Marine

私は海辺を走る列車に乗りながら
夏の陽に光る海を眺めている
レールの音がリズムを刻んでいる

ここのところ衰えを知らない
太陽が青く抜けた空にギラギラしていて
風景の何もかもを明るく照らしているんだ

遠くに波頭がたくさん輝いている
それを視ると思う──。あの海の奥深くに
拭いようもない自分の過去があったなと

あの時は深海のような孤独の中にいた
降り止まない悲しみが心をつつんで
止まらない痛みに体を震わせていた
一人どうしようもないまま絶望を抱いた

あれからもうどれくらい経っただろう
夏の空気はそんな過去を忘れるように
今の私をきらめきの中包んでいる。
けれどきっと今もあそこでは変わらずに
誰かが同じ悲しみの中にいるんだ

耳を包む海の潤った音が、
いつかの渇いた心を癒す

This will be my memory? I’m praying…
…Swim to beyond your destiny!

そうだ、今私は君のところに向かっているんだ
現在を共に過ごしてくれる友達のところに
追憶と時間を越えた穏やかさを感じながら──

Marine

(2012.2.15)

Marine

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-12-11

Copyrighted
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