は綺麗事を抜かし、一人ひとりの貧困なんかガン無視していく。 各企業は社長と、その飼い犬たちで構成され、終わりのない障害物競走の最中。 いかれた芸能人がテレビやネットに映るせいで、こっちの周りも狂人だらけ。 重火器は持っていなくても、そこかしこが戦争状態。 まともな精神状態で生きようとするなら、そのうちがたが来るほど腐った世界。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • サスペンス
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-12-15

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