赤い鎖
わたしの愛は醜いと思う。
大切にしたいのに壊したくなる。
誰かに壊されることを恐れて。
気になる人を見つけた。
穏やかで静かに笑う人。
悲しかったことを悲しいと喚かないような。
悔しさを闘争心に変えられるような。
優しくて強い人。
彼のことを知りたくなった。
何を見て喜ぶのか
何をして楽しむのか
何を聴いて安らぐのか
どんな人を好きになるのか。
それから毎日メールをした。
お互いの自由な時間に。
自分がどういう人間で
何に興味があるのか。
そんなやり取りをいつまでも繰り返して。
少しずつメールの色が変わっていく。
お互いをきっと前より意識し始めた。
会う約束をした。
好きなビールを呑みながら
今までの恋愛の話なんかをした。
ほんのり赤くなった顔に風が気持ち良くて
もう少し一緒にいたくて。
終電を見送った。
それから時間をかけずに
恋人同士になった。
初めて見た時から
こうなる予感がしてた。
知れば知っていくほどに
欲しくなっていって、手に入れた。
だから大切にしたい。
傷つけずに守りたい。
だけど怖いくらい膨む独占欲。
汚いものに触れないで。
他の誰にも触れさせたくない。
そのまま、世の中の醜さを見ずに
ただあたしだけを想っていて欲しい。
軽い約束のつもりが
それは彼を縛り付ける鎖のようで
締め付けすぎて滲む血で
赤く染めてしまいたい。
そうすれば、不確かなものを
運命と呼べるだろうか。
赤い鎖