皇帝陛下の末娘

~古参の吟遊詩人の詩~

怖くは無いか
コーディリア
金色の髪の戦乙女

琥珀の国に咲く花は
心ならずも
濃い赤ばかり

紺碧のその瞳に
今宵も月が映り込み
蠱惑的な眼差しが
コバルトブルーの光に変わる

昏冥に独り
来ぬままの想い人を忘れ
恋に
焦がれた
子供時代の約束は
湖面の底へ沈め終えた

誇大な盾と
姑息な槍を
凍ったその身に抱える痛みに
後悔の念が浮かぶとしても

故郷は遥か
子守歌も遠く
黒雲立ち込める戦場に どうか
幸運の女神の微笑みを

「木霊よ
 応えよその意味を
 此処より先に平和はあるか」

声高に呼ばわる問い掛けは
忽焉と深い森へ消え行くのだ

「黄金に輝く
 小麦畑の幻影よ」

乞い願わくは
孤高の戦士に明日の夢を

皇帝陛下の末娘

皇帝陛下の末娘

「こ」が紡ぎ出す物語。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-11-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted