溺れて沈む

欠点だらけの人間の戯言です。
不快に思ったらごめんなさい。


冷静に過去を振り返ってみると、自分が好きになる異性には一定の要素があるなーと気付く。

勉強面のことやなく、〈賢い人〉。

そういう人は大抵人生の経験値が高く、そのため客観的視点を持っとるから想像力もあるし先を読む勘の良さもある。共感力も高い!無駄に大声出さない。暴力も振るわない。理性的。人を大切にするのが上手。

自分を押し出し前へ前へ行くのが苦手な私は、好きな人に対しても自分の気持ちを察してほしいと身勝手に期待し願ってしまうワガママなところがある。

もちろんほどほどに自己主張はするけど(お昼は何食べたいーとか)、何と言うか、かゆい所に手が届く的な気遣い。これをされるとめっぽう弱い。

数年前、そういうタイプの男性と知り合った。

相方の知人男性で、相手も自分も既婚者。
当然、恋愛対象やなんて最初は思わんかった。
年齢も親子ほど離れとって、妻子もおる人。

けど、だんだん心が持ってかれそうになった。

適度な距離感で思いやってくれた。
踏み込み過ぎず、気にかけてくれた。
弱っとる時、親身になってくれた。
笑顔がとても優しくて。

下心なしの優しさが胸に染みた。
人間力って、きっとこういうことなんかな、と。

ただ癒されるだけで良かったはずなのに……。同じ重さで好き合えたらどうなるんやろうと空想してしまった。

気がつくといつもその人のことばかり頭にある。

嫌な仕事にもやる気が出て、趣味の創作にも俄然力が湧いた。

好意を持つのに年齢も環境も関係ないんやなー……。

大恋愛の末結ばれたと評判の彼の奥様が羨ましい。
子供にも恵まれ絵に描いたように幸せそうなご家庭。

たとえ奥様より先に彼に出会えとったとしても、私にはそんな家庭は実現させられんかった。

ぼんやり。気持ちを消す理由を挙げ連ねた。

それでも、顔を見ると、目が合うと、体が熱くなり自分が自分でなくなってく感覚が全身を包んだ。


私の中にもまだ人を想う心が残っとったんや。
結婚しとる癖に、いい加減やね。
望みないって。
馬鹿やなぁ。

自分のダメさ加減に、どうにもならない現実に、ひどく打ちのめされた。

やけど、出会えてよかったとも思う。

あの人がおらなあの時私は潰れとったし、全て破壊的な方向に考えとったと思う。

こういう恋もある?
ううん、純粋な憧れかな?
恋ってもっと、醜くて汚いものやし(あくまで私の持論)。


この想いは胸に秘めておく。
誰に知られることもない。

唯一無二の、戦友以外には。

溺れて沈む

溺れて沈む

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-12-06

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