*星空文庫

使い捨てカイロ

音澤 煙管 作

使い捨てカイロ

はじめまして…さようなら。

君をはじめて見た顔は、
ぼくを覗き込んだやさしい眼だった。

とてもうれしそうにぼくを見つめた、
そのあと両手でつつんでくれた。

それにツラれてぼくもポカポカした。
ずっとポケットにしまってくれた、
ずっと大事に大切に。

やがてぼくの熱が冷め、
君はそれに気が付いた。

ぼくはもう必要ではないと…

だから捨てられたんだ、
少しの間は幸せだった。

熱が冷めたんじゃあなくて、
役目を終えた合図なんだ。

君の思う通り必要なくなったから…

ぼくを見る君の眼は冷めていた、
ぼくはゴミ箱へ投げ捨てられた。

短い時間だったけど、
とても温かくて幸せでした。

また何処かで逢えたのなら…
たぶん、それはもうないだろう。

ぼくはゴミと化し、
君から遠くへ旅だったんだから。

ありがとう、幸せだった…
お役にも立てたからね?

『使い捨てカイロ』

『使い捨てカイロ』 音澤 煙管 作

はじめまして…さようなら。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-12-07
Copyrighted

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