*星空文庫

扉の向こうには、いつも

はこねッツ 作

扉の向こうには、いつも

扉の向こうにはいつも、違う世界が広がってる。
そう思っていた。
開けても開けても同じ世界が続く扉があるんだと
最近になって気づいた。
そして、世の中の扉のほとんどが、それだという事も。


ゆっくりと回るレコード盤の上を、
ずっと歩いてるような毎日。
立ち止まった途端、大きく回転しながら後方へ飲み込まれそうになる。
慌てて伸ばした手が、偶然ドアノブを掴んでも、
その扉の先に広がってるのは、やっぱり同じ世界で、何も変わらないまま 続きが始まっていく。

それでも、
足元のレコード盤から流れる音楽で、
気持ちは踊る。
たまらなく悔しくて、やたらムカついて
舌打ちしても、ふて寝しても
また持ち直して、優しくなれる。


たまに見かける 他とは違う感じの扉は、
だいたい鍵がかかっている。
持ち合わせの鍵を全部試してみると、
鍵穴に合うのは、一番パッとしないやつだったりする。
鍵はあいた。でも、すぐに扉は開かない。
もしかして建て付けが悪いのか。
職人を呼んで、扉の歪みを直してもらう。
歪みが正されても、扉が重過ぎて、
ひとりで開けるのは到底無理だと気づく。
それで、友だちに助けを求める。
ふたりで力一杯、扉を押すがビクともしない。
今度は、友だちが別の友だちに声をかけてくれて、三人で押してみる。
するとやっと、扉が動く。
隙間から真っ白な光が差し込み、
一瞬、目がくらむ。
眩しさに慣れるに連れ、景色が明らかになっていく中で
「今度は違う世界かも」
そんな希望に、やたらドキドキしてしまう。
扉の向こうには、いつも。

『扉の向こうには、いつも』

『扉の向こうには、いつも』 はこねッツ 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-12-07
Copyrighted

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