耳を少し傾けて欲しいナラティブ
カルロが石を
蹴ったから
大事なミレーユが
植木になって,
コートを捨てた
スミス。
手紙を燃やせない
オットー夫人。
キャロルは白鳥になった。
同級のフランは
湖畔を
思い出しては忘れ,
アルバートは部屋の中
お湯を沸かすこと,
止められない。
ドアを叩くのは
教授のポール。
上着は脱げない
後ろめたさ。
コリンの目の前で
砂漠は広がり,
風見鶏は役に立たず。
ケイトは水筒を抱え,
砂を星にする口笛吹く。
タカサブロウはその時,
顔を上げる。
あ,と漏らす声。
隣人,
ミレイさんは電話中。
今日も一曲
夢見たよ。
砂漠の中で
足音辿って。
犬でワタシは
追いかけられない。
鼻スンスンして
クンクンせずに。
ただただ
主を
思うだけ。
ただただ
主を
思うだけ。
ミーサのお腹は息吹を感じ
イビチャが優しく声かける。
リンは健気にお願いごと
抱えた枕は大変そう。
布団が一緒のテッサの強い意思。
それは鉄を
温める。
向こう見ずなトムは
川幅無視して手を伸ばし,
固唾を飲むマルは
眉間に込めた力で運命をより良くする。
傍(かたわら)のデイヴィス,
スーパーのカートを押す。
叶えるような煙草の煙は
吐かれて天に
昇ってく。
たまたまガシャンとする自販機。
Mr.Xは炭酸を手に取る。
乾杯とする仕草は
願いが叶ったみたい。
あのね。
あのね。
今日はね。
こんなことも
あったんだ。
物憂げなユウコの,
ラジオの電波。
石畳を走るマルセルは
新聞に命を吹き込む。
トーマスは朗報を書いてから
悲報に手を付ける。
マーサは何も考えない。
ちり取りは
落ち葉を落としはしない。
忘れたソリは
オードリーの家。
代わり番こでサンタクロース。
寝顔が好きなタマにミケ。
イチロウじいちゃんの膝の上で
お話を聞いて
お話しをする。
働いてるキリギリス。
一緒に見つけたポールは帰った。
春が嫌いなイチロウは
ミスズの手を取り
石畳を駆け抜ける。
ハンケチ落としたこと伝えるポアロ。
人に良さそな笑顔が浮かぶ。
初めて書くボクは
朝のチャンネルに手こずって
ニュースを1つも
見れなかった。
帰るまでにはまた増えて
また1つも
ニュースを知れないだろう。
途切れ途切れの
バースデーソング。
クラッカーの紐が消えた。
ケーキは鼠に齧られた。
ビスケットに浸したミルク。
そのままにして,
ソーサー洗う。
蟻が確かに地図の上。
5番街に脚とめる。
砂糖がキャンドル
作ってる。
マッチが火を灯してる。
カルロは石を蹴って
大事なミレーユは樹木になった。
ミレイさんは電話を鳴らして
夢のおはなしをしてくれた。
ボクもマリに会いに行きたくなって今日,
朝起きたんだよ。
あのね
あのね
今日はね,
色んな事が
あったんだ。
カルロが石を
蹴ったから
大事なミレーユが
植木になって,
コートを捨てた
スミス。
オットー夫人は
手紙を燃やせない。
耳を少し傾けて欲しいナラティブ